Flashではマウスクリックなどのすべてのイベントは、イベントのターゲット化プロセスから始まります。これは、どのオブジェクトがイベントのターゲットであるか(イベントがどのオブジェクトで発生するか)をFlashが特定するプロセスです。前の例では、boxまたはstageがクリックされたかどうかをFlashがどのように特定するかを見てきました。あらゆるマウスイベントにおいて、イベントは1つのオブジェクトを参照します。このオブジェクトは、イベントを受け取ることのできる最上位のオブジェクトです(図5を参照)。

図5.Flashムービーでクリックしたときのイベントのターゲット化(Flash Playerを使用)
この動作はActionScript 2.0を使用した場合とほとんど同じです。例えば、ActionScript 2.0では、重なっている2つのボタンを一度クリックすると(どちらのボタンにもイベントハンドラが割り当てられている場合)、上部のボタンのみがイベントを受け取ります。この動作はActionScript 3.0でも同じです。クリックしたときどちらのボタンもマウスのカーソルの下に位置していますが、上部のボタンがイベントのターゲットのオブジェクトなので、上部のボタンのみがイベントを受け取ります。
ActionScript 3.0での相違点は、すべての表示オブジェクトが、デフォルトにより、マウスイベントを受け取ることができることです。つまり、イベントハンドラが特定の表示オブジェクトに割り当てられていない場合でも、クリックするとイベントのターゲットとなり、その下にあるオブジェクトがイベントを受け取ることはありません。この点がActionScript 2.0では異なりました。ActionScript 2.0では、onPressなどのイベントハンドラが割り当てられている場合にのみ、ムービークリップインスタンスはイベントを受け取ることができます。このようなハンドラがないインスタンスにはイベントのターゲット化は行われず、代わりにその下にあるインスタンスがターゲット化の候補になります。
この動作をActionScript 3.0で実現するには、InteractiveObject mouseEnabledプロパティを使用します。このプロパティをfalseに設定すると、対話型オブジェクトインスタンスがマウスイベントを受け取らなくなり、その下にある他のインスタンスがマウスイベントのターゲットになります。
myInteractiveObject.mouseEnabled = false;
Eventオブジェクトは、イベントの発生時に呼び出されたときに、リスナー関数が引数として受け取るオブジェクトです。ActionScript 3.0のEventオブジェクトは、ActionScript 2.0バージョンのEventDispatcherクラスで使用されるオブジェクトと似ています。主な違いは、ActionScript 3.0のEventオブジェクトには独自のクラス(Eventクラス)があるので多少構造化されていることと、処理するイベントを記述するためのプロパティが追加されたことです。
リスナー関数が受け取るEventオブジェクトは、常にイベントタイプですが、Eventインスタンスとして指定されていない、Eventのサブクラスも含まれます。一般的なサブクラスには、マウスに関連付けられているイベントのMouseEventや、キーボードに関連付けられているイベントのKeyboardEventがあります。各クラスには、関連するイベントをリッスンするためのイベントタイプの定数も含まれています。この定数の例としてMouseEvent.CLICKなどがあります。
stageは、コード内で参照可能なオブジェクトという意味では、ActionScript 3.0に新たに導入された概念です。stageは、Flashムービー内のすべての表示オブジェクトの最上位コンテナを表します。これは、ActionScript 2.0の_rootとほぼ同じものですが、ActionScript 3.0では、root(アンダースコアを含まず、DisplayObjectのrootプロパティを経由してアクセス)はstageオブジェクト内に存在します。
さらに、マウスイベントのstageのターゲット化は、他のオブジェクトの場合と同様に、stageのコンテンツに依存しません。boxの例で見ると、stage>root>boxという基本的な階層が存在します(Flexでは階層はstage>root>application>box)。boxをクリックし、このboxをクリックイベントのターゲットにするには、boxを構成している形状をクリックする必要があります。同様に、rootオブジェクトをクリックするには、そのコンテンツまたはboxインスタンスをクリックする必要があります。rootはboxのみで構成されているので、他の場所をクリックしてもrootはクリックされません。ただしstageの場合は、stageに他のコンテンツが存在しなくても、ムービーの一貫した背景としてstageがあらゆる場所に存在するので、ムービーの任意の場所をクリックすることで、stageをクリックできます。場合によっては(mouse upイベントやmouse moveイベントなど)、stageでムービーの外部のマウス動作を検出できます。この動作は、後の節で示すように、ActionScript 3.0で一部のタスクを行う際に重要になります。