アドビ システムズが主催する、Adobe Developer Connection(ADC)連動した開発者向けイベント「ADC MEETUP」。第4回目は、「Social Gaming」をテーマとして2月28日に開催された。

そのセッション2では、株式会社バスキュール バスキュール号のテクニカルディレクターの北島ハリー氏により、ソーシャルメディアを活用した同社の取り組みについて講演が行われた。

1 「ソーシャル」が不可欠な要素に

まずは、バスキュールが手がけた最近の事例の紹介から始まった。世界最高峰のスマートフォンを世界最高峰でプロモーションするという「SPACE BALLOON PROJECT」、 AKB48とオンラインでジャンケンする「ひかりTV AKB48本格コント番組『プレミアムチケット争奪戦』」。これらはどちらもTwitterと連動している。近年バスキュールでは、ソーシャルなエッセンスが不可欠になっているという。(→ビデオ時間 03:00)

「ソーシャルメディアによって新しい価値が生まれています。バスキュールでは、その価値をダイナミックに制御しながら有機的に継承する装置を創造し、その装置をコンテンツに取り入れることを目指しています」

そうした志で、mixiとともに設立した合弁会社が「バスキュール号(Bascule GO!)」とのこと。

2 デジタルマーケティングとしてのソーシャルゲーム

バスキュールはこれまでにいくつものソーシャルゲームを手掛けているが、それは企業製品のプロモーションを目的としたソーシャルゲームである。例えば、AXEの「ヨバゲー」やLUXの「The Actress」。北島氏によると、こうしたゲーム開発する上で重要なのは「許容範囲の見極め」だという。(→ビデオ時間 07:00)

「Flashはゲームを作りやすいプラットフォームなので、作りこめばどんどん面白いゲームに仕上がっていきます。ただ、(プレイ体験の良し悪しとなると)サーバーの性能が大きく影響してきます。データの整合性に不具合が生じた場合、すぐにゲームを停止するのではなく、ユーザの体験が許容範囲の中にある限り実行し続けるべきです。その許容範囲はゲームごとに違い、それを見極めることが、ゲームを丁寧に作るということだと思います」

続いて、mixi上での事例が紹介された。まずは、ソーシャルバナーの「NIKEiD FRIEND STUDIO」。NIKEiDは、オンラインでカスタマイズしながら自分だけのNIKEシューズが作れるというPCサイトだ。このプロジェクトでは、簡易版のNIKEiDが用意され、それを利用してNIKEシューズを作成すると、友人のmixiホームに自分の作品がバナーとして表示される。結果として、通常バナーよりもPC環境では10倍、モバイル環境では16倍のクリック率となり、このプロジェクトを通してのNIKEシューズの売上は世界のトップレベルだったとのこと。(→ビデオ時間 13:00)

次に紹介されたのが「mixi Xmas 2011」。これはクリスマスを盛り上げるためのアプリだ。友達のベルを鳴らしてあげると、靴下がどんどん豪華になっていく、そうするとサンタさんにアピールできる(プレゼントに当たりやすくなる)ようになっている。期間中にベルが鳴らされた数は約1億8千万回、参加者は約257万人、DAU(Daily Active User)は120万人/日だった。(→ビデオ時間 15:30)

このような短期キャンペーンのアプリの場合、どのくらいのユーザ数が利用するかはわからず、サーバーのサイジングが難しいため、クラウドサービスを利用することが多い。mixi Xmasの場合、2010年まではGoogle App Engineを利用していたが、2011年はマイクロソフトのAzureに変更している。その理由は、コストを抑えつつ急激なアクセス増加に対応するためだ。今回、mixi XmasのCMを関東のみで深夜24時に1回限り、3日連続で放映している。そうしたアクセス増加のタイミングを予測できる状況であれば、Google App Engineで自動的にスケーリングさせるよりは、Azureであらかじめその時間帯だけ増強した方が、より低コストで安定した運用ができると北島氏は述べる。

「120万人が毎日利用してくれるということは、とてもエキサイティングなことで、それがソーシャルゲームを作る醍醐味だと思います」

3 mixiやFacebookでアプリを制作する際の注意点

次にmixiやFacebookでアプリを制作する際の注意点が紹介された。まずmixiアプリで最も気をつけることは、「10秒のタイムアウト制限」とのこと。タイムアウトが一定の期間/一定の回数で増えていくと、ジョイン停止となり、フィーチャーフォンでの参加ができなくなる。それを避けるために、以下のような点を心がけているとのこと。(→ビデオ時間 26:00)

  • APIのコール回数を少なくする。
  • memcacheを利用する。
  • 10秒以内でサーバーが強制タイムアウトを行うようにする。

次にFacebookアプリの場合、特にmixiアプリをFacebook用に移植する際に面倒となるのが、「セキュア接続の義務化」だという。その対策として、Google App Engineなどのクラウドを利用したり、Facebookページの設置にはワンコインSSLなどを利用しているとのこと。

最後に北島氏はソーシャルネットワークへの考えを述べて締めくくった。

「人と人との、あるいは人と社会との繋がり。日々の膨大なトラフィックの中で現される繋がり。その中で時に起きるパルス、それを増幅するアンプのような役割を担いたいと思っています」

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