Flash Professional CS5に入っている「Packager for iPhone」を使うと、iPhoneアプリを作ることができます。本記事では、Flash Professional CS5を使ったiPhoneアプリの開発方法について説明します。なお、開発環境としてMac OSをベースに説明しています。

※2010年のFlash Professional CS5発売時期には、Appleの規約変更によってFlash Professional CS5で作ったiPhoneアプリは配布できないようになっていましたが、その後の規約変更により、配布することが可能になりました。本記事の内容は、2011年1月時点での情報にもとづいて作成しています。

準備するもの

  • Flash Professional CS5とPackager for iPhone
    Packager for iPhoneはFlash Professional CS5に入っています。Flash Professional CS5を使ってiPhoneアプリを開発します。

    ※2010年10月に「iOS 用 Flash Professional CS5 アップデート」が公開されています。AppleのApp StoreにiOS用AIRアプリケーションを提出する際に起こる問題に対処する内容が含まれていますので、必ずアップデートを行ってください。
  • iTunes
    iTunesを使って、作成したiPhoneアプリをiPhone実機へインストールします。
  • iPhone実機(iPod touchでも可)
    作成したiPhoneアプリをiPhone実機へインストールして試します。
  • iOS Devloper Programへ登録
    iPhone実機でのテストを行う場合や、AppStoreを通じてiPhoneアプリを配布するには、アップルの「iOS Devloper Program」への登録が必要です。ただ単に、自分のiPhone実機にインストールしてテストする場合でも必要になります。年間参加費は10,800円です。

    ※iOS Devloper Programに登録する際のAppleIDは、日本語ではなく、半角英数字を使用してください。日本語が含まれていると問題が発生することがあります。
  • Mac
    iPhoneアプリの開発や「証明書署名要求の生成」はWindows環境でも可能です。ただし現時点では、AppStoreへ申請時にiPhoneアプリをアップロードする際には、「Application Loader」というMacのアプリケーションが必要です。

iPhoneアプリ開発の概要

開発の概要は下図のようになります。図は、作成したiPhoneアプリを直接iPhone実機にインストールしてテストするまでを示しています。

少々ややこしそうに見えるのは、iOS Dev Centerから開発用証明書とプロビジョニングプロファイルを取得する手続きのところです。大きな流れとしては以下のようになりますので、この順番に説明していきます。

iPhoneアプリ開発の流れ

※前編ではステップ1~2、後編ではステップ3~6を説明しています。

ステップ1:Flash Professional CS5でアプリ制作を開始

まずは、簡単なアプリを作成して、動作チェックまでしておきます。

1-1 「iPhone OS」を選択して新規作成

Flash Professional CS5を起動したら、新規作成で「iPhone OS」を選択して制作を開始します。

1-2 ActionScript 3.0で開発

制作にはActionScript 3.0を使います。iPhoneの加速度などを利用することも可能です。例として、iPhoneを傾けた時にxyzの加速度を表示するアプリを作ってみましょう。

まず、ステージ上にテキストフィールド(クラシックテキスト>ダイナミックテキスト)を3つ配置して、インスタンス名を「x_txt」「y_txt」「z_txt」と設定します。

次に、そのフレームに傾きを検知して表示するプログラムを記述します。

import flash.sensors.Accelerometer; import flash.events.AccelerometerEvent; var myAc:Accelerometer = new Accelerometer(); myAc.addEventListener(AccelerometerEvent.UPDATE, onAcUpdate); function onAcUpdate(e:AccelerometerEvent):void { x_txt.text = "x: " + e.accelerationX; y_txt.text = "y: " + e.accelerationY; z_txt.text = "z: " + e.accelerationZ; }

1-3 アプリの動作チェック

動くかテストしてみましょう。一時的にパブリッシュ設定の[Player]を[Flash Player 10]に変更し、Device Central上でテストします。

テストが終わったら、パブリッシュ設定の[Player]を[iPhone OS]に戻しておきます。

ステップ2:アップルから開発用証明書とプロビジョニングプロファイルを取得

次にアップルの「iOS Dev Center」サイトにて、Flash Professional CS5でアプリをパブリッシュ時に必要となる「開発用証明書」や「プロビジョニングプロファイル」の取得、テストに使うiPhone実機の登録、作成したアプリのID(AppID)の取得を行います。

※なお、下記の作業を行うには、「iOS Devloper Program」への登録が必要です。登録の際、現時点では、使用するAppleIDのアカウント情報に日本語が含まれていると問題が発生することがあります。すでにAppleIDを日本語で取得されている場合などは、英数半角文字のみでAppleIDを作り直して、そちらを使う方がいいでしょう。

2-1 開発用証明書の取得

最初にMacのアプリ「キーチェーンアクセス」を使って、「証明書署名要求ファイル(CSRファイル)」を生成します。このファイルを、iOS Dev Centerへアップロードすると、開発用証明書をダウンロードすることができるようになります。さらにこのファイルをキーチェーンアクセスに登録することで、自分のパソコンでiPhoneアプリの開発を行うことができるようになります。

※Windowsの場合は、コマンドラインを使って「証明書署名要求ファイル(CSRファイル)」を生成することができます。詳しくは、「Windows での証明書署名要求の生成」をご覧ください。

2-1-1 キーチェーンアクセスを起動します。

2-1-2 キーチェーンアクセスのメニューから[環境設定]を選択し、[証明書]タブにある[オンライン証明書状況プロトコル(OCSP)]と[証明書失効リスト(CRL)]を[切]に設定します。

2-1-3 キーチェーンアクセスのメニューから「証明書アシスタント>認証局に証明書を要求...」を選択します。

2-1-4 [証明書アシスタント]ウインドウが開くので、[ユーザーのメールアドレス][通称(氏名)]を入力します。[CAのメールアドレス]は入力しないでください。[要求の処理]では[ディスクに保存][鍵ペア情報を指定]にチェックを入れ、[続ける]ボタンをクリックします。

2-1-5 保存ダイアログが表示されるので、デフォルトの名前のままCSRファイル(CertificateSigningRequest.certSigningRequest)を保存します。

2-1-6 [鍵ペア情報]が表示されるので、[鍵のサイズ]は[2048ビット]、[アルゴリズム]は[RSA]を選択して、[続ける]ボタンをクリックします。

2-1-7 すると、CSRファイル(CertificateSigningRequest.certSigningRequest)がローカルに保存されます。 

2-1-8 次に、このファイルをiOS Dev Centerにアップロードします。ブラウザでiOS Dev Center内の「iOS Devloper Program」の「iOS Provisioning Portal」を開きます。その中の「Certificates」を選択し、「Request Certificate」ボタンをクリックします。「参照」ボタンで開いたダイアログで、先程のCSRファイル(CertificateSigningRequest.certSigningRequest)を選択し、アップロードします。

2-1-9 しばらく待つか別ページに移動してから戻ってくるなどすると、「Download」ボタンが有効になっているので、「Download」ボタンをクリックして、証明書ファイル(developer_identifier.cer)をローカルにダウンロードします。

2-1-10 ダウンロードした証明書ファイル(developer_identifier.cer)をダブルクリックすると、キーチェーンアクセスが起動して証明書がインストールされます。キーチェーンアクセスの[分類]にある[証明書]をクリックすると、証明書が表示されます。証明書を選択して、メニューから「ファイル>書き出す」を選択します。

2-1-11 保存ダイアログが表示されるので、[保存]ボタンをクリックします。

2-1-12 パスワードの指定ダイアログが表示されるので、適当なパスワードを入力しましょう。このパスワードは、Flash Professional CS5のパブリッシュ設定で使うので覚えておいてください。

2-1-13 [OK]ボタンをクリックすると、「.p12ファイル(証明書.p12)」がローカルに保存されます。このファイルは、Flash Professional CS5のパブリッシュ設定で使用します。

2-2 テスト用のiPhone実機の登録

次にテストに使うiPhone実機をiOS Dev Centerへ登録します。まず、iPhone固有のIDを調べてから、そのIDをiOS Dev Centerへ登録します。

2-2-1 iTunesでiPhoneのIDを調べます。iTunesを起動してiPhone実機をUSBで接続し、接続したiPhoneを選択して[概要]を表示すると、iPhoneの情報が表示されます。この中の[シリアル番号]の項目をクリックしてください。すると[識別子(UDID)]という表示に切り替わり、40桁のIDが表示されます。このIDが表示された状態で、メニューの「編集>コピー」を選択すると、40桁のIDをコピーすることができます。

2-2-2 40桁のIDをiOS Dev Centerへ登録します。ブラウザでiOS Dev Centerの「iOS Devloper Program」の「iOS Provisioning Portal」を開きます。その中の「Devices」を選択し「Add Devices」ボタンをクリックします。「Device Name」欄に適当に自分のiPhoneの名前を入力し、「Device ID(40 hex characters)」欄にコピーした40桁のIDを入力して、「submit」ボタンをクリックするとiPhoneの登録が行われます。 

2-3 作成したアプリのID(AppID)の取得

続いて、ステップ1で作成したアプリ用のIDを取得します。ブラウザで、iOS Dev Centerの「iOS Devloper Program」の「iOS Provisioning Portal」を開きます。その中の「App IDs」を選択し「New App ID」ボタンをクリックします。

「Description」欄には説明文を適当に入力します。「Bundle Seed ID (App ID Prefix)」は、そのまま「Generate New」を選択すると新しいバンドルシードが作成されます。「Bundle Identifier (App ID Suffix)」には、アプリ固有の名前を指定します。ドメイン名を逆さまにした「com.domainname.appname」などが推奨されています。

AppIDは、新しいアプリを作るごとに1つずつ作成する必要があります。しかし、テストアプリなどを作ったりしていくと大変な数になってしまうので(一度作ったAppIDは消すことができないため)、テストアプリの制作などにはワイルドカードの「*」を使ったAppIDを使う方が便利です。AppIDに「*」を指定すると、この1つのAppIDで複数のアプリをテストすることができます。ただしこの場合、Flash Professional CS5の「パブリッシュ設定>デプロイ>アプリケーションID」のところは、「*」ではなく、「com.domainname.appname」といったように固有のIDを指定する必要があります(ステップ3の3-3を参照)。また、AppStoreで配布する場合は、「*」を使ったAppIDではなく、固有のAppIDを作成し、それを使わなければなりません。

2-4 プロビジョニングプロファイルの取得

最後に、これまで登録した情報をもとに「プロビジョニングプロファイル」を作成して、ダウンロードします。ブラウザでiOS Dev Centerの「iOS Devloper Program」の「iOS Provisioning Portal」を開きます。その中の「Provisioning」を選択し「New Profile」ボタンをクリックします。

「Profile Name」には適当な名前をつけます。「Certificates」で自分の証明書にチェックを入れ、「App ID」で先ほど作成したAppIDを選択し、「Devices」で登録したiPhoneにチェックして、「Submit」ボタンをクリックするとプロビジョニングプロファイル が作成されます。「Download」ボタンをクリックすると、プロビジョニングプロファイル(プロファイル名.mobileprovision)が、ローカルにダウンロードされます。

なお、ページ内の「Development」タブのところで作成したプロビジョニングプロファイルは開発用です。AppStoreで配布するためには「Distribution」タブのところでプロビジョニングプロファイルを作り直して、それを使ったアプリを作り直して申請する必要があります。

 

「ステップ3:Flash Professional CS5でパブリッシュ」以降の内容は、「iPhoneアプリの開発方法 for Flash Professional CS5 後編」に続きます。