C、C++、Java、.NETなど、他のプログラム言語では日夜多くのクラスライブラリが開発され、プログラマーの間でさまざまなノウハウが共有されています。しかし、ActionScriptに目を向けてみると、その数は圧倒的に少なく、散在しています。特に、国内ではその傾向が顕著です。「ActionScriptは手軽なスクリプト言語だから」…そんな理由もあるのでしょう。とはいえ、ある程度開発を行っていると、同じようなスクリプトを何度もたくさん書いている自分に気付くはずです。「同じようなスクリプト」は、他の誰かが同じように書いているかもしれません。みんなのスクリプトをまとめて共有できるようになれば、同じではない部分、つまりオリジナルな部分にもっと時間を割くことができるでしょう。でも、ActionScriptには、そんな風にスクリプトを共有できる場がありませんでした。
この状況をうけて、ActionScriptのスクリプトやノウハウの共有を積極的に行う場として立ち上げたのが、Flash/ActionScript開発のためのオープンソースコミュニティ「Spark project」です。

Spark projectのサイト
Spark projectには、スクリプトやノウハウの共有という目的のほかに、「ActionScript関係のコミュニティの活性化」という狙いもあります。他のプログラム言語に比べて、ActionScriptのコミュニティは少なく、国内にもあまり存在しません。Spark projectを通して、サンプルコードや学習用のコードの共有、勉強会の開催、オープンソースプロジェクトへの参加などを行い、ActionScriptコミュニティの活性化や新たなスクリプターの育成に繋げたいと考えています。
Spark projectでは、「コミッター」と呼ばれる参加者が1つの Subversionリポジトリ(ファイル置き場)にスクリプトをコミット(アップロード)することで、共有する形を取っています。サイト自体は「trac」と呼ばれるプロジェクト管理ツールになっており、全ページが Wiki形式で、コミッターの方なら誰でも書き換えることができます。また、「チケット」と呼ばれるバグトラッキングシステムなども利用することが可能です。
メモ:Spark Wikiの方は、誰でも編集することができ、いろいろな情報やノウハウを共有できるようになっています。
Spark projectには、ActionScript 2.0からActionScript 3.0、はたまたFlashの拡張機能まで、数多くのプロジェクトがあります。これらはすべてオープンソースで、Subversionリポジトリで共有されています。その中からいくつかのプロジェクトを紹介しましょう。

制作者:Saqooshaさん
最近流行の「拡張現実」を実現するためのライブラリです。ARToolKitのJava版である「NyARTooKit」をActionScriptに移植したもので、Webカメラ映像のマーカー部分に、3Dモデルをオーバーレイして表示することができます。動作するデモなどは、Saqooshaさんのサイトで確認できます。
制作者:nitoyonさん
2色のビットマップ画像をベクター画像に変換するライブラリ「Portrace」のActionScript移植版です。BitmapDataから、ベクターによるシェイプを生成することができます。詳しくは、「てっく煮ブログ 」をご覧ください。
制作者:taka:niumさん
Flashサイト制作のための画面遷移フレームワークです。Flashの拡張機能も充実しており、素早く、簡単に、自由に制作を行うことができます。詳しくは、サイトや制作事例をご覧ください。
制作者:筆者 yossy:beinteractive
タスクシステムとJavaのスレッドモデルをベースとした、疑似スレッドライブラリです。複雑で冗長になりがちなイベント処理、非同期処理、リアルタイム処理を分かりやすくスマートに記述することができます。詳しくは、サイトやサンプルをご覧ください。
基本的にはすべて Subversionリポジトリ内にあるので、ここからスクリプトをチェックアウト(ダウンロード)する必要があります(プロジェクトによっては、圧縮形式やMXP、SWCといったパッケージで提供している場合もあります)。チェックアウトの方法については、「Spark projectのソースをとりあえず使ってみる方法」という素晴らしいブログエントリがあるので、こちらを参考にしてください。
「Spark projectで共有されているスクリプトを使うだけ」というのももちろん歓迎ですが、ちょっとしたものでもいいので、何か公開できそうなスクリプトがある人、もしくは、すでに共有されているスクリプトを一緒に修正したり機能追加をしたりしてみたい人は、ぜひ一緒にコミッターになってみませんか? 現在、Spark projectには60名以上のコミッターの方がいます。コミットすることで広がる世界というのは、必ずありますよ。
この辺りの思いは、「『これコミットして大丈夫なのかな...』と考える前にコミットして欲しい」というブログエントリに書いたので、ぜひ読んでみてください。
Spark projectは、ActionScriptコミュニティの活性化に貢献したいと思っています。Spark projectを中心として、 FlashやActionScriptに関するトピックについて勉強する「Spark project 勉強会」を2008年7月から定期的に行うことにしました。勉強会と言っても、高度なことばかり話すのではなく、ライトな感じで、初心者歓迎という雰囲気を作っていきたいと思っています。最終的には、ActionScriptだけに留まらない Flash勉強会になればいいなと思っていますので、ぜひ奮ってご参加ください。開催については、公式ブログで告知しますのでチェックしてください。
新藤愛大氏
BeInteractive!を屋号に活動する、フリーランスActionScriptエンジニア。座右の銘は「三度の飯よりActionScript」。
Spark projectをはじめ、Shibuya.abcやas-users.jpといったコミュニティの運営も行っている。