FlexとRIAに関する基本知識から開発方法の基礎を習得していただくことを目的とする連載です。対象とする読者は次のような方です。
つまり、プログラミングの経験を問わず、RIAの概念、Flexの基本を理解したうえで、シンプルなFlexアプリケーションを作成できることを目標とします。
本連載の他にも「Flex/AIR無償ハンズオンセミナー」を定期開催(2009年5月~2009年10月)しております。インタラクティブな環境で学習されたい方は、是非お申し込みください。
第1回目はRIA(Rich Internet Application)の基本概念、および既存のWebアプリケーションに比べてどの点でFlexが優れているかをご紹介します。
今回はありません。
特にありません。プログラミングやWebアプリケーション開発の知識も必要ありません。
RIAの概念、Flexの特長と概要
FlexはRIA(Rich Internet Application)を代表するインフラとしてすでに世界標準となっています。まずRIAの基礎知識とFlexの特徴をご紹介します
Flexは、Flash技術を利用して高機能なWebアプリケーションやWebサイトを作成するための製品と技術を含めたソリューションです。
ここで「高機能なWebアプリケーション」とは、Flashの高い表現力と処理能力を利用するユーザにとって使いやすくパフォーマンスが高いアプリケーションをさします。このようなWebアプリケーションはリッチインターネットアプリケーション(Rich Internet Application:以下本連載では「RIA」と呼びます)と呼ばれています。
なお、RIAという概念は、2002年のMacromediaが提唱したもので、Flash技術をベースとした高機能なWebアプリケーションというカテゴリを意味するものです。
Flexが可能にするRIAとは、主に次のような特徴と利点を持つインターネットアプリケーションです。
このように多くの利点があることがわかります。FlexによるRIAは、ショッピングカートなどに代表される、HTML/CGIベース、またはHTML/PHPペースのアプリケーションよりもデスクトップアプリケーションに近い高機能なWebアプリケーションをFlash技術を使用して、実現するものといえます。
あえて不利な点を挙げるとすると、アプリケーションのファイルサイズが数MBと大きくなることがあります。しかしすでにインターネットインフラの品質が向上している現在ではさほど大きい問題ではなくなっています。
flex.org のshowcaseでは、FlexによるRIAサンプルを多く見ることができます。
インターネットアプリケーションで大きなウェイトを占めるCGIやPHP、JavaサーブレットによるWebアプリケーションに比べてFlexアプリケーションはどの点が優れているのでしょうか? HTTPの処理方式から、その違いをご紹介します。
クライアントがブラウザでWebサイトのコンテンツを表示する場合、ブラウザはHTTPリクエストという形でWebサーバに「コンテンツを構成するHTMLファイルやそこで使用されている画像ファイルなどを送ってください」という要求を送信します。その要求を受けたWebサーバは、送信元(クライアントPCのアドレス)に対して、要求されたファイルを送信します。
それらのファイルを受け取ると、ブラウザはHTML文書を解析してコンテンツを表示します。なお、Webサーバはファイルを送信し終えると、そのクライアントに関する情報を忘れて(捨てて)しまいます。
パソコンからWebサイトを閲覧する際、この様な単純な仕組みによって、コンテンツを効率よく(素早く)表示しているわけです。

HTTP通信のイメージ
「サーバはクライアントにデータを送信した跡、そのクライアントに関する情報を破棄してしまう」という方法は、パフォーマンスの向上と記憶容量の節約につながるわけですが、サイトを利用しているユーザに関する情報を持たない、このような処理方式を「ステートレス(stateless)」と呼びます。
上記のような単純なやり取りでブラウザがWebページを表示するわけですが、ハイパーリンクをクリックするなどしてページを移動するごとに毎回サーバへのHTTP要求が送信され、ブラウザは戻ってきたHTML文書を受け取って表示します。このように、HTTPとHTMLによるWebコンテンツの閲覧では、基本的にページの移動や更新を行うたびにサーバへのアクセスが発生します。

HTMLベースのWebアプリケーションの処理イメージ
なお、表示を高速化するために、上記のように毎回サーバにアクセスせずに、一度表示したページの情報を保存しておいて次回以降再利用する「Webキャッシュ」とか「インターネット一時ファイル」とか呼ばれる方式が使われています。
広く知られているように、HTMLはWeb上のドキュメントを記述するために使われているマークアップ言語ですが、「マークアップ」とは、タグによってテキスト文書に見た目や構造などの指定を行うことを意味します。「タグ」とはHTMLの場合、< > で囲まれた指定文字を表します。
例えば「文字をボールドで表示してください」という指定は、CSSで次のように記述できます。
「ここだけ太字」の部分だけがボールドで表示されます。
<div style="font-weight:bold">ここだけ太字</div>
HTMLによるページでは、画像データを読み込めたり、ハイパーテキストで別の文書へのリンクを設置することができますが、基本的には上の例のようにテキスト文書にマークアップやCSSスタイルを設定したり、表組み機能を利用してページを格子スタイルでレイアウトすることしかできません。
そのため、たとえば業務アプリケーションでよく見られる「スクロールバーつきのデータグリッドで大量データの表示する」というよう画面を作成することはできず、検索エンジンの結果画面のように「次のページ」や「前のページ」というハイパーリンクをたどってページを切り替えるか、縦に長いページに表示することになります。
さらに、ページ切り替えを行う場合サーバープログラムへのアクセスが毎回発生することになります。検索エンジンのような高速なレスポンスを行うには莫大な投資によるインフラの構築が必要なため、通常はレスポンスの課題を様々な方策で克服する必要があります。

HTMLベースのWebアプリケーションの処理イメージ2
PerlによるCGIや、PHP、JSP/サーブレットなどで作成されたWebアプリケーションは、通常HTMLベースの画面構成がとられるため、WebサーバへのHTTP要求がクライアントから送信されると、そのタイミングでプログラムが実行され、「結果をHTMLドキュメントとして要求元に返す」という処理の繰り返しになります。

HTTP要求を処理するサーバ
例えばショッピングカートの内容を確認して「決済画面に進む」ボタンを押すと、次の画面で合計金額の確認が表示されるのは、ボタンを押したときにHTTPリクエストがサーバに送信されてCGI、PHPやサーブレットプログラムが呼び出され、そこで金額を再計算し、画面を作成して送り返すという処理によるものです。
つまり、CGI/PHPやJavaサーブレットによるWebアプリケーションでは、基本的にページを変更するたびに次の処理が行われます。
現在まだ主流といえるHTTPとHTMLによるWebページの欠点ばかりをあげましたが、優れた点は、わかりやすくシンプルな構造であるために多くの人に利用され、Webが普及した一要因となったといえます。
前置きが長くなりましたが、いよいよFlexアプリケーションの特長をご紹介します。
HTMLベースに比べたFlexアプリケーションの利点、Flexの開発ツールとしての特長をまとめると次のようになります。
今回はRIAの基本概念、HTMLベースのWebアプリケーションに比べた場合のFlexソリューションの優位な点をご紹介しました。Flexアプリケーションを作成するにはプログラミングの基礎知識が必要です。そのため、次回はFlexアプリケーションの開発に入るための前提知識をプログラミングの一般的な基礎知識を含めてご紹介いたします。
Webシステム開発株式会社 代表取締役 / 開発・教育エンジニア
20年を超えるIT開発・教育・マネージメントキャリアを持つ。Flex、AIR、Java、C/C++、Oracle、MySQL、.NET等を駆使したシステム開発経験を多くもち、現在も開発作業をメインとする。同社サイトでは、AIR、Flex技術情報やサンプルコードの公開を行っている。技術者養成の専門スクールIT塾でFlex/AIRセミナーも随時開講している。