
Adobe
Adobe Flash Player担当の上級プロダクトマネージャとして、Flash Player 10の情報をお届けできることは嬉しい限りです。新機能や改良点の説明をお読みになる前に、ここで、コードネーム「Astro」ことFlash Player 10をFlash Player ダウンロードページからダウンロードしてください。
Astroのダウンロードを終えたら、いよいよ最新情報をお伝えしましょう。私達のもとには、デザイナーやデベロッパーの皆さんから、そしてアドビの社員からも、機能に関する要望が数多く寄せられています。私は、そうした中から採用する機能を選ぶ楽しみを味わう一方で、つらいことですが次期リリースまで採用を見送らなくてはならない機能も決定する必要があります。素晴らしいご意見が多数あるため、採用する機能も見送る機能も、かなり長いリストになります。では、どんな機能が最も採用されやすいかといえば、それは新しい可能性を開拓するようなものです。
例えば、要望が多い機能として、新しいグラデーション、新しいフィルタ、新しいブレンドモードといったものがあります。ユーザが達成したい目的はそれぞれ違っていて、円錐形の塗りつぶしが一番欲しいという人がいれば、向きを指定したぼかし機能がぜひ必要だという人もいます。要望があまりに多いので、正直な話、1つ1つ対応していたらFlash Player 10の作業はフィルタの追加だけで終わってしまいそうでした。ところが幸運なことに、アドビ社内の横断的なチームが、 Adobe Pixel Bender*(要Flash Player 10)という素晴らしいテクノロジを作り出してくれたのです。おかげで、塗り、ブレンドモード、フィルタをデザイナーが独自に作成できる機能が実現し、あらかじめ Flash Playerに作り込む必要がなくなりました。
たった1つの機能で、実質的に無数のフィルタに対応できたわけです。ユーザに次期リリースを待っていただく必要も、Flash Playerを肥大化させる必要もありません。私達としても、製品の土台となるテクノロジを強化する作業に全力を注ぐことができます。土台がしっかりすれば、クリエイティブユーザの皆さんは、Flash Playerのリリース時期に拘束されることなく、いっそう多くの強力なフィルタを作成できるようになります。しかも、Pixel Benderで実現される機能は単なるイメージ操作にとどまりません。数値計算処理もでき、また、他の機能と連携させてオーディオフィルタを作成することも可能です。Pixel Benderを初めて皆さんにご紹介した時点で、以上の機能はすべて備わっていましたが、コミュニティではさらに私達が想像もしなかった機能拡張が行われています。
Flash Player 10の新機能はいずれも、マルチタスクに対応し、クリエイティブツールのレパートリーに取り入れて柔軟に使えるように作られています。このことを頭において説明をお読みください。皆さんの活用方法を見せていただくことが楽しみでなりません。
クリエイティブ表現は、Flashが誕生して以来の基本テーマです。その後、アプリケーション開発、ゲーム、ビデオとFlashの利用分野は拡大しましたが、コンテンツの種類が何であってもデザインとエクスペリエンスが重要であるという事実に私達は取り組み続けています。ここでは、ユーザとのインタラクティブなやり取りをいっそう充実させ、直感性を向上するために役立つ新機能をご紹介します。
2D空間における既存のインタラクティブ処理を維持したまま、あらゆる2Dのディスプレイオブジェクトに3D空間内での変形処理やアニメーション処理を簡単に加えることができます。アプリケーションに3Dエフェクトを取り入れ、クリエイティブな可能性を広げるのに役立ちます。簡単なコーディングで、3D変形処理を施したオブジェクト同士をネストして複雑な効果を作成できます。継承機能により、わかりやすい方法で多数のオブジェクトに対する変更をすばやく適用できます。
低レベルの3D操作が必要な場合や、コミュニティで開発された3Dエンジンを使用する場合のために、Flash Player 10では、三角形の集合によって複雑な形状を描画し、UV座標を使ってテクスチャマッピング処理を実行する機能が描画APIに追加されました。
次のビデオでは、手軽に使える新しい3Dエフェクトの一部をご説明します。
Adobe After Effects CS3の強力なフィルタとエフェクトを実現しているのと同じAdobe Pixel Benderテクノロジによって、ポータブルなフィルタ、ブレンドモード、塗りを独自に作成できます。カスタムフィルタやカスタムエフェクトは、従来からあるFlash Playerネイティブのフィルタと組み合わせて、あらゆるディスプレイオブジェクト(ベクトル、ビットマップ、ビデオを含む)に適用できます。これによってインタラクティブ性が失われることもありません。カスタムエフェクトにはパラメータを与えることができ、これによって実行時にアニメーションやエフェクトの変化を実現できます。たとえ作成するエフェクトの規模が大きくても、大量のコーディングは必要ありません。ほとんどのフィルタは1Kに満たないコード量で実現できるため、アプリケーションが肥大化せず、ファイルサイズの要件が非常に厳しい場合にも対応できます。
Pixel Benderは、イメージのフィルタやエフェクト以外の情報処理にも利用できます。サウンド関連の新機能を使えばリアルタイムのオーディオフィルタを作成できます。また、単純に別スレッドでPixel Benderの強力な数値処理エンジンを使って非同期のデータ処理を実行してもかまいません。
次のビデオでは、アドビラボのPixel Bender Toolkit*で可能となった新しいフィルタやエフェクトの例をいくつかご紹介します。
TextFieldとは別に新設された、高度な柔軟性を備えるテキストレイアウトエンジンは、低レベルのレイアウト操作を行う機能や、コンポーネントレベルのテキストオブジェクトを作成するインタラクティビティAPIによって、テキストコントロールの作成作業に革新をもたらすものです。デバイスフォントの取り扱いに関する概念が高度化されたことで、組み込みフォントと同じ感覚でアンチエイリアスや回転の処理、スタイルの指定、フィルタの適用ができ、クリエイティブ表現の自由度が高まりました。また、右から左向きに書く言語や縦書きのテキストレイアウトにも、合字などのタイポグラフィ要素にも対応しています。
次のビデオでは、以前から要望のあったテキストレンダリングを実現するFlash Player 10機能の一部をご紹介します。
三角形のサポートやPixel Benderを使った操作などの新機能により、描画APIは大幅にパワーアップしています。また、描画API呼び出しを効率化するためのAPIを追加し、コード量の削減と描画エンジンの大幅な高速化を実現しました。
次のビデオでは、描画APIに関する機能拡張の一部をご説明します。
Flash Player 9では、新ActionScript 3.0バーチャルマシン(AVM)の導入によって劇的なスクリプト実行の高速化が実現されました。その上で、Flash Player 10では、RIAやリッチメディアエクスペリエンスの映像パフォーマンス向上という同じく重要な改良に取り組みました。イメージの転送や合成にGPUの機能を活用したことで、CPUの負荷が軽減され、重いグラフィック処理を実行するアプリケーションの多くが高速化されます。これにより、いっそうスムーズでリアルな、応答性に優れたユーザエクスペリエンスを実現できます。
次のビデオでは、グラフィックスカードの機能を利用した映像パフォーマンス向上について一部をご説明します。
Flash Player 9 Update 3では、ハードウェア画面拡大機能を使って、Flash Playerに初めてハードウェアによる高速化が導入されました。Flash Player 10では、ハードウェアベースのWMODE HTMLパラメータにより、ブラウザウィンドウでも同様のパフォーマンス向上効果が得られます。新しいモード「direct」では、画面に対するピクセル描画がビデオカードの機能で可能な限り高速に実行され、CPUは他の処理を進めることができます。また、もう1つの新しいモード「GPU」は最新ビデオカード向けで、いっそう多くの変形処理や合成処理がビデオカード上で実行されます。
テキストアンチエイリアスエンジンSaffronが更新され、アンチエイリアステキスト(特にアジア言語のレンダリング)についてパフォーマンスと表示品質が向上しました。また、ストロークフォントのサポートによりメモリ使用量が低減されました。
Flash Player 10とActionScript 3.0に、ECMAScript 4言語の追加機能として提案されているVectorデータ型のサポートが加わりました。これはArrayに似ていますが、格納する要素のデータ型がすべて同じであることを要求する型です。要素の型が一定であるため、Vectorはパフォーマンス面でArrayよりもはるかに優れています。
Flash Player 10にはオーディオとビデオに関する新機能が導入されています。その一部は、今後リリースされるAdobe Flash Media Serverやその他のアドビサーバー製品においてリッチメディアの配信とエンドユーザエクスペリエンスの向上に使用されるものです。
Flash Player 10では、ロードしたMP3オーディオを低レベルで操作し、オーディオデータをbyteArrayで抽出してサウンドバッファに供給できます。新しいオーディオAPIにより、アプリケーションレベルでのオーディオ合成や、Adobe Pixel Benderを使ったオーディオフィルタ処理までも実行できます。
これは、ネットワーク状況の変化に対応してストリームを自動調整し、常に最適の状態でビデオを表示する機能です。ビデオ再生が途切れ途切れになってユーザの意識がそれることを、ビットレートを変化させて防止します。これにより、ビデオのコンシューマに対して実際の帯域幅の範囲内で最高のエクスペリエンスを提供できます。RTMPビデオストリームのビットレートをネットワーク状況に応じてダイナミックに変化させる機能は、Flash Media Serverの今後のリリースで提供されます。
RTMFPは、従来のRTMP over TCPに代わる、セキュリティを備えたネットワークトランスポートをUDPベースで実現するプロトコルです。この機能を利用するには、今後リリースされるAdobe Flash Media Serverまたは他のアドビサーバー製品でNetConnection接続を確立する必要があります。Flash Player 10の新しいRTMFP機能について詳しくは、 RTMFP FAQ* (PDF、166K)をお読みください。
Speexは、従来のNellymoserの代替となる、可能な限り遅延の少ないオーディオエクスペリエンスを提供する高音質の新ボイスコーデックです。Flash Media Serverの今後のリリースでRTMPまたはRTMFPを使用すると、ライブおよびバッファリングなしのSpeexデータ転送では、部分的な信頼性を提供するRTMFPの機能を利用してネットワーク遅延を低減できます。
クリエイティブ表現、映像パフォーマンスおよびリッチメディアに関する新機能の他にも、Flash Player 10にはコミュニティからの要望が多かった新機能や機能拡張がいくつか盛り込まれています。
これは、ActionScript 2.0のunloadビヘイビアに似た、アンロード機能を提供する新しいActionScript 3.0 APIです。 ロードしたコンテンツに対してunloadAndStopを呼び出すと、そのコンテンツは直ちに削除され、すべてのオーディオが停止し、eventListenerが削除され、ActionScriptからのアクセスが不能になります。
Flash Player 10では、矢印キー、Shiftキー、Tabキー、スペースバーなど、非表示文字のキーについてキーイベントがサポートされました。制限付きでキーボードを使用できることにより、全画面のゲームやビデオコントロールに対する安全なキーボードアクセスが可能です。
RIA上でユーザによるファイルのロード操作が可能になります。実行時にファイル内容を操作し、終了したら [参照] ダイアログボックスで保存することもできます。ファイルへのアクセスは、サーバーとのやり取りを介さず、ActionScriptの便利なAPIを使ってbyteArrayまたはテキスト形式で実行できます。実行時にファイルをロードまたは保存するためにサーバー言語を学んだりサーバーにアクセスしたりする必要はなくなりました。
Flash Player 10では、ピクセル数で最大16,777,216(4,096×4,096)、辺の長さで最長8,191ピクセルまでの巨大なビットマップを操作できます。
我々はFlash Player 10に加えた変更を皆様が気に入ってくださることを期待いたします。インタラクティブデザイナーとデベロッパーからいただいたFlash Player 10に対するコメントとFlash Player 10を体験いただけるサイトがございますので、ぜひアクセスしていただきたく存じます。また、Flash Player デベロッパーセンターも更新していきますのでご確認ください。
Justin Everett-Churchは、Flash Playerを担当しているアドビの上級プロダクトマネージャーです。2006年にアドビに入社する前、JustinはYahoo! Inc.でFlashプラットフォームマネージャーとして、同社を取り巻く資産を活用してリッチインターネットアプリケーション開発に適したオプションを検討する仕事をしていました。JustinはFlashの設計と開発に10年間*携わっており、Flashゲーム開発に関する書籍を3冊執筆しています。