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宮崎駿監督の新作「千と千尋の神隠し」で、
スタジオジブリがPhotoshopを活用


Photoshopとスタジオジブリの完全社内分業制ワークフロー
September 2001
トップイメージ
©2001 二馬力・TGNDDTM

初回入場者数が「もののけ姫」の約180%に達し、自らが持つ記録を入場者数・興行収入ともに更新し続ける宮崎駿原作・脚本・監督、スタジオジブリ制作のデジタルムービー「千と千尋の神隠し」。スタジオジブリは、高畑勲宮崎駿を主宰として設立されたアニメーション制作スタジオで、現在は徳間書店、スタジオジブリ事業本部となっている。「千と千尋の神隠し」はその最新フルデジタル作品としても、さまざまな方面から注目を集めている。そのCG作業のワークフローの中でAdobe®Photoshop®Adobe After Effects®も、重要な役割の一旦を担っている。

スタジオジブリが他に先駆けて、デジタルによる制作システムを導入し始めたのは「もののけ姫」の頃からである。当時は部分的に取り入れていたが、「ホーホケキョ となりの山田くん」からはセルも使用しなくなり、背景画もデジタルカメラで撮影するなど、彩色以降の作業をフルデジタルで行うようになった。そうして、もともと煩雑であったアニメーション作成にCGという作業も加わり、必然的にジブリでのワークフローも変遷を遂げることになった。

以前は絵コンテをもとに、作画や美術、CGの打ち合わせもバラバラであったが、デジタル導入後は事前に各部署のメインスタッフによる、処理打ち合わせが行われるようになった。「いくら部署に別れていても、どこがどこまでを担当するかは微妙なんですよね。そこをちゃんと決めてからとりかかる。実際、作業を始めたら曖昧な部分は出てくるんですけど、隣で作業してるから確認もすぐできる」と、CG部門の泉津井氏が言うように、ジブリではデジタルムービー制作上の問題点などを過去の経験から洗い直し、「千と千尋の神隠し」制作においては、特にこのシステムを重視したようだ。外注先がそれぞれの部署ごとに存在していては、素材の品質管理やレベルの調整など、流れはこうスムーズに運ばない。

泉津井陽一氏
泉津井陽一氏
スタジオジブリ
映像部デジタル作画班
       
制作風景 デジタルカメラ
一般的にフルカラーと呼ばれるのは1640万色だが、RGBは基本的に各8bit(256色)。この数字は印刷物では十分でも、劇場用フィルムの上では、ハイライトの白に至るまでの微妙な光の表現などで色飛びが起きるので、ジブリでは16bit画像を扱っている
 
デジタルペイント工程
デジタルペイント工程(上)
コンピュータで制御される高解像度デジタルカメラを使用した撮影台(左)
実作業においては、撮影部での作業からPhotoshopは活用されている。撮影部では、まずコンピュータ制御のデジタルカメラで、背景美術の撮影を行う。「スキャナだと、どうしても紙の質感が出たりしますが、デジタルカメラならレンズによるボケ足を生かせたり、大きなものを撮影できるメリットもある。セルアニメの時代から培ってきたノウハウもあるので、それを継承していきたいという思いもあるようですね」と、泉津井氏。デジタルカメラは高解像度のモノクロCCDカメラで、フィルタを使用し、RGB用に3パス撮影され、10bitモードで保存される。
こうして撮影されたデータはMacintoshに移動させ、Photoshopで画像のゴミやCCD画素抜けなどの修正レタッチが行われる。ここで決定された色は、後の工程で変更されることのない基準画像となり、キャラクターの着彩もこの画像を元に決定されていく。こうして完成したデータはCG部門などの合成作業に引き継がれる。
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