| STUDIO GHIBLI | page: |
| CG部門が担当するのは、背景にキャラクターを載せたり、3Dで動く背景を作るところまでの作業となる。しかし2Dの絵と、3DCGオブジェクトを自然に組み合わせるのはそう簡単ではない。違和感をおこさないため、今回ジブリが多用した技法がパースマッピング。3Dマッピングというと、普通、壁なら壁を真っ正面から描いたものを、そのまま貼っていく。しかしそれでは、ゲーム画面の背景などのように、奥に行くほど詰まってしまう。現実の視点では、奥のものはボケて曖昧。パースマッピングとは、それを絵的にも再現するための技法である。 | |||||||||||
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そこで問題になるのが、地面の光や建物の陰影。絵を貼っているので、地面の光などが一緒に動いてしまうのだ。それを防ぐために、まず背景美術のハイライトの成分を消し、その状態でパースマッピングを施す。その後、改めてCGで同じような反射の質感を作成し、それをマスク素材にして自然なハイライトを加える。これらの画像調整はすべてPhotoshopで行われているそうだ。 |
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| 「それにね」と泉津井氏は話を続ける。「マッピングする場合、10,000ピクセルくらいになる画像も扱います。そこまで大きな画像を高速処理できるのはPhotoshopくらい。そして、16bitに対応しているのはやはり大きいです。After Effectsもバージョン5になって、素材の切り出しや合成などが16ビットのままできるようになり、アニメ業界でもかなり導入されるようになりましたよね」。実際に「千と千尋の神隠し」でも、Adobe After Effectsは千尋が、花畑の中を進むシーンで使用されている。モーションブラーなど、さまざまなエフェクトが適用されており、かなり印象に残る不思議な印象のシーンだ。 | |||
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汚れた川の主で「オクサレさま」という泥にまみれた神様が入浴をするシーンをはじめ、モーフィング技法もこの映画では多用されている。このシーンのために、当初、美術側から用意された絵は3枚。しかし、モーフィングを行うためには少なくとも7〜8枚の絵が必要になる。そこで基本となる湯船の絵をPhotoshopでレタッチしながらレイヤーを重ね、合計9枚程の絵に増やしたのだと言う。「切り抜いたり、合成したり、Photoshopはかなり使いました。ちょっと人には見せられないような、切った貼ったの世界です。ほとんどのカットにマスク作業が入るので、夢に出てくるくらいです」と、笑う泉津井氏。 |
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「レタッチ作業というのは、美術の方が描いた絵に、僕らが手を入れるということになりますから、それだけ慎重に取り組まねばならない作業。だからレイヤーとか、マルチプルアンドゥが可能なヒストリーパレットのような機能がないと、安心して作業できない。今後はレイヤー時の16bit対応と、機能が充実してきましたからインタフェイスがカスタマイズできるようになると嬉しいですね」。 最近ではデジタルビデオで実写を取り込み、それをモーションキャプチャーするなど、実験的な作品づくりも積極的に始めているスタジオジブリ。しかしそのスピリッツの部分では、日本のアニメーション業界が積み上げてきた伝統的な技術も継承されている。デジタルでありながら、マニュアル。そんな精神を大切にしながら、常に第一線でクオリティの高いエンターテインメント作品を生みつづけている。原作の素晴らしさはもちろん、手作業でしか生み出せない表現に、最新技術が加わったこの「千と千尋の神隠し」は、スタジオジブリがデジタルシステムを導入してからの完成形ともいえる作品だろう。 |
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