KIRIYA KAZUAKI
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紀里谷氏の作品が、これまでの写真の概念を大きく超えているように、彼自身の表現哲学もまたユニークなものだ。そしてPhotoshopに対する捉え方も、これまでの写真家のものとは大きく異なっている。
 
「スティーブ・ジョブスがMacintoshをデジタルハブとして、周辺機器や情報の中心に位置づけているように、僕の仕事にとってPhotoshopは、作品を作る上でのデジタルハブのようなもの。デジタルカメラからの画像入力も、編集も印刷も、すべてPhotoshopが中心。僕の写真は100%、Photoshopで何らかの手が入れられていることになります。撮影時のライティングを決める時なども、Photoshopのトーンカーブを頭の中に浮かべながらセッティングしている」。
 
また、Photoshopの2.0から利用している紀里谷氏にとって、Photoshopの進化も作品づくりに影響を与えているようだ。
 
「フォトグラファーの中には、視たそのままのリアリティを求める人もいますが、僕はそういうタイプではありません。ある部分を強調したり、必要のない情報を取り去ったりすることで、一層内面のリアルさが浮き上がらせる。素材に対して、それをどう料理していくか。それが自分の仕事だと思っています。そのために必要な道具が、Photoshop。誤解を恐れずに言えば、自分の作品はフォトグラフというより、フォトイラストレーションに近いでしょう」。
 
そう自身を語る紀里谷氏は、Photoshop自体も、画像編集ソフトといった限定された使い方ではなく、たとえばPhotoshopを使って、全てビットマップ画像として組版した小説を作るとか、もっと広いイメージでその機能を捉え直してもいいのではないかと語る。そういうことへ挑戦することによって、自分なりの新しい表現が生まれてくるのだとも。
 
仕事場風景
紀里谷氏のディレクションのもと、アシスタントの阿部氏が、Photoshop 6.0を使って作業を進める
 
High Fashon 2001年6月号 伊勢谷友介
High Fashon 2001年6月号 モデル:伊勢谷友介
 
 
「今まで見たことがないような写真--もちろん誰が見ても理解できる難解ではないものですが--そういった写真で美しいもの、もしくは醜いもの、といった作品を作ることを心がけています。コンピュータやアプリケーションソフトは、自分の中にあるものを増幅してくれるものです。だから何もないところからは、何も生み出さない。逆に、内に持っているものが大きければ大きいほど、すごい作品ができあがってくる。若い人たちもこれまでの手法にとらわれず、自由な発想で、試行錯誤しながら、自分の世界を探していけばいいと思いますね」。
 
自らkiriya.comというWebサイトを主宰し、そこで写真や映像などの作品を公開している紀里谷氏。サイト開設当初は、中村勇吾氏のWebサイトsurface.yugop.comを見て、Webの可能性や新しい表現手法にインスパイアされたと語った。
 
「Webというのはクライアントのいない、個人で持てる表現の場。だからこそ、意味のないモノも存在できる、自由な空間です。とてもエキサイティングだし、限りない可能性を感じています。コンテンツはAdobe LiveMotion(TM)でSWF形式にして、それをAdobe GoLive®で貼り付けて完成させています。Webサイト全体をFlash Movieにしているのは、掲載画像を簡単にコピーされないため。普通のHTMLで画像を載せると、簡単にコピーされてしまいますからね。いつも使っているPhotoshopとインタフェイスが共通なので、とても使いやすいですよ」。
 
写真の世界に限らず、プロモーションビデオなどの映像や、さまざまなアートディレクション、そしてインターネット、映画と、表現の場を広げていきたいと語る紀里谷氏。デジタルがもたらす可能性とともに、その思考もさらに飛躍していきそうだ。
 
 
「いまの若い人たちは作品づくりのテクニックばかり知ろうとせず、もっと積極的に自分なりの表現を行うべきだ」と紀里谷氏は熱く語る  
 
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