
手術で摘出された患部などの記録撮影の
ための撮影台。慈恵医大では、これらの
資料撮影もデジタルカメラで行われている
医療分野では世界的に使われている「NIH Image」という画像解析ソフトウェアがある。アメリカ国立保健研究所が作成したフリーソフトウェアで、画像の面積計算や濃度の計測、細胞の数を計算するといった用途に使われている。
しかし、「NIH Imageはあくまで医療画像を分析・解析するフリーウェアで、画像補整に関する機能が少なく、操作がしづらい面があります。そこで、どの研究者も画像を分析・解析する前に使い慣れたPhotoshopで画像を補正してから利用することが多いですね」と小松氏は語る。 電子顕微鏡やスキャナをはじめ、画像を取り込むコンピュータには標準でPhotoshopがインストールされているそうだ。画像処理はPhotoshopで行ってから画像を分析・解析をするというワークフローは医学界ではデファクトスタンダードになっている。
やはり、画像補整に関してはPhotoshopの豊富な機能と洗練された使い勝手が必要となる。また、「Photoshopはアカデミックプライスが設定されているので、研究者が導入しやすい」ことが、どのコンピュータにもPhotoshopが入っている要因のひとつでもある。
「よく使う機能はレベル補正や明るさ・コントラストといった補正機能です。レントゲン写真では骨のやわらかい部分がどうしても暗く写っ てしまうので、Photoshopで明るく見やすくしたり、顕微鏡で撮影した写真の細胞や血管の色をはっきりさせたりすることで、分析がしやすくなります。医療写真を研究論文などに掲載する場合、研究論文は白黒で印刷することが多いので、グレイスケール画像に変換します。また、写真をはっきりさせるときはシャープネスフィルタ、逆にプライバシーの関係で見せたくない部分にはぼかしフィルタを使うこともあります。
論文の投稿などで写真サイズの指定がある場合、例えば画像サイズが12×8cmなら、そのまま数値を入れてサイズを指定して出力できるので、目的のサイズにすぐに合わせることができて重宝しています。最近ではデジタルビデオカメラで撮影した動画を編集してDVDビデオにすることも多くなってきていて、DVDビデオ制作ツールでPhotoshopのレイヤーデータを読み込み、メニュー用ボタンの制作などにも使っています。とにかくあらゆる作業にPhotoshopが利用されていますね」。
小松氏はAdobe Photoshop 7.0の発売前に雑誌でバージョンアップの記事を読み、すぐに導入したくなったという。
「Photoshop 7.0では、前から欲しいと思っていた機能が数多く搭載されました。画像をプレビュー付きで一覧表示しながら、目的の写真を探せるファイルブラウザはいいですね。特にバッチ処理を使えばかなりの作業が軽減できそうです。デジカメで撮影した画像を001、002といった連番や日付を自動的に追加したり、別のフォーマットに一括変換したりすることが可能ですから」。
Photoshop 7.0の新機能は、まさに医学情報センターの要求に応えたバージョンアップだったのだ。近い将来Photoshopを使った画像分析から、新しい医療の1ページが生まれるかもしれない。


レントゲンフィルムでは柔らかい部分が不鮮明に写るので明るさとコントラストを上げて患部を見やすく補正する