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製薬情報管理におけるPDFの活用事例

第一製薬株式会社
 
 
承認申請資料のPDF化
 
新薬の開発・販売には、10年を越す研究期間と、4万ページにも及ぶ承認申請資料を要するのは決して珍しいことではない。しかし製薬会社にとって、他国で販売する度に申請資料を作成しなければならないのでは、負担は大きくなるばかりだ。

そこで現在、複数の国で認可を得る場合、医薬規制当局と製薬企業団体が合意したCTD(Common Technical Document)と呼ばれる日本、米国、欧州(今後はカナダ、スイスも追随する見込み)の承認申請資料共通フォーマットが認可されている。このフォーマットで申請資料を制作すれば、1部分を変更するだけで各規制当局に承認申請を行えるのだ。

「現在そのCTDを、Adobe PDFなど規制当局が認めるフォーマットで電子化する試み「eCTD」が進んでいます」と、第一製薬・薬事統計部ドキュメント管理グループの久保祐一氏は説明を始めた。
 
Acrobatを採用した6つの理由
 
パテックスやカロヤンなど、ドラッグストアでも馴染みの深い医薬品を製造している第一製薬。久保氏は、承認申請資料の電子化に際し、Acrobatを採用した理由を6つ上げた。
   
1. ファイルボリュームが小さく、大量の文書を管理、検索しやすいこと。またページつけ、統一ロゴ付与が可能で、印刷しやすいこと。
2. 開発期間が長いため、過去の紙のドキュメントと電子ドキュメントを同一形式で揃えられること。
3. 英語・日本語が混在するコンピュータ環境でも、表現力を維持した同じドキュメントが得られること。
4. 図表、写真、特殊なアプリケーションで生成された図表などを埋め込んでも、同じファーマットで一元管理できること。
5. 簡単に操作できるアプリケーションであること。
6. eCTDに対応し、ドキュメント作成プロセスを効率化できること。
   
新医薬品の承認申請資料は膨大で、開発期間は長期に及ぶ。関わる研究者も多く、さまざまなドキュメントを効率よく管理することは、プロジェクトの成果を左右すると久保氏は力説した。

「研究者、科学者がドキュメントを作る環境はさまざまですし、分析機器を使うことも多く、多様なデータを一括して管理する必要があります。しかも彼らはドキュメントを作る専門家ではありませんから、簡単な操作で作れなくてはいけません。Adobe PDFなら、将来的に技術が進歩しても、フォーマットが変わらないだろうという安心感もあります」。
 
PDFを活用し、オンラインで完成度の高いドキュメントを制作
 
久保氏は、第一製薬が承認申請用ドキュメントを管理する際に試みたのは、工業製品のように品質を管理することだったと語った。
 
 
第一製薬株式会社
薬事統計部ドキュメント管理グループ
久保 祐一氏
 
文書管理システムのEG(エバーグリーン)の構築により、PDF化された申請用ドキュメントは国境を越え、リアルタイムに活用されることになった。膨大な資料の配付がなくなり、コスト削減も併せて実現
 
氏の説明によると、第一製薬ではまずドキュメント制作者の分担を分け、スケジュールと品質水準を明確にした。次にEG(エバーグリーン*1)というオンラインドキュメント管理システムを構築。執筆者が作成したドキュメントをPDF変換後、各レビューアーにオンライン配信し、この何段階かのレビューを繰り返すことで、品質の高いドキュメントの完成を図った。

「正式ファイルはPDFでEGにアップロードされます。EGではその名の通り、常に最新のPDFが蓄積し、データベースとしても活用されます。一方、過去の膨大な紙の資料もPDF化され、EG管理が実現しています」。
 
カギを握るオンラインでのレビュー
 
ドキュメント品質を管理する上でカギを握る、オンラインレビューに話題は移った。このレビューに関し、Acrobatのメリットは次のようなものだと久保氏は語った。
 
  *1 EG(エバーグリーン)
ドキュメント管理システム上では、管理構造をツリー(木)、PDFのようなコンテンツをリーフ(葉)と呼ぶ。リーフであるPDFが常に最新のものであること(新緑の葉のような)を指してEver Green(EG)と名づけられた
 
執筆者の作成したドキュメントはPDFファイルで複数のレビュアーに送信される。Adobe Acrobatの強化されたアノテーション機能で、スムーズな校正の管理・共有を実現。その結果、効率よく品質の高いドキュメントを作成できるようになった
 
 
「我々が扱う情報は機密性の高いドキュメントゆえ、Acrobatのセキュリティの高さと、詳細なアクセス権の設定は有効でした。Acrobatのオンライン脚注機能で書き込まれたコメントは、種類、日付、記入者ごとの並べ替えや一覧表示が可能なので、各レビューアーのコメントを共有ができ、作業効率も高くなりました」。

「加えてさまざまなアプリケーションで作られたドキュメントがPDFで一元管理され、ドキュメント管理の効率も向上しました。これらのことによって、日米欧の承認申請資料の共通フォーマットであるCTDを電子化した、eCTDへの準備が進むことになったのです」。

今後は電子署名が正式承認されるのに備え、ドキュメント作成プロセスを完全に電子化する予定であると語った。
   
 
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