アクセシビリティ

ADOBE CREATIVE SUITE 3 Web Edition TOUR レポート


Flash によるビジュアルアプローチの魅力

昨年の Flash 10周年を記念して開催されたモーションアワードグランプリ受賞者 roxik 城戸雅行氏によるセッション。PICTIPSでもはや時の人となった城戸氏の生の声が聞ける貴重なセッションとなりました。

「Flashのこれまでと、 AS3.0を使用するとどんなことができるのか。」といった趣旨説明から会は始まったのですが、前面のスクリーンが城戸氏のプレゼンテーションムービーに切り替わると会場はどよめきました。もの凄い数の小さな3Dのキャラクターがワラワラと登場し、それらがマスゲームのように文字を形作ります。そして、キーワードの文字を大勢で右から左に運んだり、他のメンバーが走って定位置につくまで自分は定位置でひたすら踊っていたりと、Flashで作られていることを忘れるほど、いや、こんなプレゼン自体見たことないような素敵なコンテンツです。

マスゲームを交えてこれまでのFlashの機能向上の過程を簡単に紹介した後、続いてAS2.0とAS3.0のパフォーマンス比較となりました。3D空間の中に沢山の球体が現れ。それらは個々にブラー、距離による揺らぎ効果、透明度の処理をリアルタイムに演算しているそうです。それぞれが球状になったりキューブ状に集まったり拡散したりと、様々に動き回ります。画面左上には表示されている球体の個数が表示されているのですが、AS3.0バージョンでは1200個にしても問題なく動作していました。一方、AS2.0で作成されたバージョンの場合では、120個でも表示がスローモーションがかかったようになりました。まさにAS3.0で10倍以上処理が高速にったことが分かる内容でした。

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城戸氏が紹介したデモサンプルのActionScript 3.0版。前バージョン(ActionScript1/2)に比べて格段にパフォーマンス向上したのが実感できる。
※[+]ボタンを押すとキューブが追加可能

城戸氏は、これまでFlashで作品を作る際には常にパフォーマンスを気にする必要があり、その最適化作業に要する時間が大変多く係っていたそうですが、AS3.0からはそこから解放されて制作効率が上がり、さらに新しい表現が可能になったことが嬉しいと話されていました。最適化を検討したり折角作ったものを削り落とす作業はモノを作るという意味では大変後ろ向きで、できればやりたくない作業だと思います。AS3.0になることでその作業から解放され、より世間を驚かすことができる作品作りに集中できるようになる。現在城戸氏はこのAS3.0の新しいポテンシャルを使った新たな3D表現をWebで行うことに挑戦中とのことです。城戸氏の今後の作品発表から目が離せません。

ここで「なぜ3Dか」という疑問に答える形で城戸氏は語ります。2Dで表現を行う場合、思いついたアイデアをすべて2次元に変換する必要があります。しかし3Dは、頭の中にあるアイデアをそのまま表現すれば良いだけです。「じゃあ2Dでどう表現すればいいの」という2D世界の心の制約から解放されれ、3Dによる自由な発想が可能となった今こそ3Dに手を出すべきと説きます。また、「難しそう」「無理」と諦めず、最初からまず制約のない世界、3Dから手を出すべきと強調されていました。

ここで3Dのメリットを説く意味でサンプルの紹介となりました。オブジェクトのパーツ交換が行えるキャラクターを ファッションショーのようにあらゆる角度から眺めることができるコンテンツだったのですが、3Dの場合、動きのデータとパーツや形状のデータを分離できるので、パラメータを少し変えるだけで面白みを多様に変化させることが可能なのだそうです。その見た目の面白さから、さらにまた新しいアイデアが生み出される。つまりそこには、アイデアと面白さの連鎖でどんどん良いものになっていく仕組みがあるとのことです。

次に、3Dを使って大きな木を描き、その木の枝に絵本のキャラクターが配置されているコンテンツを紹介されました。キャラクターはその性格を元に木の枝に配置されているのですが、ユーザーはその木をマウスを使ってグルリと回転させることで、各キャラクターを見つけてその紹介を見ることができます。

また、同じキャラクターを使った飛び出す絵本をFlash内で実現したコンテンツも秀逸で、ページをめくると同時に各ページのコンテンツが3Dで表示され、本を回してコンテンツの裏側に回り込んで眺めたりといったこともできます。そのコンテンツはあたかも舞台の書割りのような作りになっていて、部屋の窓の向こうにある月は棒がついていたり、部屋の裏側は衝立で支えられていたりと、そんな心憎い演出も3Dならではの効果をもってしてさりげなく実現されているのが素晴らしかったです。

これらはいずれも驚くほどスムーズに表示され、Flashで作られていることを忘れるほどです。

ここまで、コンテンツ制作上の3D作品のメリットのお話だったのですが、メリットの余談として、Webの世界で3Dはまだ特殊なコンテンツだと見られがちなので、ちょっとしたデモであってもそのインパクトからクライアントへの提案として通りやすいのだそうです。自分のやりたいもの、好きなものにOKを貰いやすいことは、実作業以上のメリットがある。会場から同意を表すであろう笑いが聞かれました。

またお話はアドビの掲げているCS3の製品コンセプト「CREATIVE FREEDOM」に及び、まさにその言葉は作業工程上の制約がなくなったということに留まらず、これまで諦めていたアイデアとそのアイデアから産み出された表現とが刺激しあって発展し、やがてそれが表現だけではなく新しいサービスにまで発展することを表しているのではないか…と語りました。

それでは実際に、自分で3Dの作品を作るにはどうすればいいのか。皆さん大変興味があることだと思うのですが、城戸氏は最後にそのヒントを提供してくれました。城戸氏の作品で3D表現を実現するために使用しているライブラリは1から独自に作成されたものなのだそうです。オブジェクトをくるくる回すといった単純なものであれば特別な専門的知識は必要とせず、中学生の頃に習った三角関数を思い出しながら作れば、一週間もあれば実現できるとのことです。この一週間の山を越えることができれば、次々に実現できることが増えていくはずなので、まずはこの努力する一週間を苦労して、特に周りから一歩先に進みたい人は0から初めて欲しいとエールを送りました。一週間で城戸氏のような作品を産み出すことができる技術が身につくのか…数々の革新的な3D作品をFlashで披露してくれたご本人から発せられたこの心強い言葉は、ActionScript 3.0 を使って3D表現に挑戦してみようと思い始めた数多くのユーザーの皆さんに、多大なやる気を奮起させることになったのではないかと思います。