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コンシューマーエレクトロニクス業界向け
Adobe Flash組み込みセミナー

コンシューマーエレクトロニクス業界向け ADOBE FLASH  組み込みセミナー

去る2008年6月13日、東京・青山ダイヤモンドホールにおいて「コンシューマーエレクトロニクス業界向け Adobe Flash組み込みセミナー」が開催されました。TV、PC、携帯端末、コンシューマーエレクトロニクスデバイスの分野におけるFlashの展望、「Open Screen Project」のご説明、そしてFlashコンテンツの最新技術情報や最適化テクニックなどについて、熱のこもったセッションが展開されました。

アドビが考えるAdobe Flashテクノロジーの展望

アドビ システムズ 株式会社 代表取締役社長 ギャレット・イルグ

アドビ システムズ 株式会社 代表取締役社長 ギャレット・イルグ

まず冒頭に、アドビ システムズより代表取締役社長のギャレット・イルグが、挨拶しました。

「アドビにとってデバイスおよびモバイルの市場は、日本がもっともエキサイティングなものです。クリエイティブ、製造、キャリア、ユーザーの観点から見て、皆さんがこの分野のテクノロジーをドライブしているリーダーです。アドビは今まで、FlashやPDFを通じてPC環境のユビキタス性を確保するというオポチュニティに恵まれました。皆様のお力を借りて、この成功をモバイルやデバイスの分野に広げていきたいと思います。」

さらに「アドビのミッションは、世界の皆さまのアイディアと情報への関わり方に変革をもたらす事です。そのミッションの中で“Open Screen Project”を実現させたい。このプロジェクトは、PC、デバイス、モバイルという3つのスクリーンの中で遂行します」と話し、コンピューティングのみならずコミュニケーションにも変革を起こすというビジョン、そしてそれを実現するためには、「パートナーの皆さまの力添えが必要です」と語りました。


続いて、羽賀隆雄とアラン・タムから、Flashテクノロジーの展望についてご紹介しました。まず羽賀が、Open Screen Projectの発表に触れ、「Open Screen Projectをひとつの契機に、Flashをはじめとするアドビの技術を広く皆さまの製品にお使いいただきたく思います」とご挨拶。そしてアラン・タムからは、Open Screen Projectの内容を中心にご紹介しました。

アラン・タムは「アドビの技術がテレビやWeb、モバイル等に何らかの影響を及ぼしています。この能力を、できるだけ大きなデバイスに広げていきたいと思います。そこには、コンシューマエレクトロニクスも含まれます」と話します。

アドビ システムズ 株式会社 羽賀隆雄

アドビ システムズ 株式会社 羽賀隆雄

アドビ システムズ 株式会社 アラン・タム

アドビ システムズ 株式会社 アラン・タム


アドビはまず、PostScriptによってパブリッシング業界での成功を収めました。続いての成功は、PDFによる電子ドキュメントの世界の確立でした。そしてFlashの投入によって、Webにおいてもユビキタス性をもたらしたのです。次に期待しているのが「Adobe AIRを活用したRIAです」とアラン・タム。そして「次の成功を収めるためには、人々の情報へ関わり方を把握する必要があります。デスクトップ環境で収めた成功は、まだまだ小さいものです。今日、人々が接する情報やコンテンツの半分以上が携帯電話およびコンシューマエレクトロニクスを通じたものなのです」と語り、モバイルやデバイスの成長性について示しました。

さらに「どんなプラットフォームやデバイスでもブラウジングを可能にすること、そしてそこで使われるRIAを作る環境を用意したい。Open Screen Projectの目的はアドビとパートバーが共同で、すべてのデバイスを網羅できる一貫したランタイムを開発できる環境を実現すること」と話し、Open Screen Projectの概要についてのプレゼンテーションを行いました。

「なぜFlashテクノロジーなのか」という問いには、「2009年には、デスクトップ環境を上回り、Flash Liteは10億台への普及が見込まれる」というデータを示します。そしてFlash Liteが採用される理由として、リッチでパワフルなUIが開発できること、デスクトップ以外でもWeb 2.0とマルチメディアを実現できることなどを挙げます。これらのリッチなWeb体験は、ユーザーが求めていることなのです。さらにFlashであれば、ひとつのソースを基に複数のデバイスにコンテンツを展開でき、しかもそのオーサリングには皆様が使い慣れた「Adobe Creative Suite」アプリケーションを使用することができるのです。

アドビ システムズ MDビジネスユニット ソリューションエンジニア 岡田 學

アドビ システムズ MDビジネスユニット ソリューションエンジニア
岡田 學

続いて、アドビ システムズ 株式会社 MDビジネスユニット ソリューションエンジニア 岡田 學も加わり、Flash およびFlash Liteのスペックや、携帯電話等に対するFlash Video配信の手法、オーサリングを効率化する「Device Central」、さらにはFlashの採用例を実機デモを交えつつ紹介。とくに、UIにFlashを採用した携帯電話の実機デモは注目の的でした。そして、Adobe AIRの特徴や開発環境などをご紹介。また、今後のロードマップについても、最新の情報をご案内しました。

「Open Screen Project」とは、2008年5月1日にアドビが発表したもので、FlashをPC(Web)のみではなく、携帯、テレビ、その他あらゆるスクリーン表示の標準にするためのプロジェクトです。デベロッパーにとっては、複数のデバイスにまたがるアプリケーション開発が容易になります。


Adobe Flashのパフォーマンスおよびコンテンツの最適化

NECシステムテクノロジー株式会社 サーバ基盤事業部 LSIソリューショングループ グループマネージャー 宮内由仁氏

NECシステムテクノロジー株式会社 サーバ基盤事業部 LSIソリューショングループ グループマネージャー 宮内由仁氏

後半のセッションでは、まずNECシステムテクノロジー株式会社より、サーバ基盤事業部 LSIソリューショングループ グループマネージャーの宮内由仁氏を迎え、同社のベクターグラフィックスIP「IWAYAG」について解説をしていただきました。

宮内氏は、従来はビットマップ画像が基本だった組み込みグラフィックスににおいて、いっそうの高解像度化やアニメーション等のリッチな表現が求められているという現状を紹介。そのためにはビットマップではなく、リッチな表現を少ないデータ量で実現するベクターグラフィックスが有効であり、それがFlashによって実現できると話しました。宮内氏は、Flashによるベクターグラフィックスであれば、「低価格・省電力のCPU」で動かすことができ、グラフィック表示にかかるコストも「中規模かつ省電力」であるため、トータルバランスに優れると言います。


とはいえ、コンシューマエレクトロニクス機器においては、グラフィック表示に割けるCPUパワーには限りがあります。そこでNECシステムテクノロジー株式会社が提供するのが、組込みCPUで不足するグラフィックス性能をアクセラレートする組込みグラフィックスIP「IWAYAG」(イワヤジー)です。

OpenVG準拠のドライバを用意し、汎用API を提供するIWAYAG。宮内氏は、このIWAYAGを用いることで、組み込みグラフィックスにおいても「グラデーション」「アルファブレンド」「Projective Transformation」「アンチエイリアス」、そして「ベクターフォント」による表現が可能になります。

宮内氏は、IWAYAGのデータ処理フローを説明した後、IWAYAGを用いる場合とそうでない場合との性能比較データを提示し、「組込みCPUのパワーでは描画処理時間の割合が大きい」、「描画オブジェクトや特殊効果が多く含まれ、かつCPUパワーが低いほどIWAYAGの効果が出る」「IWAYAGによりグラフィックス描画処理のCPU占有率が下がり、ビデオ、ネットワークなど他の処理にCPUパワーを割くことができる」というメリットを紹介しました。

株式会社ニューロマジック 執行役員 インタラクティブ・ソリューション・サービス事業担当 石川修一氏

株式会社ニューロマジック 執行役員 インタラクティブ・ソリューション・サービス事業担当 石川修一氏

最後のセッションは、株式会社ニューロマジック 執行役員 インタラクティブ・ソリューション・サービス事業担当の石川修一氏が、開発とデザイン・オーサリングの両面から、Flashコンテンツを最適化する手法についてのプレゼンテーションを行いました。

石川氏はまず、そもそも最適化が必要な理由として「携帯電話向けの場合は100KBである等ファイルサイズに制限がある」「処理速度の限界」「メモリ容量が限られている」「分業が進んでおりチューニングが行いにくい」といったポイントを挙げます。そして最適化を行うことで、再生フレームレートが向上して滑らかな表現が可能になり、体感速度も向上することで、それがユーザーに良い印象を与えると話します。

Flashコンテンツを最適化するポイントを語る上で、「これはやれば絶対に速くなる、という手法はない」としながらも、石川氏は「制作工程すべてで少しずつ最適化すること」「実機で十分テストすること」をポイントとして挙げます。そして絶対的な正解がないからこそ「見た目を重視するか、それとも処理速度を重視するか」がポイントとなります。


また、最適化を行うには、「Flashの特性を理解することが重要」と話す石川氏。ベクター画像とビットマップ画像が持つそれぞれのメリット、デバイスによる最適なフレームレートの違い、メモリの断片化がなぜ起きるのかといったことを、わかりやすく図版を用いて説明していきました。そういったFlashの特性を踏まえた上で、デザイナーがやるべきこと、オーサリングの段階でやるべきこと、そしてプログラミングで気をつけることを、それぞれ解説していきました。

限られた処理能力とメモリで最大の効果を得るためには何をすれば良いか、そして表現とパフォーマンスをどこでバランスさせるかが重要になります。そして石川氏は、デザインと開発の分業が進んでいる現状において「デザイナーとエンジニアが密なコミュニケーションをとることが必須」であると締めくくりました。

約100名の参加者を迎え、今回の「コンシューマーエレクトロニクス業界向け Adobe Flash組み込みセミナー」。セッション終了後も多くの方々が会場に残り、情報交換や質問等を行っており、この分野の熱気を感じさせました。