アクセシビリティ

Inter Bee 2007 REPORT

Inter BEE 2007

 

全ての制作ツール群をAdobe Creative Suite 3へとバージョンアップするという過去最多の同時バージョンアップを終えて以降、日本で映像制作プロフェッショナル向けに展示を行う初めての機会がInter BEE 2007となった。

アドビは過去最大規模となるブースを出展。昨年までと同様に、ステージデモと機器展示コーナーを中心に、Adobe Creative Suite 3 Production Premiumをコアとした映像制作ワークフローとFlash Videoによる映像配信を紹介した。撮影から編集、フィニッシング、メディアの配布・配信まで、一貫した制作ワークフローを構築できるAdobeのソリューションに、多数の映像制作者が大きな関心を寄せていた。

シアターデモンストレーション

待望のMac版が復活したAdobe Creative Suite 3 Production Premiumは、ノンリニア編集ソフトウェアAdobe Premiere Pro CS3、ビジュアルエフェクト制作ソフトウェアAdobe After Effects CS3、サウンド制作ソフトウェアAdobe Soundbooth CS3、オーサリングソフトウェアAdobe Encore CS3、Flashコンテンツ制作ツールAdobe Flash CS3、画像編集ツールAdobe Photoshop CS3 Extended、ベクトルグラフィックソフトウェアAdobe Illustrator CS3、Windows版のディスクレコーディング&ビデオモニタリングソフトウェアAdobe OnLocation CS3による映像制作スイート製品。Windows版にはキーイングソフトウェアAdobe Ultra CS3も含まれる。

メインステージのステージデモでは、「Adobe Creative Suite 3 Production Premiumによる映像制作ワークフロー」「Adobe Premiere Pro CS3の新機能とP2テープレスワークフロー」「Adobe After Effects CS3 Professional 新機能とその魅力」「Flash Videoによる映像配信とAdobe Media Player」の4種類を行った。

映像制作ワークフローのデモでは、OnLocationによる取り込みから、Photoshopによる動画レタッチ、Premiere ProとAfter Effectsを連携できるDynamicLinkを活用した映像編集、Soundbooth CS3によるサウンド編集、Encoreによるオーサリングなどを紹介した。

Premiere Pro CS3は、10月にアップデートを行い、Panasonic P2ファイルフォーマットをネイティブのMXFフォーマットのまま編集することが可能になった。Premiere Pro CS3のデモでは、撮影した映像を取り込みダイレクトに編集できるようになったことを示すとともに、Premiere Pro CS3の新機能について紹介した。

After Effects CS3 Professionalのデモでは、バリエーションを表示するブレインストームツールや、変形アニメーションを手軽に作れるパペットツール、大幅に強化されたクリエイティビティをサポートする新機能の数々を紹介した。カラーマネジメントによりPhotoshopと同じ色味で作業できるようになったことや、ベクトルグラフィックスを活用した制作をデモした。

Flash VideoとAdobe Media Playerによるデモは、マルチプラットフォームのランタイム環境AIR(Adobe Integrated Runtime)上で動作するマルチメディア再生環境であるAdobe Media Playerを紹介し、DRM(デジタル著作権管理)に配慮した配信が出来ることをデモした。

Inter BEE 2007 レポート インデックス

会場の様子1

会場の様子2


シアタープレゼンテーション

会期2日目の14時10分からは、「『Always 続・三丁目の夕日』におけるAdobe After Effectの活用」と題して、プロダクションの白組が特別ユーザーセッションを行った。白組は、11月3日から東宝系映画館で絶賛上映中の映画『Always 続・三丁目の夕日』(山崎貴監督/製作:『Always 続・三丁目の夕日』製作委員会、配給:東宝)の製作に携わっており、プレゼンテーションでは、システム部の鈴木勝部長とビジュアルエフェクトデザイナーの尾上由佳氏が、After Effectsを使用した「高速道路が通る前の日本橋を再現したシーン」についてのメイキングを公開した。

鈴木氏は、制作環境について、「3DCG部分にMayaを使用し、レンダラーはMental RayとRenderManをシーンによって使い分けて使用している。CGと実写との合成にはMatch Moveを使用している。最終的な合成部分にAfter Effectsを使用したが、プラグインにはPrimatte KeyerやKnoll Light Factoryなどを追加している」と話し、After Effectsが合成に欠かせないツールであったと報告した。

尾上氏は、実際にAfter Effectsを活用した、人物の髪や、日本橋を歩く人物、川の水面などのシーンの処理について、撮影したカットや作業中の画面ショットを交えながら解説した。橋が水平なものではなく中央が膨らんだ形状をしているために、フルCGを使わなくてはならなくなり、そのCGと実写合成の作業が大変だったという。

「作業中は、130レイヤーを超えてしまうような状況で、部分的にレイヤーを分けて作業した。一度にレンダリングが出来ないだけでなく、ファイル収集もしきれないような状況になったので、奥のレイヤーから何十レイヤーかずつまとめてレンダリングして作業を効率化した。それでも、1枚のレンダリングに18時間もかかるような状況もあった」。

約半年の制作期間に合成したカット数は100カットぐらいであったが、長めのカットの合成が多かったため、時間的にも作業的にも大変だったという。コンポジッター全員が使い慣れているAfter Effectsを使用することで、お互いの意思疎通をしやすくなり、作業の効率化をスムースに行いながら作品品質を向上させることができたようだ。

株式会社 白組

株式会社 白組
システム部 部長 鈴木 勝氏
ビジュアルエフェクトデザイナー 尾上由佳氏