アドビの特徴的なソリューションであるコラボレーション(コンピュータシステムを活用した多人数の共同作業)について、フォーカスしたセッション。アドビ社内での利用状況を交え、コラボレーションに求められる要素と課題、それに対するソリューションについての紹介がありました。
まずは、アドビでのコラボレーション利用状況の推移について話がありました。アドビでのコラボレーションと言えば、PDFを使ったドキュメントベースのものと、Flashのストリーミングの技術を使った人と人とのリアルタイムコミュニケーションベースのものの二つが上げられます。
前者は非同期やオフライン環境でのコラボレーションに、後者は電話会議とテレビ会議を足したような、時間が同期したコラボレーションにより適しています。
前者では、Adobe Acrobat、後者では旧称をMacromedia Breezeと呼んでいたAcrobat Connect Professional が主要な製品となります。ご存知のとおり、アドビとマクロメディアは昨年の12月に統合されるまでは、それぞれの技術・製品をメインに使っていたわけですが、統合により双方の技術をつかって、よりよいコラボレーション環境の構築に取り掛かりました。
まず利用頻度が計測しやすいAcrobat Connect Professional(Breeze)についてのアドビ社内での利用時間の推移が紹介されました。マクロメディア時代は約1,500名だった従業員が統合により約5,700名に増加したため統合前後に利用時間は一気に増えました。その後いわゆる「カズム(chasm)」の時期がわずかに見られた後、再び利用時間が増加傾向に転じています。
これは旧アドビ社員の間での、Flashベースのコラボレーションに対して習熟、積極利用に要した期間が極めて短かった事を意味します。この成功要因としては
の二つがあげられます。
コラボレーションはあくまでも、人が主体的に行う作業です。
本セッションではコラボレーションの特徴的な行動要素として
をあげています。つまりその時々の状況や、個人のスケジュール、仕事の状態で ですから、購買プロセスや経理処理プロセス等、会社から利用を強制される「使わなければならない=”I have to use”」的なものと違い、「使いたい=”I want to use”」と思ってもらえる技術、環境の提供が不可欠です。
これを実現する上での課題としては
があげられますが、アドビ社内でのコラボレーションの成功(利用時間の増加)はこうした課題をスムーズに解決したことを表しています。 では、どのように解決していったのでしょうか?

まずは、アドビが用意したコラボレーションの環境が、実際に使いやすく、従業員の生産性向上に寄与したことがあげられます。ここで言う「生産性の向上」は、組織全体としての計測値ではなく、コラボレーションに参加した個々人が実際に感じる事が大事です。 そうでないと、一回は使ったとしても、その後継続して使ってもらえなくなるからです。
Acrobat Connect Professionalを使うと、プレゼンター(発言者)の意図している内容や重要性が非常に伝わりやすくなります。また、新製品や新機能の情報などは、実際のデモ画面をストリーミング配信して、参加者全体がその場で共有できることで、より深い理解が得られるようになりました。
これは、発言者、参加者双方に「仕事が楽になった」という実感を植えつけました。また誰もが発言者、プレゼンターになれるというシステム的な柔軟性も、利用を促進する要因となりました。
また、利用者のPCにはAdobe Flash Playerだけがあればよく、また、画面シェアが可能なので普段使いなれているソフトやツールで情報を作成、共有できるため、利用者の負担は非常に小さいものになりました。それと平行して、アドビとしてもオフィシャルな会議で積極的にAcrobat Connect Professionalを利用し、上層部からラインのスタッフに至るまで、皆がAcrobat Connect Professionalの良さを実感できる機会作りを推進したのです。また社員全員に、Acrobat Connect Professionalの社内サーバ利用のアカウントを発行し、利用方法のトレーニング(これもAcrobat Connect Professionalのもう一つの機能である、オンデマンド・eラーニングの機能で提供されました)を提供するなど、利用促進に会社として取り組んだことも大事なポイントでした。
これにより、組織や地域の格差なくAcrobat Connect Professional の利用が促進されました。(日本ではお客様との打ち合わせや、デモなどにも日常的にAcrobat Connect Professionalによるweb会議を利用しています)
こうしたFlashベースのリアルタイムコラボレーションと同時に使うことで、ますますその威力を発揮したのがPDFベースのドキュメントコラボレーションです。
Acrobat ConnectによるWeb会議が始まる前に事前に資料を配布したりするだけでなく、会議中の皆の意見や、決定事項をPDF上で資料にコメント付与したり、関係資料をPDFに添付して、会議後に関係者に一斉配布したりすることで、会議後の情報共有、活用がよりスムーズかつ確実になりました。
ドキュメントが持つ情報の均一性、完全性、及び保管性と、音声、映像によるリアルタイムコミュニケーションが持つ情報の理解度の高さが互いにシナジーを生み出し、効果的なソリューションに至ったわけです。これは理屈ではわかっていたことですが、実際に利用を行うことで、その良さをアドビとしても再確認をするに至ったわけです。 また、PDF、Flash双方のコラボレーションを利用することで、それぞれの特徴をより引き出すことに成功しています。
PDFもFlashも、ご存知のとおり皆さんが日常的に接している、ユビキタスなファイルフォーマットです。これらを単に「見る」だけでなく、「活用」することに目を転じていただければ、なかなか効果のあがらなかったコラボレーション環境を大幅に改善することが可能です。コラボレーションは、導入ではなく、導入した後の利用率向上が大事なKPIです。本セッションでのアドビの体験を通じて、ぜひ皆様の会社、組織、あるいはパートナーやお客様とのコラボレーション環境構築に、PDF、Flashのソリューションをご検討ください。