アクセシビリティ

Adobe MAX 2006 フラッシュレポート


LC8: What’s Coming
Sanga Viswanasan
Adobe Systems

PDFベースのエンタープライズ向けサーバ製品及び開発環境であるAdobe LiveCycleの開発チームがご紹介するセッション。タイトルにある「LC8」とは、LiveCycle8の略称です。おそらくこのセッションが、デベロッパー、パートナーの皆様にLiveCycleの次期メジャーバージョンアップがversion 8(であろう)という事を正式にお話した最初の場ではないかと思います。

そう、米国ではLiveCycle7.2製品群がこの秋に出揃いますが、早くも次期メジャーバージョンアップの情報が紹介されました。これもMAXならではの出来事といえるでしょう。 では、次期バージョン:LC8ではどのようなNew Featureや変更点があるのかについて以下にレポートします。

最大の変更点:1product

LiveCycle製品群というと、とにかくその製品数の多さが目立つのではないでしょうか?LiveCycleが提供するソリューションは、大きくPDF生成(ドキュメント・ジェネレーション)、フォームソリューション(BPM)、セキュリティ(インフォメーション・アシュアランス)に大別されますが、それぞれのエリアにも複数の製品が存在します。

お客様やシステムの要求に従い、個々のコンポーネントを組み合わせるというコンセプトは良いのですが、時としてシステムのデプロイ時には複数のモジュールのインストールや個々のモジュール毎に決められたインストール手順などがあり、煩雑になることがありました。LC8では、機能ごとにモジュール化されていて、その組み合わせでソリューションに対応するというコンセプトはそのままに、デプロイプロセスを大幅に改善します。その方法とはすべてのサーバコンポーネントを「一つの」プログラムとして提供するという方法です。つまりLC8をご導入されるお客様は、どのモジュールの機能を使う場合でも、「全ての」LC8の機能がまずインストールされることになります。

あとはお客様が必要とするモジュールのライセンスのみを取得していただければ、必要なモジュールだけが動作するようになります。これにより、後で機能を追加する場合などに再インストールやアンインストールをする必要がありません。必要なライセンスだけを入手いただくだけで、既にインストール済の機能の中から、該当するものが利用可能になるわけです。わかりやすくいいますと、LC8ではサーバは「1Product」として提供されるようになり、お客様のもつライセンスに応じて機能がオン・オフするモデルになるわけです。

Eclipseベースに開発環境を統一

整理されたサーバ環境同様、開発環境も統一されます。
LiveCycleでは、フォームテンプレートを設計するLiveCycle Designer、及びLiveCycle製品と他のアプリケーションのオーケストレーションやプロセスの設計を行うLiveCycle Process Designerの二つの製品があります。
現行のLiveCycle7.xでは、Process DesignerのみがEclipse対応となっていますが、LC8ではフォームデザイン環境もEclipseとなります。これにより、Flex Builderとあわせて、アドビのエンタープライズ向け製品の開発環境は全てEclipseベースに統一されることになります。(現在Flex Builder 2.0ではEclipse3.1対応ですが、今後はLC、FlexともEclipse3.2対応となる予定です)

尚、今秋発売のAcrobat8にバンドルされるAdobe Designer8が、LC8のフォームデザイン環境と基本的には同じ機能をサポートして先行出荷されますが、AcrobatにバンドルされるDesignerはスタンドアロン版で、Eclipseプラグインの形ではありません。Eclipse対応のフォームデザイン環境はLC8の出荷まで今しばらくお待ちいただく必要がありますので、ご留意ください。

デベロッパーの開発生産性を向上するQPAC

現行のLiveCycle製品でもワークフロープロセスや、LiveCycle製品間の連携、他システムとのオーケストレーションを、QPAC(Quick Process Action Component)という、Javaベースのコンポーネント環境で設計、実装できるようになっていますが、これを実行するにはLiveCycle Workflowのエンジンが必要となっていました。別の言い方をしますとQPACを使った開発、実装をするには必ずLiveCycle Workflowのライセンスが必要となります。これに対し、LC8では、QPACは共通機能の一つに実装されます。つまりLC8のサーバ機能のどれかのライセンスを持っていれば、QPACでの開発、利用が可能になるわけです。たとえば、①帳票などをダイナミックにPDF生成 → ②予め用意されたカバーレターなどの他のPDFと一つに統合(束ねる) → ③統合されたPDFに電子署名を付与 →④決められたフォルダ等への格納 といった一連のPDF処理のプロセスをQPACを使って簡単に設計、実装可能です。また一度作成したQPACは、他のプロセスにも再利用可能です。このようにLiveCycleモジュールや他のソリューションを連携する上で、QPACは高い生産性を示します。デベロッパーの方々がより簡単にQPACを使える環境をご提供することで、今まで存在していたLiveCycle製品に対する、ある種の「敷居の高さ」がなくなることになります。また、まだ計画段階ですがFlexと同様に無償のテスト版のリリースも検討されているようで、多くのデベロッパーの方々に安心してお使いいただけるようになると期待しています。

Flexとの親和性を大幅に強化

LiveCycleと並び、アドビのエンタープライズ向け製品の主力であるFlashアプリケーションの開発フレームワーク、Adobe Flexとの統合もLC8では一段と進められます。まずフォームを使ったデータキャプチャーの機能について、従来のPDFフォームだけでなく、Flexを使ったFlashベースのフォームからのデータキャプチャーも標準で考慮されるようになります。

これで、オフラインでの利用や印刷の必要性、また電子署名などのコンテンツセキュリティ用件が必要な場合の入力環境にはPDFを、オンラインでリッチ(グラフ等によるシュミレーション機能など)な入力環境が必要な場合にはFlash(Flex)と、アドビの持つ2大フォーマットを標準でサポートできるようになります。また既存のPDFフォームから、FlexベースのFlashフォームの作成をウィザード形式で支援する「アクティビティ・ガイド」の提供や、管理用の画面がHTMLではなくFlash化される(ソースもMXMLで提供=カスタマイズ可能)となるなど、要所にFlexの技術が取り込まれます。

また、LC8のサーバの標準機能(の予定)として、Flex Data Servicesとのデータ連携用コネクターを用意し、サーバ環境の統合も進める予定となっています。

今、FlexでいろいろなRIAソリューションを構築されている皆様にも、そのバックエンドプロセスや連携するドキュメントソリューションとしてLiveCycleをご利用いただきやすくことと思います。

登場は2007年

気になるLC8の出荷時期ですが、会場でも世界中から集まった参加者より、「いつ出荷開始になるのか」について多くの質問が寄せられました。
本セッションでは、アドビからは明確な日程は示されませんでしたが、2007年の上半期を目標としている旨の話がありました(英語版のスケジュール)。

日本においても、年明けより一部のパートナー様方向けにベータプログラムの開始が予定されています。また年内の早いうちに日本でもデベロッパー、パートナーの皆様にLC8のプレビューをご紹介させていただくワークショップを予定しております。一段と進化するLC8にぜひご期待ください。