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「優れた顧客体験」の提供に不可欠な、デジタルマーケティングのためのクラウド基盤

2016年03月28日

【POINT】
  • デジタル時代に突入した今、企業には、ビジネスプロセス、インフラ、戦略の「デジタル変革」が求められている。その中心となるのが「優れた顧客体験」の提供だ
  • 優れた顧客体験には4つの側面がある。クラウドプラットフォームを活用すれば、それらを合理的かつ効率的に実現できる
  • 企業は、マーケティングの進め方の見直しを図ることはもちろん、組織体制の再構築や人材の育成を図り、よりスピーディーに、より最適な施策を実行していくことが求められている

 


今から10年前にも満たない2008年、iPhoneが日本でも発売され、Facebook日本語版が登場した。こうしたできごとと共に、「ITのコンシューマライザーション」とも呼ばれる、消費者市場向けテクノロジーの普及と質的変革が急速に進んだ。かつての、最先端テクノロジーは企業向けシステムから生まれていた時代とは、隔世の感もある。
 
消費者こそがテクノロジーの先端を行くこの時代に、企業は消費者といかにして向き合ったら良いのだろうか。
 
デジタルマーケティングをリードするアドビが開催した「2016年度 事業戦略説明会」において、アドビの佐分利ユージン代表取締役社長が語った内容から、企業が取るべき戦略をひも解いていきたい。
 
 

ここ数年、デジタル変革のカギを握るのは「優れた顧客体験」

 
顧客は、常時インターネットに接続し、いつでも、どこでも、好きなデバイスを使って多くの情報に接触している。これは、企業側からみると、顧客接点が増加し、位置情報やデモグラフィック、属性データなど、価値の高いマーケティングデータが得られるようになったことを意味する。
 
このことは、企業にとってビジネスチャンスの拡大つなげられる可能性を意味する反面、「常に情報へ接触したい」という顧客の期待値に応える必要性が高まったとも言える。実際に71%もの企業が、わずか2、3年前の10倍の量のコンテンツを制作している(アドビ調査「The State of
Content : Rules of Engagement
」より)。
 
このような状況下で企業には、「戦略」「事業プロセス」「業務基盤」などの経営資源を、デジタル時代の市場環境に対応できるように変革させること、すなわち「デジタル変革」が求められている。そして、デジタル時代の顧客の期待値に応えるためのカギが「優れた顧客体験」の提供だ。
 
 

顧客の期待に応える「優れた顧客体験」の4つの要素とは

 
アドビが提唱する優れた顧客体験には、4つの要素がある。
 
1つ目は、「魅力的なコンテンツ」だ。すなわち、顧客の興味を捉え、引き付ける内容を、顧客と接触するどのメディアにも快適な状態で届ける必要がある。
メディアの多様化により、魅力的なテレビCMを見た顧客は、9割近くがWebで追加情報を得ている(アドビ調査「消費者行動調査 2016」より)。また、店舗で商品を認知した顧客の6割以上が、スマホなどでWebを検索し追加情報を得ている。
 
2つ目は「パーソナル」だ。企業は、顧客が誰で、どこにいて、どういうことに興味を持っているかを理解する必要がある。
画一的な情報だけで顧客の関心を引くのは難しい。前述の調査によると顧客の実に83%が、企業から受け取った情報を「自分の関心から遠い」と回答している。パーソナライズしなければ、顧客にとってはノイズと同じだ。
 
3つ目は、「利便性」だ。たとえば、紙の伝票や書類の替わりとして、モバイルデバイス上で購入申込書に電子的にサインするだけで済めば、顧客の利便性を損なわずに済むだろう。
 
4つ目は、「あらゆる場所で」だ。いつでも、どこでも、顧客が望んだアクションを取れることが求められる。
 
優れた顧客体験を提供できないと、ビジネスにどのような影響があるのだろうか。調査によると、商品を検討中の消費者が、期待した情報が得られなければ、63%が購買を中断してしまう。目に見えない事業機会損失を招いているのだ。
 
では優れた顧客体験を提供するには、何が必要だろうか。それは、コンテンツとデータを最適に組み合わせ、適切なタイミング、最適な形で提供できる仕組みだ。企業のコンテンツ制作リソースは有限であり、業務効率化が欠かせない。アドビの調査では、85%の企業はコンテンツ制作プロセスを迅速化する必要があると考えている。
 
そこでアドビは、コンテンツとデータに関わる業務を効率化する、3つのクラウドプラットフォームを提供している。コンテンツ制作プラットフォームである「Creative Cloud」、ドキュメント業務の効率化プラットフォームである「Document Cloud」、そして、企業が顧客に最適な体験を提供するためのマーケティングプラットフォームである「Marketing Cloud」だ。
 
これら3つのプラットフォームの有機的な統合により、コンテンツ制作、管理、施策の効果測定、収益化までの一連の流れを合理化することができる。
 
 

クラウドプラットフォームが実現できること

 
なかでも、顧客体験の中心となるのが、Marketing Cloudだ。統合型マーケティングプラットフォームとしての地位を確立しており、日本においてもANA、日産などの大手企業が導入を進め、効果的なデジタルマーケティング戦略を推進している。
 
では、クラウドプラットフォームは、どんな「優れた顧客体験」を生み出すのか。同説明会で取り上げられた例を見ていきたい。
 
 

<架空の携帯電話会社「stellar(ステラ)」の事例>
 
架空の携帯電話会社「stellar(ステラ)」は、顧客とのエンゲージメントを高めたいと考えている。
 
  • より詳しく顧客を知る
顧客とのエンゲージメントを強化するために、ブランドはまず、顧客が<どのような人であるか>をよく考える必要がある。そこで、「Adobe Analytics」を利用し、「ターゲットの特定」を行った。
今回設定した顧客セグメントは、「iPhoneユーザーで、データ通信量は5GB以下のプランを利用、たまにパケット容量の制限をオーバーする、そして、ステラのWebサイトへの訪問はなし」というものだ。
 
 
  • 顧客が求める情報を、最適なクリエイティブで、最適なタイミングで配信
 
ターゲット顧客像を仮に「リサさん」とする。ブランドはまず、リサさんへメール配信を行う。彼女は少し古い端末を利用しており、最近はその利用も増え、データ通信量がかなりギリギリになっていた。そこでブランドは、顧客プロフィールに合わせ、「使用しているスマートフォンを新しい機種にアップグレードすると、データ通信量のプランも無料アップグレード」という内容のキャンペーンメールを送付した。
 
Adobe Campaignによるメール配信
 
 
ブランドは、「Adobe Campaign」を使用することによって、顧客セグメントにあった内容のメールを、最適なクリエイティブと共に配信することができた。
 
「Adobe Marketing Cloud」は基盤として「Adobe Creative Cloud」などのソリューションと連携し、クラウド上で共有されたクリエイティブの承認や作成といったワークフローを効率化する。これによって、クリエイティブを、メール配信やオンライン広告、ソーシャルメディア投稿など、マルチチャネルへいつでも活用できる。
 
 
  • モバイルアプリを通じたオファーリングを実施
 
ブランドは、キャンペーンメールからサイトに来訪したリサさんに、モバイルアプリのインストールを勧める。リサさんはモバイルアプリをダウンロードし、モバイルアプリ上で機種変更手続きを行った。
モバイルアプリを通じたオファーリング(提案)は、「Adobe Mobile Services」を利用して、マーケター自身が設定可能だ。モバイルアプリにメールと同じキャンペーン内容を表示することも、簡単に行える。
 
 
  • 店舗での購入体験を最適化
 
アプリ上で簡単に新しいスマートフォンへの機種変更手続きを完了することができたリサさんは、店頭で新しい機種を受け取ることにした。
 
この時ブランドは、O2Oの施策として、店舗での購入体験も最適化できる。たとえば、アプリのGPSから位置情報を取得し、店舗の近くまで来たリサさんに、アプリ経由で受付票を発行。店舗での待ち時間なく案内ができるようにできる。もし、店舗での対応に時間がかかる場合には、アプリから近所のコーヒーショップの割引券を発券し、待ち時間のストレスなく待ってもらうことも可能だ。
 
店舗来店時には、リサさんの直近のWeb閲覧履歴などから、リサさんにどんな商品を薦めればよいか、ショップの店員がタブレットから閲覧できるようにし、最適なサービスを勧めることが可能になる。広告、アプリ、サイトのパーソナライズだけでなく、リアル店舗での、人を介したコミュニケーションまで最適化できるのだ。
 
さらに、購入プロセスも、来店してもらう替わりに、モバイル上のデジタルサインで行えるようにすることもできる。

 
このように企業は、クラウドプラットフォームを導入し、顧客を知り、あらゆるチャネルで一貫したマーケティングコミュニケーションを行うことで、顧客とのエンゲージメントを高めることが可能になる。
 
 

日本におけるデジタルマーケティングは、今後どのように展開するのか

 
スマートフォンの契約数は2020年までには1億件を超えるといわれ、デジタルの普及は更に加速を続けていく。訪日外国人が過去最高となる中、外国人に向けたコンテンツの多言語化対応などのニーズはさらに高まっている。また金融やトラベル、製薬業界など、デジタルマーケティングを活用した業界の新たな動きも活発化している。さらに、グローバル企業においては、各地域で統一したデジタルマーケティング施策が実施できるよう、さらなるデジタル基盤の統一化が求められている。
 
このようにデジタルマーケティングの関心が高まる一方で、企業からは人材、ノウハウの欠乏という課題も大きいと聞く。企業は、マーケティング基盤の見直しを図ることはもちろん、組織体制の再構築や人材の育成を図り、よりスピーディーに、より最適な施策を実行していくことが急務だ。
 
そうした課題にアドビでは、クラウドプラットフォームの提供だけでなく、コンサルティングサービスにも注力し、マーケティング戦略策定、技術導入、運営支援など、人材育成や社内プロセスの再構築まで支援している。こうした社外からの支援を活用することも、企業の変革を促し、施策をスピード化するためには不可欠だろう。
 
「適切なときに 適切な人に 適切なコンテンツ」を届け、優れた顧客体験を提供していくということは、企業の競争力を高めるために、ますます欠かせない時代となっている。企業は一刻も早くそれに気づき、一歩を踏みだすべきだろう。
 
顧客を中心としたビジネスの発展のために、どのような視点でアプローチすることが求められているのか。 その詳しい解説はこちら
デジタル時代におけるマーケティングの中核概念
 
 
(UNITE編集部)
 
 

アドビ システムズでは、2016年2月、一般消費者の購買行動における意識調査を実施した。デジタルメディア時代の消費者行動から、「消費者といつ、どこで、どのようなコミュニケーションをとれば、購買意欲を高めることができるのか」を探った。
デジタルマーケティングを社内で推進していくにあたって、組織の壁に悩むマーケティング担当者は多い。まず整備しておくべき「組織作り」のポイントとは?

 

 

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