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2016年、マーケティングの単位は「デバイス」から「人」になる

2016年04月28日

【POINT】

  • これまでのデジタルマーケティングにおいて、施策の単位は「デバイス」が主流であり、多くの企業は消費者ではなくデバイスに対してマーケティングを行わざるを得なかった
  • 「Device Co-op」の登場により、複数のデバイスにまたがる「人」の行動を活用できる時代が到来した
  • マーケティング施策の予算配分もまた「人」を基点としたものに変わるだろう
 

1人の消費者がさまざまなデバイスを使い分け、複数利用する時代。PC、タブレット、スマートフォン、ネット接続したゲーム機……現代はネット接続されたデバイスに溢れている。「個人識別に関する調査(Get Personal report)」によれば、10人におよそ8人、若年層においては10人中9人の消費者が、複数のデバイスを切り替えながら利用している。電車の中でスマートフォンを使いニュースをチェック、帰宅するとPCでショッピングを楽しみ、ベッドに横たわりタブレットで動画を鑑賞する…多種のデバイスを利用する習慣を持つ人は、多数派になっている。
 
この「多デバイス化」は消費者行動を大きく変えている。例えば消費者が商品を購入する際、気になるサイトやアプリには高頻度に訪れるが、滞在に長い時間をかけず、すぐにそれを離れるという傾向がある。消費者はいわゆる「スキマ時間」を細切れに活用してさまざまなサイトやアプリを訪れ、満足するまで情報を収集した末に購買に至るケースが主流となっているのだ。
 
しかし、このデバイスの断片化(フラグメンテーション)は、これまで企業のマーケティング担当を悩ませてきた。複数のデバイスにまたがる消費者行動を結びつけるのは容易ではなく、デバイス単位でマーケティングを行わざるを得なかったのだ。商品を購入するのは消費者なのに、その実像を浮かび上がらせることが難しかったのである。複数デバイスを所有する一人を特定するには、CRMを整備して企業独自のID制度を設け、各種のデジタル接点で活用し、ID同志を紐付けなければならない。こうした投資を先行した企業だけが経デバイス化に対応していた。
 
しかしこの状況を打破し、多くのマーケターの「本当の消費者像を知りたい」という願いを叶えるであろう新たな動きが、2016年3月米ネバダ州ラスベガスで開催されたAdobe SUMMIT 2016で発表された。それが「Adobe Marketing Cloud Device Co-op(アドビ マーケティング クラウド デバイスコープ)」だ。
「Device Co-opは、デバイスをまたいだ消費行動の把握に新しい道を与える」と、アドビ デジタルマーケティング担当エグゼクティブバイスプレジデント兼GMのブラッド レンチャー氏は語る。
 
 

分析の単位は「デバイス」から「人」へ

 
Device Co-opは、最高水準のプライバシーと透明性を確保しながら、世界の大手企業の協業を通じて複数のデバイス接点を持つ消費者の識別向上を可能にするネットワーク技術だ。現時点でおよそ12億台のデバイスとのリンクが可能であるという。これまでGoogleやFacebookなど、閉鎖的なエコシステムのなかでしか実現できなかったクロスデバイスのデータアナリシスを、企業がオープンに(もちろん消費者の個人情報は厳密に守ったまま)情報を交換することによって実現するというものだ。
つまり、Device Co-opを利用すれば「αというデバイスを利用しているのは、βというデバイスも利用しているAさん(匿名)だ」と分かるということだ。この技術がマーケティングにもたらす変化は非常に大きい。
 
例えば、顧客の商品認知から購買へのプロセス(カスタマージャーニー)が、より見えやすくなる。アドビアナリティクスのトレバー
ポールソン氏は次のような例を挙げた。
「デスクトップで動画広告に触れ、直後購買に至った人がいた場合、今までなら、収益に貢献したのは動画広告のみだとみなされていた。しかしDevice Co-opを活用すれば、それ以前に同じ人物がスマートフォンでディスプレイ広告に触れてサイトを訪れ、さらにPCで検索広告からも訪れたことがわかる。収益に貢献した広告は、ひとつではなく3つだったということが判明するのだ」。
 
ほとんどの企業は、個々の施策の効果を評価して予算配分を調整するが、上記の例のようにデバイス単位の判断だと、動画広告だけを評価することになってしまう。しかしDevice Co-opを活用すれば、ディスプレイ広告、検索広告経由のエンゲージメントにも効果があったと認められ、少なくとも3点に投資を注ぐべきだということがわかる。
 
ポールソン氏はデモで、デバイスに基づいた広告貢献度評価と人に基づいた広告貢献度評価を比較して見せた。すると、両者には大きな開きがあった。つまりDevice Co-opの登場により、マーケティング投資にはまだまだ最適化の余地が大きく残されていたことがわかったのだ。
 
 

より、消費者の「人間像」が浮かび上がる

 
さらに、Device Co-opがマーケティングに大きな変化をもたらす可能性がある。それはターゲティングの精微化だ。デジタル広告をより適切な相手に届けられる可能性がより高まったのである。
 
ポールソン氏による説明はこうだ。
ある男性のPCでの行動から「ピザが好き」とわかり、さらにタブレットでの行動からは「ケーキが好き」とわかった。この男性の特徴は「高カロリーな食事が好き」と予測できる。さらに、スマホでの行動から「夜間に行動する」ということもわかった。そうすると、この男性を「高カロリーな食事を好む、夜型人間」とまで絞りこめる。
そこで、こうした男性と同様の傾向をもつ集団(セグメント)をつくり、ソーシャルゲームや周辺機器など、彼らに関連性が高い広告を打つことができるのだ。
 
ターゲットを絞り込むための情報が増え、より精緻化するため、今後はデジタル広告のクリエイティブを個人向けに最適化すること(ピープルベースマーケティング)も前進させる可能性がある。
 
このように、Device Co-opはマーケティングそのものを、デバイス単位から人単位へと一変するものとなる。アドビは2016年に米国から展開を始め、その後他地域へ順次展開してく見通しだ。「人」を単位としたマーケティングが実現することにより、企業は消費者に対し、より彼ら自身に関連性の高い体験をもたらすことができる。そして企業にとっては投資利益率(ROI)の改善などが期待できるだろう。
 
消費者が利用するデバイスの断片化は、今後も進んでいくと考えられる。一方で、デバイスごとに分断されたデータたちを効果的に拾い集め、繋げられるならば、デジタルマーケティングは次の次元に進んでいけるだろう。企業がとるべき戦略も変わるであろうことは言うまでもない。
 

 

 

Device Co-opが発表されたAdobe Summit 2016の各講演はこちらから

 

 

 


 

 

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