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カスタマージャーニーの時間を短縮:B2B半導体企業マキシム流、「真に顧客に選ばれるwebサイト」とは

2017年04月06日

【POINT】
  • webサイトは顧客に寄り添う「優秀な営業担当者」である
  • コンテンツはパーソナライズし、適材適所で出し分けることが必要
  • デジタル基盤を活用すれば、ビジネスの成長につながりそうなユーザー行動の変化を探ることができる

 

webサイトはだれのためにあるのか――。その命題に、半導体企業のMaxim Integratedは、次のような答えを出した。

「webサイトは、顧客のためにある。そして、わが社の顧客は、エンドユーザーであり購買決定者であるシステムの設計者だ」。

 


 

デジタル強化へ舵を切ったB2B企業のマキシム

 
Maxim Integrated(以下マキシム)は、米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く半導体企業だ。自動車業界向けの産業用ICをはじめ、ロボット業界向け、モバイルデバイス向けなど、さまざまな用途に利用されるICを、幅広い業界に向けて提供している。1983年の創業時から半導体業界のスーパースターを集めた陣容が注目を浴び、1988年には株式を公開。いまでは全世界に7000人の従業員を抱える規模へと成長した。
 
そのマキシムが2014年、webサイトを刷新した。Adobe Experience Cloudの先進機能をふんだんに利用し、顧客にとって必要な情報がすぐに手に入るようにデザイン。運用を開始して数年が経ち、「顧客に心から喜んでもらえるwebサイト」として多くのマーケターから高く評価される存在へと成長した。
 
 

webサイトは、顧客に寄り添う「優秀な営業担当者」

 
webサイトは、顧客に寄り添う「優秀な営業担当者」
 
同社の取り組みが優れている点は、webサイトを「優秀な営業担当者」であるとした上で、「顧客」像を明確に定義したことだ。自社の商材が選ばれる過程を見つめた結果、顧客は設計エンジニアであると定めた。購入意思決定権者ではなく、実際にシステムを設計し、そこにICを使いたいと考えている現場の人たちだ。そしてwebサイトは、彼らにとって必要な情報を、必要なタイミングで届けるという目的に特化したものへと作り直した。
 
 

総花的になりがちなペルソナ設定

 
webサイトをだれのために提供するのか、と考える際、多くの企業はステークホルダーすべてを思い浮かべる。たとえば、駄菓子メーカーなら実際に食べる子どもではなく、親に気に入られるマーケティングを目指すかもしれない。B2B企業でも、その対象が製品を実際に使ってくれる人なのか、それとも製品の購買決定者なのかによって、求められることは異なる。さらに、株主、採用、社員の家族、CSR、などと総花的な議論が始まり、「だれもがわかりやすいコンテンツを提供しなければならない」という結論に至るケースも多い。
 
 

イメージではなく機能美を追求

 
もちろん、そうしたアプローチも正解のひとつだろう。ビジュアルを生かして洗練されたコンテンツを提供し、企業イメージを高めてくれるwebサイトとして高く評価されているものも多い。それに対してマキシムは、見た目の華やかさでなく、情報へのアクセスのしやすさに機能美を求めた。トップページは、きちんと整理された情報が、タイル型インタフェースでわかりやすく目に飛び込んでくるデザインだ。
 
マキシムのwebサイト
 
■マキシムのwebサイト
情報が整理されており、わかりやすさを重視したデザインを採用
 

商談相手は決裁者か検討者か

 
このようなマキシムの、webサイトの定義については、多くの企業が頷くだろう。一方で、「営業担当者なのだから、決裁権を持つ購買決定者向けのコンテンツを充実させなければならない」という方向に議論が進むケースも多く見られる。
同社は、テクノロジー製品を扱うB2B企業である。もし購買決定者向けのwebサイトにしてしまえば、同社の定義する顧客、すなわち技術的な検討を行いたいエンジニアにとって扱いにくく、彼らの求める情報の少ないwebサイトができ上がってしまうかもしれない。同社が評価する「優秀な営業担当者」は、気が利き、真剣に顧客のニーズに向き合い、共に解決をめざす存在である。設計ライフサイクルのすべてのタイミングで顧客たるエンジニアに寄り添い、サポートし続けるwebサイトであることが大切なのだ。
 
同社のwebサイトは、その方向からぶれていない。顧客の認知を獲得し、選択してもらう。設計時にはふんだんなアドバイスをホワイトペーパーなどで提供。その後、分析、プロトタイピング、そして製造へと至るエンジニアのジャーニーのポイントすべてで、適切な情報を提供する。そうして一連の流れを高速化することが、喜ばれる顧客体験につながったのだ。
 
 

1万超のコンテンツを運用するため、最適なプラットフォームを導入

 
Adobe Experience Cloudの導入前、マキシムはさまざまなツールを寄せ集めてwebサイトを構築していた。簡易なCMS(コンテンツ管理システム)はあったが、公開は手作業。PIM(製品情報管理)システムとの連携は取られていなかった。管理するコンテンツは、1万をゆうに超える規模だ。webコンテンツに使用する画像や動画は担当者のPCに分散しており、元データを探すのは容易ではなかった。
 
 

マキシムが抱えていた課題

 
マキシムが抱えていた課題
 
リニューアル前のマキシムのwebサイトは、ツールの寄せ集めであった。同社はこの状況を抜本的に変えるため、Adobe Experience Cloudを同社のデジタル基盤として据えることを決断する。一気にすべてを導入するのではなく、まずはAdobe Experience Managerを稼働させ、webコンテンツの作成/配信およびカスタマージャーニーを捕捉する基盤を整えた。続いて、より優れたパーソナライズを実現するAdobe Target、解析用のAdobe Analytics、ソーシャルリスニングを可能にするAdobe Socialなど、使用範囲を拡大。顧客接点を広げると共に、webサイトを常に最適化し、顧客のニーズに合ったものへと改善し続ける仕組みを構築した。
 
 

アドビのエコシステムで、顧客のすそ野を拡大

 
アドビのエコシステムで、顧客のすそ野を拡大
 
特に気を配ったのは、コンテンツを適材適所で使い分ける仕組みだ。同社は、製品機能などを用途向けに深く解説するデータシートを用意しており、それが設計/分析段階でのキラーコンテンツになる。とはいえ、認知獲得時や選択時に、そこまで深い情報を提供する必要はない。そのため、データシートをわかりやすい内容に落とした「E-Brief」をPDFコンテンツとして切り出し、カスタマージャーニーの初期段階にある顧客に提供する。
 
こうして、データシートという深いコンテンツが、ライトなE-Briefとなり、顧客に選択してもらう際に有効に機能する。さらに、認知獲得のため、SEOを意識したコンテンツも作成。専門用語が多く、顧客の検索とマッチしやすいため、SEOにはデータシートの平文でも有効なのだが、平易な表現を使った読みやすいwebコンテンツとして展開した。
 
コンテンツは、モジュール化して管理され、パーソナライズして配置される。すべてのコンテンツにはタグがつけられており、ユーザー情報はドメインやCookieなどから取得。関心の高そうなコンテンツを、カスタマージャーニーの進捗に合わせて、自動でwebサイトテンプレートの空きスペースに配信している。
 
 

目指すのは、「購入以降のカスタマージャーニー」をサポートするwebサイト

 
B2B企業にとって、カスタマージャーニーは購入で終わるわけではない。顧客の顧客が購入してくれるところまでが、カスタマージャーニーと言える。その意味で、マキシムのwebサイトは、カスタマージャーニーをサポートする優れた仕組みになっている。
 
カスタマージャーニーをサポート
 
顧客の顧客まで見通した設計で、カスタマージャーニーをサポート
 
今後同社は、さらにAdobe Experience Cloudの適用範囲を拡大する計画だ。メールの配信管理やリード管理など、フルスイートとしての機能を最大限に活用していく。データから得られる知見を生かした各事業部との情報共有を、さらに加速したい考えだ。同社ではすでに、Adobe Analyticsを使用してページビューの伸びや人気コンテンツなどの情報を抽出しており、今後もビジネスの成長につながりそうなユーザー行動の変化を探っていく。
 
 
マキシム ジャパン株式会社 マーケティングコミュニケーション シニアスペシャリスト 酒井 奈央子氏は、このシステムの魅力について次のように話した。
「アドビのプラットフォームは、簡単なwebサイトを作ったことがある人なら、だれもが容易に操作できる使いやすいシステムです。私たちの“顧客に迅速に対応する”という戦略とアドビのビジョンに整合性が取れていることも魅力。これからも活用を深めていきます」。
 

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