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デジタルマーケティング推進に向けてIT部門が果たすべき役割とは?

2016年03月31日

 
【POINT】
  • IT部門は、マーケティングアプリケーションがこれまで導入してきた業務アプリケーションと異なる特性を持つことを認識しなければならない
  • IT部門がマーケティング部門を適切に支援するためには、ウォーターフォール型のアプローチとアジャイル/反復型のアプローチのバランスに留意する必要がある
  • IT部門は、所属する組織のマーケティング業務へのIT浸透度に応じて、デジタルマーケティングの実装と運用を支援することが求められる

 


業務の効率化から競争優位の確立へとIT投資のフォーカスが変化している。他社との差別化を図るためのITとして、代表的な存在であるデジタルマーケティングへの注目が高まる中、IT部門はどのようにテクノロジーの実装に貢献していくべきか。マーケティング部門の支援方法について模索しているIT部門とそのリーダーに向けて指針を提供する。

 
 

IT部門が理解するべきマーケティングアプリケーションの特性

 

これまでのIT部門は、業務効率化や生産性向上を目的として、マーケティングアプリケーションとは異なる特性を持つ業務アプリケーションへの投資にフォーカスしてきた。

 

マーケティングアプリケーションはどのような点で他の業務アプリケーションと異なるのか。IT部門がアプリケーション特性の相違を理解するには、ステークホルダーに着目する必要がある。マーケティングアプリケーションで重視するべきステークホルダーは、社内のマーケティング部門というより、むしろ消費者/顧客という社外のステークホルダーである。マーケティングは、自社の競争優位確立のために社外の消費者/顧客に働きかける業務であり、そのプロセスの実行を支援し、マーケティング部門に意思決定の材料を提供するのがマーケティングアプリケーションである。

 

ビジネス環境や消費者/顧客との関係は常に変化する。だから、マーケティング部門がマーケティングアプリケーションに求める要件は、変化に敏感にかつスピーディーに反応できることとなる。これまでは難しかったが、現在のテクノロジーではデジタル世界での消費者/顧客の行動はデータ化されており、それぞれを個人として扱うことも可能である。また、データから得られる顧客インサイトを利用し、顧客をより深く理解することもできる。

 

従って、IT部門がマーケティング部門を支援する前に理解しなくてはならないのは、マーケティングアプリケーションが社内向けのアプリケーションではないという点である。

 
 

マーケティングとITの橋渡しで求められるテクノロジー実装のためのアプローチ

 
多くのIT部門はマーケティング部門を支援したいと考えている。では、どのような分野でマーケティング部門に貢献できるのか。具体的には、マーケティングアプリケーションの実装の他、マーケティングアプリケーションとこれまで導入してきた業務アプリケーションとの連携でリーダーシップを取ることになるだろう。
だが、IT部門がこれまでと同様に、利用部門とユーザー本位にアプリケーション導入を支援すればいいと思うのは早計である。マーケティングアプリケーションは、外部ステークホルダーとの関係構築と維持にフォーカスしており、財務部門や調達部門といった、社内ユーザー向けの業務アプリケーション導入支援を行った過去の経験だけでは支援に困難が伴うことが予想されるからだ。
 
前述したアプリケーション特性を踏まえると、テクノロジーの実装には特性に応じたアプローチを採用する必要があることを認識しなくてはならない。その意味で、要件を固めてから次のステップに進むウォーターフォール型の実装アプローチは適していない。ウォーターフォール型はIT部門にとってこれまで最も親しんできたアプローチであるが、IT部門がマーケティング部門を適切に支援するためには、スピード重視のアジャイル/反復型のアプローチを積極的に習熟し、実践していくことが不可欠である。
 
ただし、デジタルマーケティングに関するテクノロジーの実装において、ウォーターフォール型が完全に不要になるわけではないない。マーケティング業務にも効率性は必要であるし、マーケティングアプリケーションと既存の業務アプリケーションとの連携を視野に入れると、どちらかのアプローチに特化すればいいというものでもない。これからのIT部門に求められる役割は、マーケティングアプリケーションが求める俊敏性と、既存アプリケーションが求める安定性や信頼性という、相反する2つを「調整」することである。ITアドバイザリ企業であるGartnerが2015年7月に発表した提言「『デジタル・マーケティング』に取り組むITリーダーの心得」では、2つのアプローチのバランスを取ることの重要性を「バイモーダル・アプローチ」という用語を用いて説明している。
 
 

マーケティングとITの関係性を踏まえたIT部門の取るべきアクション

 
国内ではマーケティング活動の重要性を認識し、マーケティング部門を強化する傾向が明確になってきた。先進的な企業では、マーケティング活動における意思決定が、事業戦略の成否と密接な関係があることを経営層が理解している。Gartnerが発表した調査結果によると、「日本企業におけるCMOもしくはそれに相当する役員を社内に有する割合」は2013年から増加傾向にある。この結果からは、デジタルテクノロジーはマーケティングを変革し、市場競争で勝つためのドライバーであると捉える企業が増加している傾向が伺える。
 
CMOという役割は、長く日本企業にはなじまないと考えられてきたが、テクノロジーへの投資に対して権限を持つリーダーの任命や組織の整備は、デジタルマーケティングへの投資対効果を最大化するために不可欠である。しかし、実際のところ、マーケティング業務へのIT浸透度は、国内では個々の企業によりかなりの温度差があるだろう。デジタルテクノロジーは、すべてのマーケティング活動をカバーしているわけでもない。この現状を踏まえると、IT部門にはデジタルマーケティング実践に向けての組織の成熟度に応じた支援が求められる。
そこで、先述のGartnerによる提言では、デジタルに特化したマーケティング部門がない状況から、最終的にはデジタルとリアルが融合したマーケティング部門に進化していくと仮定し、以下の4つの組織パターンに応じたアクションを推奨している。
 
  • 従来型マーケティング業務を担っている組織が存在するが、システム的な対応が不十分な場合
  • デジタルに特化したマーケティング部門が新設され、IT部門がテクノロジー実装を担う場合
  • デジタルに特化したマーケティング部門がテクノロジー実装までを担う場合
  • デジタルとリアルを連携させたマーケティング部門が存在する場合
 
IT部門に求められているのは、何よりも迅速なテクノロジーの実装である。同提言では、アジャイル/反復型のアプローチの実践が求められるのは、「デジタルに特化したマーケティング部門が設置されてから」を想定している。余裕があるならば、アジャイル/反復型のアプローチによるアプリケーションの実装経験を積んでおきたい。そして、デジタルマーケティングを推進できる体制が整備され、テクノロジーへの投資が始まった際は、できるだけ慎重に機能を提供したいIT部門の姿勢が、早く機能を使いたいマーケティング部門との間で摩擦を発生させる原因にならないよう、IT部門にはマーケティング担当者との情報共有と相互理解を深めることが求められる。
 
 

結論

 
デジタルマーケティングに関連するテクノロジーの発展と共に、企業の導入体制も整備が進んでいる。IT部門は、まずマーケティングアプリケーションの特性を理解することから始め、組織の形態に応じたアクションを実行しながら、テクノロジーの開発/運用方針に習熟していくことが求められる。文中内で紹介したGartnerレポートも参考にしていただきたい。
 
※Gartner提供レポート 【 「デジタル・マーケティング」に取り組むITリーダーの心得 】は、アドビからのライセンス提供を2016年9月末をもって終了しました。ご覧になりたい場合は、直接ガートナージャパンからご購入いただけます。

 

 

IT部門が所属する組織のパターンに応じてデジタルマーケティングを支援していくための具体的なアクション解説はこちら。

 

 


 

 

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