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CIOがCMOと連携してデジタルマーケティングを実現する秘訣とは?

2016年06月29日

【POINT】
  • デジタルマーケティングに取り組むためにCIOがCMOを支援しようとするとき、まず自社におけるマーケティング部門の目的を理解するところから始める。
  • CIOは、全社的な業務プロセスとデータの観点から、デジタルマーケティングにおける企業ITの中長期的なロードマップを構想し、CMOと共有することが望ましい。
  • デジタルマーケティングを支援するテクノロジーは3系統あり、実施目的が明確な「実行系」アプリケーションから始めるとよい。

デジタルマーケティング関連のテクノロジーは、世界的に目覚ましい発展を続けている。国内でも、経済のグローバル化や消費者/顧客行動の多様化に対応するため、CMOを任命し、テクノロジーを活用したマーケティング業務の強化に注力する企業が着々と増えてきた。2013年には「CMOあるいは相当する役員の存在」がある企業は25.8%だったが、2015年には39.9%にまで伸びている(Gartner「デジタル・マーケティングの実現方法」より)。
 
この記事では、デジタルマーケティングに積極的に取組み、業績向上というゴール達成を目指すマーケティング部門を支援したいと考えるIT部門が行うべきアクションプランを紹介する。
 
 

CIOがCMOを支援する前にするべきこと

 
国内におけるCMO(役割が準ずる人も含む)の増加は、企業戦略におけるマーケティングの重要性が増大し、マーケティング部門の新設や強化を進める企業が増加していることを示唆している。
背景には次のような事情がある。例えばB2C企業では、マス広告を打てばモノが売れた時代を経た後、価値観の多様化という市場変化に直面している。マーケティング部門は市場セグメントという「面」への認知訴求ではなく、消費者一人ひとりという「点」を対象に、「個客」のニーズに対応しなければならない。またB2B企業では、国内企業の場合は特に、マーケティング部門よりも営業部門の方へと経営リソースを傾斜配分してきた歴史が長い。これまでは、得意先に絞り込んでクロスセルやアップセルを重視してきたとしても、新しい商圏や顧客を開拓することも同時に取り組んでいかなくてはならない。
ただし、取組みをリードするマーケティング部門の成熟度は、企業により異なる。新規事業の立ち上げに伴いマーケティング部門が新設されたり、従来は営業部門の中にあった拡販チームがマーケティング部門として独立したり、広告宣伝部がマーケティング業務を強化したり…など、デジタルマーケティングのスタート事情は企業により様々だろう。いずれにせよ、これまでIT部門にとって接点の少なかった新しいユーザー部門との関係構築が始まる。マーケティング部門と連携し、デジタルマーケティングに取り組む際は、CIOがまず自社におけるマーケティング部門の現在の目的や役割を、組織的な観点から理解する必要がある。
 
 

CIOとCMOに求められる相互協力関係

 
マーケティング部門は、テクノロジー実装にスピード感を求める点で、これまでIT部門が接してきたユーザー部門とは異なる価値観を持つ。具体的には以下のような点だ。だからこそ、マーケティング部門のテクノロジー利用に制約を設けるようなIT部門のサポートは、組織の中で摩擦を起こす可能性があることに留意が必要である。
 

俊敏性

マーケティング部門からの要請は、外部のビジネス環境からの期待を反映している。ブランドと消費者/顧客との関係は刻々と変化するため、マーケティング部門は、プロセスと意思決定の両方を迅速に行わなくてはならない。その実現には、計画、実行、監視、効果測定までの一連の処理を効率化することが望ましい。マーケティング領域はすべてが自動化できる訳ではないため、人の判断とテクノロジーによる自動化とが最適配分されたプロセスの確立が望まれる。そして、プロセスを効率化すれば、パーソナライズされた顧客エクスペリエンスの提供が可能になり、展開できる施策の数も相対的に増加する。煩雑な手作業に忙殺されることがないよう、マーケティング部門は、IT部門に自分達が施策の展開に専念できるような側面からの支援を期待している。
 

柔軟性

さらに、最近のマーケティング部門では、顧客を深く理解するため「データドリブン」な施策を意識するようになってきている。プロセスとデータのマネジメントを自分達で行おうとする意識は、他のユーザー部門よりも強い。これは施策の展開において、消費者/顧客の反応を見ながら、状況に応じた柔軟な対応を行う必要があるためだ。マーケティング部門は、短期間で小さい調整を積み重ねながら、施策を展開していく。またマーケティング部門は、営業や販売部門、商品企画、広報、経営層、そして代理店や制作会社など、社内外の多様なステークホルダーと臨機応変に情報を共有しながら施策を進めている。だからこそ、IT部門に求められるのは、短期の課題の解決ではなく、中長期的な観点からの支援になる。
 
IT部門にとって、マーケティング部門を支援する際の鍵となるのは、デジタルマーケティングの全体構想になるだろう。現在利用しているテクノロジーが、マーケティング部門内の利用に留まっていたとしても、IT部門が運用している他のビジネス部門のデータを合わせて活用したいというニーズが後から出てくることが予想される。マーケティング部門としては、社内に蓄積された顧客に関するデータはすべて活用したい。だが、その場合に困るのが、社内の他のシステムがサイロ化されていて、マーケティングシステムとのデータ連携がうまくできないケースだ。これは全社的に大きな機会損失につながりかねない。このリスクを小さくするためには、全社的なプロセスとデータの側面から、デジタルマーケティングの中長期的ロードマップをCMOとCIOが共有し、テクノロジー実装支援の時期を明確にすることが役立つ。
 
 

IT部門がマーケティング部門から協力を求められた時の適切なアプローチ

 
IT部門がマーケティング部門に支援を求められた時は、デジタルマーケティングがもたらすビジネス価値を考慮し、あるべき全体システムに順次近づけていくような段階的アプローチが望ましい。ビッグバンアプローチを取らないのは、消費者/顧客とブランドの関係の変化に応じて、最新テクノロジーへの追随とマーケティング業務のデジタル化を両立させなくてはならないためである。
Gartnerによれば、デジタルマーケティングを支援するテクノロジーは、「実行系」「運営系」「分析系」に大別される。Gartnerは、この3つの系統のうち、最初は「実行系」のアプリケーションの導入から着手することを推奨している(Gartner「デジタル・マーケティングの実現方法」より)。「実行系」のアプリケーションの代表的なものとしては、マルチチャネルキャンペーン管理(MCCM)やリード管理などがある。
MCCMは不特定多数の消費者を対象とするB2C企業向け、リード管理はB2B企業や顧客データを持つB2C企業向けという違いはあるが、自動化のニーズが明確なマーケティング業務に焦点を当てたものである点で共通する。他の「運営系」「分析系」のテクノロジーは、社内に標準的なプロセス自体が確立されていないケースや、必要なデータソースが統合されていないケースがあり、導入の前に解決しなければならない課題が多い。これに対して、「実行系」のテクノロジーは、実装後に大きな改善効果が期待できる。
そして、実装過程で全社視点での成果や課題が明らかになれば、両部門で共有しているデジタルマーケティングのロードマップを、IT部門が統括している企業ITの全体アーキテクチャーと合わせ、具体的な解決策の特定に役立てることができるだろう。
さらに、基幹システムとデジタルマーケティングのためのテクノロジーの全体像を構想する際、後者のあるべき姿として参考になるのが、Gartnerの定義する「デジタルマーケティングハブ(digital marketing hub)」である。これは、顧客データ、業務ワークフロー、施策の編成、計測と最適化など、「実行系」「運営系」「分析系」をバランスよく連動させたテクノロジー基盤に相当する。
IT部門は、ロードマップに沿って段階的に成熟度を高めていくうえで、この「ハブ」の実現を目指すことが、俊敏性と柔軟性を担保しながら、あるべき全体アーキテクチャーへとたどり着く道しるべとなるだろう。
 
 

結論

 
マーケティング部門を支援したいと考えるIT部門には、マーケティング業務の目的やビジネス価値を理解し、新しい価値観を持つマーケティング部門と円滑な関係を構築していくことが求められている。そのための鍵になるのはゴールの共有である。マーケティング部門が短期的なテクノロジーの流行に踊らされることがないよう、中長期的なデジタルマーケティングの全体構想を示すテクノロジーロードマップを共有することが、CMOとCIO両方にとっての課題となるだろう。以下のGartnerレポートも参考にしていただきたい。
 

 

 

デジタルマーケティングの実現に向けて、ITリーダーが推進すべき先取的なアクションとは

 

 


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