UNITE

 

 

 

 

 

顧客体験の視点で考えるモバイルアプリ戦略の必要性

2016年07月07日

【POINT】
  • モバイルタッチポイントとひとことで言っても、コミュニケーションの時間帯や場所によって、顧客の心理状況や期待値は異なる
  • 最適な顧客体験を提供するためには、顧客体験全体の視点を持ったモバイルアプリ戦略が欠かせない
  • 最適なモバイルアプリ戦略により、顧客の企業に対するエンゲージメントは高まり、最適な顧客体験を実現することができる

いまや、スマホの国内普及台数は6000万台を超え、人々がモバイルに接触する機会、モバイルモーメントは「1日に125億回」も発生していると試算することが出来る。
これは企業にとって課題であり機会でもあるだろう。従来のコミュニケーション方法が通用しない反面、適切に活用することができれば、密接な関係を築くためのコミュニケーション手段にすることができるからだ。そのカギを握るのが、企業が顧客向けに展開するモバイルアプリである。このモバイルアプリを活用する戦略があるかないか、それこそが、今後の企業の成功を左右するといっても過言ではない。
 
しかし、多くの企業では、きちんとした戦略を持たないまま、アプリのダウンロード数だけをKPIとして評価しているというのが現状ではないだろうか。企業はモバイルを通じ、顧客とどのようにエンゲージメントを構築していくべきか、顧客体験の視点からモバイルアプリ戦略を考えていく必要がある。
 
 

同じモバイルでも、コミュニケーションの時間帯や場所によって顧客の心理状況や期待値は異なる

 
現在、一人がスマホを見る回数は1日平均で150回から200回といわれる。国内普及台数(6000万台)を単純にかけ合わせると、国内全体のモバイルに対する接触機会(モバイルモーメント)は、毎日、95億回から125億回にものぼる。またWebサイトへのアクセスだけを見てみても、業種を問わずデスクトップからのアクセス数をモバイルが上回る傾向が見られる。
 
ここで、モバイルアプリとモバイルブラウザからの利用状況を代表的な業界別に見てみると、面白いことがわかる。例えば小売業界ではモバイルからのアクセスのうち、アプリからのアクセスの割合はごく僅かにとどまっている。一方、メディア業界ではアプリからのアクセスがかなりのボリュームを占めていることが調査からわかってきている。
 
用途別に見てみるとまた違った傾向が見えてくる。例えば金融業界においては、情報収集はブラウザ経由で行われる傾向が強いが、口座の残高確認など個人情報をやり取りする通信についてはアプリが選ばれる傾向にある。
 
同様に小売業界では、トピックの検索/閲覧などの情報収集ではブラウザが好まれ、商品購入はアプリが好まれる。このように一口にモバイルといっても、ブラウザとアプリで利用目的や顧客が期待するサービスの内容が異なる。このことを企業はしっかり理解しておく必要があるだろう。
 
また、顧客がモバイルをいつ、どこで利用するかという要素も考慮する必要がある。通勤時間帯にスマホで情報を収集する時と自宅のリビングでタブレットを利用する時では、デバイスへの接触態度やユーザーの心理状態そのものが異なることは、容易に想像できるはずだ。
 
つまりモバイルにおいては、 時間帯や場所、デバイスによって、そのメディアに対する顧客の心理状況/期待値が異なる。それは、今後企業が顧客とのコミュニケーションを考える上で、外すことができない認識となるだろう。
 
 

モバイルアプリの「戦略」は、なぜ重要なのか

 
優れた顧客体験を提供する必要性があるにもかかわらず、モバイルアプリの戦略を持っていないという企業は多い。アメリカ市場を例にとると、モバイルアプリ戦略を持っている企業は、モバイルアプリをリリースしている会社の3分の1という調査結果がある。
しかし、アプリ戦略を持たないということは、アプリを公開してもそれをビジネスに活かすための指針がない、ということである。つまりパフォーマンスを評価する評価指標(KPI)も持てないため、効果を測定することさえもできない。
 
多くの場合、アプリのパフォーマンスを評価する項目として挙げられているのはダウンロード数のようだ。アドビがEconsultancyと共同で行った調査(英文pdf)によると、モバイルアプリの評価項目として「ダウンロード数」を採用しているケースは76%にも上っている。
 
そしてこの調査によればアプリを公開している企業の半数以上が、再起動回数や時間、売上、リード獲得件数、コンバージョン率などを評価していないということだ。「ダウンロード数偏重」の傾向は相変わらず強いと言えるだろう。
 
多数のモバイルアプリが公開されている今、公式マーケットにはそれぞれ約140万タイトル以上が登録されているという。そのように数多くのアプリがリリースされている一方で、「ユーザーがアプリに接触する時間の8割は、SNSなどたった5つの人気アプリが独占している」とも言われている。
 
また「26%のアプリは、ダウンロードされたあと、1度起動した後は2度と使われない」という調査結果もある。そう考えると、冒頭で述べた125億回の接触機会のうち、企業がリリースするアプリに割り当てられた回数は非常に少ないと言わざるを得ない。
 
こうした状況にもかかわらず、企業はダウンロードという指標だけで、どこまでアプリの効果を測定することができるというのだろうか。
 
 

自社のモバイルマーケティング成熟度を確認すべき

 
アドビ 祖谷氏
 
アドビ コンサルティングサービス本部 DMSコンサルティング部部長の祖谷氏によれば、企業それぞれのモバイルマーケティング成熟度によって、レベルに応じたとるべき対策があるという。その成熟度とは、以下のように整理される。
 
レベル1:
デスクトップ向けのサイトをモバイルに作り替え、モバイルを施策に加える段階だ。デスクトップ用の入力フォームを小さいスクリーン上にそのまま出すなど、インターフェースの最適化は行われていないことが多い。
 
レベル2:
モバイルユーザーの期待値に応えるため、モバイルを起点にサービスを設計、提供する段階だ。
 
レベル3:
カスタマージャーニーマップや、ユーザー調査などにより、顧客を深く理解し、顧客ライフサイクルを考え、複数の接触機会における結合要素としてモバイルを捉える段階だ。顧客目線で様々な接触機会、チャネルを結合してモバイルサービスを設計している。
 
レベル4:
モバイルを活用し、従来のビジネスモデルを破壊するほどの新しい顧客体験を提供し、ブランドの競争力を改善する段階だ。
 
例えばレベル1の企業であれば、「インターフェースの最適化」を最優先するべき段階にあるということがわかる。まずは自社のレベルを確認して戦略を練るべきだろう。
 
 

優れた顧客体験に必要なのは、「コンテンツ」と「データ」

 
アドビ 祖谷氏

 

今後、優れた顧客体験提供のためにモバイルアプリの活用が欠かせないということは、これまでの説明で理解していただけたと思う。

そして、デバイスを問わず優れた顧客体験提供に重要なのは「コンテンツ」と「データ」だ。すばらしい顧客体験を構築するには卓越したコンテンツが必要となるし、また、その体験が顧客にとってすばらしかったかどうかは、データによって客観的に見極め、次に活かす必要がある。これらができて初めて、企業は一貫性があり(Consistent)、継続的で(Continuous)、顧客の心をつかむ(Compelling)顧客体験を提供できるのだ。

 

それを強力にバックアップするのが、マーケティングプラットフォームである。例えば、Adobe Marketing Cloudの場合、モバイルアプリの「効果測定(Measure)」と「収益化(Monetize)」の機能がしっかり備わっている。顧客がどこからアプリをダウンロードし、どこで、どれだけ利用しているのか、どれだけ収益に貢献しているのかを分析することができるのだ。

 

モバイルアプリを通じ、顧客とどのようにエンゲージしているかを正しく把握できるため、その情報をセグメント設定に活かすことができる。たとえば、「ハイバリューユーザー」には配送料無料などの特典を、「ローバリューユーザー」にはクーポン提供やセール品情報などを提供することによって、それぞれのロイヤルティを高めるための的確なターゲティング施策を実現することが可能だ。

 

実際の例を見てみよう。Adobe Marketing Cloudを導入したメジャーリーグのアプリ「MLB.com」では、様々なシーンで優れた顧客体験を提供している。たとえば、顧客の位置情報をリアルタイムに把握し、球場の入場ゲートが近づくとチケットのQRコード表示をうながすプッシュ通知が届く。また入場後に、飲み物やお菓子、グッズを購入できるスタジアム内専用のアプリを案内し、顧客体験のクオリティをさらに高めている。

 

メジャーリーグのアプリ「MLB.com」
 
もちろん、アプリ内で表示するメッセージやプッシュ通知の効果は、Adobe Marketing Cloudによって簡単に検証、改善することができる。
 
 

最適な顧客体験を届けるために

 
モバイルアプリにおいては、最適な顧客体験を提供することが肝要だ。そのためには、様々なニーズを持つ、それぞれの顧客の、一つひとつのモーメント(心理状況)を踏まえ、顧客体験全体の視点に基づいた戦略が欠かせない。
 
この優れた顧客体験とは、どのようなものだろうか。それは顧客の視点に立ったとき、以下の4つの要素を備えているもの、と定義できる。
(1)「私を知ってくれて大事にしてくれている」と顧客が感じられる
(2)「常に一つのブランドとコミュニケーションできている」と顧客が実感できる
(3)テクノロジーの難しさを感じさせない
(4)顧客を常に喜ばせ、よい意味で期待を裏切る。そして、期待を維持させることができる
 
まずは、しっかりと戦略を立てたうえでモバイルアプリを設計し、マーケティングプラットフォームによって「コンテンツ」と「データ」を活用していくことで、上記のような最適な顧客体験を実現できるだろう。
 
(UNITE編集部)

 

 

モバイル体験の提供にまつわるあらゆる課題を解決するために

 

 


優れた顧客エクスペリエンスを提供するために

効率的で安心できる基盤を構築したい

さらに詳しく ›

コンテンツマーケティングを効率化したい

さらに詳しく ›

 

 

顧客を知り、関係を築く、総合マーケティングソリューション

顧客を理解し、顧客を魅了するために、あらゆるデータとコンテンツを集約し、一人ひとりに最高のエクスペリエンスを提供します。
 

 

関連記事

 

コミュニケーションロスが売上損失に直結。アドビ「消費者行動調査2016」に見るデジタル時代の消費者意識とは
アドビ システムズでは、2016年2月、一般消費者の購買行動における意識調査を実施した。デジタルメディア時代の消費者行動から、「消費者といつ、どこで、どのようなコミュニケーションをとれば、購買意欲を高めることができるのか」を探った。
 

 

時代遅れのモバイル アーキテクトにならないための、3つの注意点
自分が知りたい情報は、欲しいときにすぐ得たい。購買を決める瞬間に、スマートフォンに手を伸ばすモバイルユーザーが増えている。顧客が感じる、今この瞬間のニーズ(マイクロモーメント)を満たすために、マーケターは何をすべきなのか?
 

 

コンテンツ創出を加速せよ:消費者に届ける体験を最適化するために、企業がすぐできること
デジタル化が進むにつれ、消費者は自身の興味にぴったり合った情報だけが欲しいと考えている。また企業のコンテンツ提供において重要なのがスピードだ。顧客が求める質の高いコンテンツをスピーディに提供するために、企業は何をすべきなのか。
 

 

  • Adobe Marketing Cloud

    顧客を知り、関係を築く、総合マーケティングソリューション

    さらに詳しく