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2017年、マーケティングトレンド予測トップ10

2017年01月12日

【POINT】
  • ビジネス慣行に透明性が求められ、顧客との直接的な信頼関係の構築がより必要となる
  • デジタルアシスタントやチャットボットといった形でのAI(人工知能)の利用が、モバイル中心の動きをさらに加速していく
  • デジタル黎明期の甘えが許された時代が終焉を迎える。デジタルメディアがトップランナーの座につくからには、アカウンタビリティ(説明責任)の徹底が必要となる

2016年の米大統領選もようやく終わり、USではマーケティング領域にも「普通」の日々が戻ってきた。少なくとも、今は何が「普通」なのか、という議論を再開しても良いだろう。自動車や住居など、日常生活の中に急激なデジタル変革の波が押し寄せている。「2017年は、そのトレンドの多くに世の中が適応していく年になるだろう」と、マーケティングリーダーたちは予測している。
 
「我々は今、従来の考え方と新しい現実の狭間に立っている。このふたつの世界は、うまく交わらない」と、Magna North America社のデビッド コーエン社長は述べている。「現在の立ち位置は、中間地点ということになる」
 
この「中間地点」については、我々の予測が当たった部分もある。例えば、仮想現実(VR)の主流化や、透明性、虚偽広告、広告ブロックなどに関する議論が活発化していることだ。これらのトレンドは、予測よりもずっと早く現実になった。一方で、「ソーシャルショッピング」や、マーケターが消費者からデータを購入するモデルなどは、未だスムーズに進んでいない。
 
ひとつだけ確かなことがある。モバイル領域をはじめとしたデジタルメディアの台頭が進み、デスクトップはデジタルチャネルとしての主流的地位は後退する、という流れだ。ZenithOprimediaの予測によると、米国、アジア、欧州の好景気を受け、2017年の広告費は全世界で4.5%上昇し、デジタル広告予算は、2018年まで年率14%増加すると見込まれている。オンライン広告費は2017年にテレビコマーシャル費を抜き、そのうち52%がモバイルに流れ、2018年には60%にのぼると予測している。
 
「モバイルファースト」のデジタルトレンドに市場全体が適応を続ける中、2017年のマーケティングトレンドトップ10を予測してみよう。
 
 

2017年のトレンド予測1. 大衆意識の変化

 
2015年の時点で我々は、「マーケターは今後、より社会階級を意識した消費者と向き合う必要に迫られるだろう」と予測していた。2016年の米国大統領選挙とイギリスのEU離脱という二大投票イベントの結果を見ても、この予測が現実になりつつあることがわかる。
 
「今は『アラブの春』的な時期にあたると思う。旧体制の多くを打倒したものの、代わりとなる体制はまだ存在していない」と、Wired誌で論説委員を務めるジェイソン タンツ氏は述べている。
 
コンサルティング会社Future Laboratoryの共同設立者であるクリス サンダーソン氏も、次のように述べている。「メディアにおける変化と、インターネットがもたらした情報の民主化により、旧時代の体制は崩れた。しかし、そこにはぽっかりと穴が空いている。大衆はこれまでよりも社会的不平等を意識しており、消費者(特に若い世代)は「ポスト物質主義」へと傾倒しつつある。マーケターはこうした情勢を受け、ブランドロイヤルティや、消費者とブランドの関係性といった原則を再考しなければならない」
 
リサーチ会社Forresterはすでに、2017年の消費者は「サービスとしての製品」を扱う企業に目を向ける、と予測している。カーシェアリングのZipcar、ハイファッションレンタルのRent-the-Runwayなどが良い例だ。「未来はすでに到来している」とサンダーソン氏は言う。「到来してはいるものの、まだ十分に流通していないだけだ」
 
 

2017年のトレンド予測2. 信用問題への取り組み

 
2016年、USではマーケティング領域の信用に関わる製薬/金融大手の不祥事が相次いだ(Mylanのエピペン値上げ問題、Wells Fargoの偽口座開設事件など)。保険会社Prudentialでマーケティング バイス プレジデントを務めるジェニファー パトニー氏は、マーケターは2017年、信用問題にもっと直接的に取り組み、あらゆる接点において顧客の信用を得る努力をしなければならないとしている。
 
信用の問題は、すべての業界に影響する。既存の体制を疑問視する大衆の声は、先行きが不透明な世界政治の現状にも反映されていると、Future Labのサンダーソン氏は述べている。
 
マーケターは、顧客とより直接的なつながりを持ち、透明性を確立していくべき、とパトニー氏。「より個人的なレベルで、ダイレクトに信用を勝ち取っていかなければならない。マーケターには、今よりも賢く行動することが求められる」
 
 

2017年のトレンド予測3. デジタル企業身売りの増加

 
マーケティングとメディアにおけるM&A(吸収合併)が増えている。VerizonによるYahoo買収、MicrosoftによるLinkedInの買収などは、序の口といっていいだろう。吸収合併が進む背景には、事業拡大ニーズ、オムニチャネル対応への需要拡大があると、業界識者は見ている。
 
コンサルティング会社Luma Patnersのテリー カワジャCEOによると、世のマーケターは「パートナー疲れ」の状態にあるという。大量のパートナーやベンダーとの取引を抱えてしまったCMOたちは、取引先運用が非効率な状態に陥りがちだ。「本当にそんな数の取引先が必要なのか」という会社からのプレッシャーもあり、合理化推進の下地を作っている、とカワジャ氏は語る。
 
しかし、これは能力の獲得を狙うエージェンシーや媒体企業にとっては朗報だという。中国のバイヤーが米国のアドテク企業買収に160億ドル以上を費やしている点に、カワジャ氏は言及している。中国国内の物件よりも魅力的な価格であること、選択肢が少ない中国の広告市場に比べ、成長が見込める企業の選択肢が多いことが、中国バイヤーの動機となっている。
 
アドテク市場にはスタートアップ企業がひしめき、2年前にベンチャー投資の流れは止まっている。資金の枯渇に伴い、末端のプレーヤーは、データテクノロジーのノウハウを欲しがっている企業や、媒体企業の買収ターゲットとなる。
 
「大部分のスタートアップは生き残れない。痛みを感じる企業も多いだろう」とカワジャ氏は言う。
 
 

2017年のトレンド予測4. デスクトップの衰退、AIの進化

 
「モバイルフレンドリー」から「モバイルファースト」へと情勢が変わり、今やデスクトップは脇役に退く前提で、デジタルチャネルの再考が進んでいる。Zenithでは、来年はモバイルがインターネット使用の75%を占めるようになると予測している。エージェンシー各社は、デジタルコミュニケーションといえばデスクトップの固定大画面だと想定しているマーケターに、時代が変わりつつあることを重ねて警告している。
 
デジタルアシスタントやチャットボットといった形でのAI(人工知能)の利用も、モバイル中心の動きに加担することになるだろう。Forresterの2017年予測によると、Facebookメッセンジャーに組み込まれたチャットボット、Kikアプリの数が2016年に5万に達したと言及されている。また、米国成人の45%が、Siri、Google Assistant、Cortana、Alexaなどのアシスタントをオンライン検索に使用しているという。こうしたアシスタント機能は主にスマートフォンから利用されている。Forresterでは、この傾向は2017年にさらに顕著になると予測。本格的にスマートフォンが主導権を握ったと見ていいだろう。
 
オンデマンド動画配信のHuluでシニア バイス プレジデントを務めるピーター ネイラー氏によると、8年前に同社のサービスが始まった当初、コンテンツの100%がデスクトップの画面で視聴されていたという。現在、デスクトップでの視聴は減少をたどる一方で、「盛り返す見込みはない」という。
 
 

2017年のトレンド予測5. ピークを迎えるモバイル

 
モバイルが標準になったということは、成熟に達したことをも意味している。全世界のスマートフォン所有数とモバイルメディア消費時間はどちらも飽和点に近づいていると、多くの業界ウォッチャーは考えている。モバイルプラットフォームでの競争はまもなくゼロサムゲームとなるだろう。
 
eMarketerの年次調査によると、モバイル端末上で消費される時間の伸びは、横ばい状態となっている。成人が1日あたりメディア利用に費やす平均時間はここ数年、毎年数分の伸びしか見せていない。一方、スマートフォンの使用は爆発的に増えていることから、モバイル消費時間の上昇分は、実際には他のメディアからの移行、またはマルチタスクによるものと、eMarketerのジェフ ラムゼイCIOは述べている。
 
現在、インターネットには140億台のデバイスが接続されており、一人につき平均2台という換算になる。2020年には350億台に増加し、一人当たりほぼ5台の計算になる、とラムゼイ氏。1日に24時間しかない事実は変わらず、このままいくと“オーディエンスの断片化”はますます進むだろう。
 
「一度に複数のコンテンツを利用するマルチタスク傾向が広がり、消費者の関心は、断片化どころか、希釈され霧散する方向に進んでいる」
 
 

2017年のトレンド予測6. ブロックチェーンの台頭

 
当初、web世界のダークな存在と見なされ、悪者扱いを受けたビットコイン。しかし今では、まっとうな技術として受け入れられるようになった。著名な銀行やメディアトレーディングデスクをはじめとする主要な企業が、ブロックチェーンに投資するようになっている。
 
Prudentialのパトニー氏は、「(ブロックチェーンは)金融界にとって、とてつもない可能性を秘めている」と述べている。
 
ブロックチェーン技術は、「値の転送のみ行い、複製はしないオンライン帳簿」として、より安全な電子決済を可能にする。特にオートメーション技術や人工知能と組み合わせると、あらゆる取引に応用できるようになる。Verizonのディレクターであるオハド ゼイラ氏は、未来の「自動芝刈り機」を例にあげて説明している。この自動無人芝刈り機は、各家庭に派遣され、ブロックチェーンを介した自動決済と引き換えにサービスを提供し、さらにガソリン代や修理費などの経費もブロックチェーンで決済が行われる、という具合だ。
 
コンサルティング企業Transform Groupのマイケル ターピンCEOによると、ブロックチェーンは、インターネットやソーシャルメディアと同様の破壊的な変化を広告業界にもたらすという。クッキーベースではなく、暗号ベースのブロックチェーンは、クレジットカード情報をクラウドに保存するより安全だ。「クラウドに穴を空ければ中身が漏れる」モデルとは根本的に異なる。インターネットにアクセスできるスマートフォンならば、どんな端末でもブロックチェーンを使えるため、銀行へのアクセスが悪い途上国の人々も、取引が簡単にできるようになる、とターピン氏は述べている。
 
「webがもたらしたコミュニケーションの民主化と同様のことを、ブロックチェーンは金融界で実現するだろう」
 
 

2017年のトレンド予測7. 業界文化に残る古い体質の刷新

 
2016年には、2人のエージェンシーCEOが、女性に対する問題行動や態度が原因で職を失うことになった。カンヌライオンズ賞のパーティで「美人限定」の招待状が物議を醸し、炎上するという事件もあった。
 
こうした不祥事が話題になり、米国選挙における人種や性別の違い、欧州の移民排斥運動などに厳しい目が向けられる中、エージェンシー、メディア企業、クライアントにとっても、来年は多様性の尊重が大きな課題になるはずだ。統合マーケティングプラットフォーム、SheKnows Media のナーマ ブルーム シニア バイス プレジデントは、あらゆる多様性を業界に取り入れることが、今や必須だという。「女性向けの製品を作っているのに、そのチームに女性がいなければ成功するわけがない」
 
 

2017年のトレンド予測8. DIYマーケティング

 
広告で一人ひとりの属性に対応する「パーソナライゼーション」を越え、消費者が自らマーケティングコンテンツを作成する時代がやってくる。これは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)をさらに越えていくものだ。
 
クラウドプラットフォームBoxeverのデーブ オフラナガンCEOは、マーケティングにおける人工知能の応用は、クリエイティブとメディアの組み合わせを最適化し、より高度な「ターゲティング広告」を可能にする、と述べている。これにより2017年には、消費者がより直接的にブランドと関わるようになると同氏は予測している。
 
コンサルティング会社Tomorro LLCの創立者であるジョン ボンド氏は、次のように述べている。「マスパーソナライゼーションの世界では、マーケティング対象のセグメントがどんどん小さくなり、ついにはこれ以上細分化できない状態、すなわちたった一人から成るセグメントに落ち着く」
 
 

2017年のトレンド予測9. 不透明なビジネス慣習からの脱却

 
クライアント、エージェンシー、メディア間の不透明なビジネス慣習の問題が、さまざまな場所で話題に挙がっている。端的にまとめると、この問題は「契約書に明文化せよ」ということにつきる。
 
単に、何が合法で何が違法かという話ではない。Horizon MediaでCIOを務めるマリアン ギャンベリ氏は、リベート問題にクライアントは困惑しており、これまで不透明だった仕組みの明確化が求められている、と述べている。「この問題は、業界に拭い難い汚点を残してしまった」
実際、ANA(全米広告主協会)のメディア透明性レポートは、潜在的な問題のひとつにしか触れていない。データベースプラットフォーム、R3のグレッグ ポール社長によると、契約書の条項を一から見直す取り組みは、クライアントとエージェンシー次第だという。マスターサービス契約でリベートへの100%アクセスを有しているクライアントは、全体の半分以下にすぎず、これは2017年には変わっていくはずだ。「弁護士対弁護士の駆け引きが展開されるようになるだろう」とポール氏は述べている。
 
 

2017年のトレンド予測10. 試行錯誤からアカウンタビリティの確立へ

 
透明性の話が出たところで、デジタル黎明期の甘えが許された時代は終わったと付け加えておこう。2017年、デジタルメディアがトップランナーの座につくからには、アカウンタビリティ(説明責任)の徹底が必要となると、オンラインマーケティング企業Conversantのシニア バイス プレジデントを務めるカート ホークス氏は述べている。虚偽広告の蔓延に見られるような、デジタルマーケティングへの投資が本当に役に立っているのか不明な状況には、より厳しい目が向けられるようになるだろう。
 
 
マーケターたちは、未だに目先のデジタル戦術にのみ注目し、長期的な戦略をおろそかにしている。これは2017年には変わっていくはずだ、とポール氏は述べる。UnileverやSamsungといったグローバル企業はデジタルメディアの見直しを行っており、現状の改革に乗り出している。
 
虚偽広告の追求は改革のひとつの要素にすぎず、より重要な点は、デジタル戦略の有効性を実証することだ、とホークス氏は述べている。
 
「すべてのマーケティング活動をどのように実際の収益に結びつけるかが、2017年の注目トレンドのひとつとなるだろう」
 

 

 

複雑化を極めるマーケティングプロセスと乱立するテクノロジーの現代において、本質的に重要なのは、顧客を中心としたビジネスの発展へと集中することです。そのためにはどのようなアプローチが求められるのか、解説します。
 

 


 

 

 

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