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理想のデジタルコミュニケーションを目指すための5つの指針

2017年09月07日

【POINT】
  • 企業は、サイトの行動データ、実施した顧客アンケートなどの自社データと、外部データを適切に組み合わせて、顧客を的確に把握する必要がある
  • デジタルでコミュニケーションを円滑に進めるためには、消費者の目的とコンテクストに合わせて、コミュニケーションの“手段”を使い分けるべき
  • 顧客とデジタルコミュニケーションにおいて、広告は引き続き有効な手段になる。企業は、デジタル広告の現在と将来の姿を把握しておく必要がある

 
消費者とブランド企業とを結びつけるデジタルコミュニケーションのあり方は、消費者の好みや技術のトレンドによって、変化し続けている。時代に即した消費者とのコミュニケーションを維持するために、企業はその方向性を見極めなければならない。消費者のインターネット利用動向には、そのヒントが多数散りばめられている。この記事では、消費者インサイトの老舗であるニールセン カンパニー(以下ニールセン)による調査に注目したい。2017年5月に行われた「Advertising Week Asia 2017 - Tokyo」において同社は、「デジタルコミュニケーション設計時に重要な5つの視点」という興味深い発表を行った。その講演で取り上げられた5つの視点を下敷きに、企業のデジタルコミュニケーション戦略立案について考察する。
 
 

理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点1.

消費者の正確なデータをつかむ

 
理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点
 
正確な情報を知ることは、あらゆる戦略立案にとって最重要なテーマになる。
「これからは、個人の感覚値ではなく正確な数値データを把握し、『なぜこうなったのか』『これからどうなるのか』データをもとに解釈することがより重要」と、ニールセン 今田 智仁氏は語る。「若者に人気のサービス」ではなく、「20代女性の約70%が使用しているサービス」のように、より正確な情報にもとづいて戦略を立てることが肝要だ。
 
それは、コミュニケーションにおいても同様で、初対面の相手を正しく知りながら、相手にとって心地よい自己紹介をできるのが理想だ。デジタルコミュニケーションは匿名であるにしても、相手に関する多種多彩な情報を得ることができる。それらを取捨選択し、必要なデータに整理することが大切になってくる。
 
そこで企業は、サイトの行動データ、実施した顧客アンケートなどの自社データと、外部データを適切に組み合わせて、顧客を的確に把握する必要がある。自社のターゲットとする顧客層、および対照としての一般消費者の差異や同一性を浮き彫りにすることが、デジタルコミュニケーション戦略立案の第一歩になる。
 
 

理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点2.

スマホもPCも、全方位対応で

 
理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点
 
スマホの利用者数は、凄まじい勢いで伸びている。ニールセンの調査では、2016年末時点で5897万人が、スマホ経由でインターネットを利用した。特に30代以下は、PCを使わずスマホだけでインターネットを楽しむ層が多い。また20~60代のスマホ利用者人数とPC利用者人数の割合をみると、50代まではPCよりもスマホの利用者数の方が多く、PCの方が多いのは60代のみだ。各年代の日本の総人口とスマホ利用者数を比較すると、年代が上になるほどスマホ普及率が低く、中でも50、60代には普及の伸びしろがあることが伺える。
 
一方で注目すべきなのは、PC利用者数も増えているということだ。2016年3月と2017年3月を比較するとPC利用者数は100万人以上増えているという。
 
PCからのネット利用者は増えている
参考:ニールセン カンパニー「デジタルコミュニケーション設計時に重要な5つの視点」
 
さらに同社は、インターネット利用をカテゴリー別に調査し、興味深い結果を得ている。SNSのように、即時性が求められるものにはスマホが多く使われる。一方、旅行関連情報については、大画面でゆったりと眺めて比較検討したい意向のためか、PCが優位を保っているのだ。
 
カテゴリーによって、PCでじっくり閲覧されるものも
参考:ニールセン カンパニー「デジタルコミュニケーション設計時に重要な5つの視点」
 
もちろんこの傾向から、「旅行でも約半数がスマホによる閲覧で満足できるようになった」とする判断も成り立つ。とはいえ、完全にスマホシフトをするという戦略を採用するより、PCにも力を入れて全方位対応する方向性のほうが適切、というブランド企業も多いのではないだろうか。消費者が自社に何を求めているのかによって、戦略を見極める必要がある。
 
 

理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点3.

コミュニケーションを使い分ける

 
理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点
 
デジタルでコミュニケーションを円滑に進めるためには、消費者の目的とコンテクストに合わせて、コミュニケーションの“手段”を使い分けることが必要になる。
 
ここで、若年層のTwitter利用について、同社の調査結果を見ていこう。18~21歳に絞った調査では、男性の85%、女性の91%がTwitterを利用している。興味深いのは、「投稿しなくても利用している層が多い」という事実だ。10代の56%がTwitterへ積極的に投稿している。これをTwitter内で検索利用したことがある人になると、76%にのぼるという。全世代の平均値は、前者が30%、後者が34%であることから、Twitterは若年層の生活インフラの一部になっていることがわかる。
 
Twitter検索の便利さは、使ってみるとわかるだろう。さまざまなトピックについて、「その時点での最新情報」を知ることができるのだ。電車の遅延の原因や、目的地の天候、スポーツの途中経過などを、だれかが投稿してくれている。それらの事象の経緯も感情付きで投稿されているため、自分がその場に居たかのように楽しむことができる。こうして、Twitter検索は若年層に定着した。
 
Twitterだけではない。洋服を探すときにはInstagram、インテリアを検討するときにはPinterestなど、目的によって消費者はサービスを使い分けるようになっている。企業は、消費者の使用するサービスが目的と結びついていることを理解し、さまざまなサービスを使い分けることをデジタルコミュニケーションの手段に落とし込む必要があるだろう。
 
 

理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点4.

ターゲットの“可処分時間”を知る

 
理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点
 
現在、最も大きな伸びを見せているサービスのひとつがSVOD/TVOD(Subscription Video on Demand/Transactional Video On Demand)だ。前者は定額制、後者は都度課金制で、どちらもインターネット動画配信サービスである。すでに米国では、SVODの普及率が2016年初頭に50%を超えた。日本では無料のAbemaTVが大きく伸びているが、ニールセン調査によると有料サービスの普及は14%。ただ、有料のテレビサービス市場が成熟していることからも、今後伸びてくる分野であると見てよさそうだ。
 
このサービスが普及すると、消費者のビデオオンデマンド利用時間は、「企業が接触したくてもできない時間」になる。企業がその時間に向けて広告を打つことは困難であり、消費者の視聴時間もそこに限定される。新たなプロモーション手段として、映像作品に自社製品を登場させるというアプローチが有効になるかもしれないが、それは本題とずれる。本質的な解決策は「プログラマティックTV」だが、日本ではまだ黎明期だ。そこで、別の分野に目を向けてみよう。
 
企業が探るべきなのは、「インターネット上のどこに人が居て、何をしているのか」ということだ。近年大きく伸びているのが、エンターテインメントと画像加工サービスだろう。近年人気のアプリでは、前者の『Pokémon GO』、後者の『SNOW』が代表格だ。『Pokémon GO』は、一過性の大ブームは沈静化したものの、いまでも多くの人が楽しんでいる。現在の利用者をコアユーザーとして、新しい展開があるかもしれない。『SNOW』は顔認識カメラアプリで、若年の女性から人気だ。
 
これらのエンターテインメント系アプリの多くは、企業とのコラボレーションに取り組んでおり、過去の事例を参考に、自社の参入余地を検討することが望まれる。そして、今後伸びそうなサービスを早くからつかんでおくことも重要だ。
 
 

理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点5.

デジタル広告への考察を深める。

 
理想のデジタルコミュニケーションを目指すための視点
 
企業が顧客とデジタルコミュニケーションを行うために、広告は引き続き有効な手段になる。そこで企業は、デジタル広告の現在と将来の姿を把握しておく必要があるだろう。
 
かつて、web広告の主流はバナー広告だった。企業はポータルサイトに出稿し、そこに魅力的なバナーを貼って、自社サイトへの誘導を図った。いまではDSPが主流になり、Cookieを生かしたターゲティング/リターゲティングが可能になった。それでも、バナーが主人公であることに変わりはない。
 
この状況に対して同社は、動画サービスの浸透によって広告のあり方も大きく変わるだろう、と分析している。スマホで長時間動画を見ることは、消費者にとって生活の一部になってきているからだ。
 
このトレンドを把握しているデジタル施策に積極的な企業は、テレビ用広告素材の流用ではなく、新たなアプローチを採用している。すなわち、デジタル視聴を前提にして長尺の動画広告を作る、あるいは逆に短尺で興味を引く見せ方にする、といったことだ。前者では、視聴者の感情に訴えかけるストーリーを提供し、最後に商品やサービスを紹介するケースが一般的だ。視聴者に、「この動画はこの企業のこの商品の広告だったのか。なるほど」という納得感を与える。後者は、新商品のアピールに使われ、奇をてらうアプローチが成功している。「変な動画があったけれど、これは何だろう?」という疑問を与え、その言葉を検索してもらうことで、自社サイトに誘導する仕掛けだ。これらの最新事例を研究することで、自社に最適なパターンが見えてくるだろう。
 
デジタルコミュニケーションを支えているインターネット技術は、栄枯盛衰が激しい。日々、新しいサービスが生まれ、その中のほんの一粒が全世界を席巻する。消費者の動向をつかむとともに、新しいサービスが作り出す社会を展望することで、デジタルコミュニケーションの先駆者への道が開けてくるはずだ。
 

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