UNITE

 

 

 

 

 

時代遅れのモバイル アーキテクトにならないための、3つの注意点

2016年06月21日

【POINT】

  • モバイルに特化した戦略に投資するブランド企業ならば、大きな成功を収めるチャンスがある。
  • マイクロモーメントは、今日のカスタマージャーニーを特徴づける3つの側面、すなわち、インテント、コンテクスト、即時性から構成される。
  • 今や、新しい消費世界への窓となっているのは、スマートフォンの小さなスクリーンだ。

ネットに接続し、欲しいものを見つけ、売り手と対話する。このような、今までは当たり前だったオンラインでの消費者行動が、モバイルによって根底から変わりつつある。自分が知りたい情報について、ブランド企業から即時に提供されることを期待して、スマートフォンに手を伸ばすモバイルユーザーが増えているのだ。しかも、まさに買うか否かを決めようという決定的瞬間に、だ。
 
このような状況から、モバイルに特化した戦略に投資しているブランド企業には、大きな成功を収めるチャンスがある。Googleとニールセンが実施した「モバイルからの購入経路(Mobile Path to Purchase)」という調査によると、検索にモバイル端末を使用するユーザーの93%が、実際に購入に至っているというほどだ。
 
しかし、アプリと的確に情報を提供してくれるサイトさえあれば、モバイル上で消費者が興味を持ってくれ、購買につながるというわけではない。モバイルで重要なのは次の3つの要素だ。
 
  • インテント(意図)
  • コンテクスト(文脈、購入にいたる背景)
  • スピード(即時性)
 
モバイルユーザーにとって何が大切なのかを理解するには、彼らがモバイルではどのように購入を決めるのかを理解し、これに即したマーケティングを実践することが必要となる。
 
まず、自分のお気に入りのアプリについて考えてみよう。どのようにそのアプリを使っているのか。なぜ、気に入っているのか。右(または左)にスワイプして使う…、流れて消えるイメージやアニメーションGIFを使ったチャット…、ユニコーンやレインボーの動くステッカーで写真をデコレーションする楽しみ…、配車アプリや、食べ物や日用品を注文できるシンプルなアプリ…、ほかにもいろいろ思いつくだろう。こうしたアプリやサイトを使用するたびに、より便利な、新しい形の、すぐ利用できるサービスに慣れていく。そしてそれが「手放せないもの」になっていく。
 
次に、自分たちがターゲットとする顧客について考えてみよう。ここでも同じ現象が起こっているはずだ。彼らのお気に入りアプリは、すぐに「手放せないもの」なものになっている。マーケターは、そのように常に変化を続ける顧客のニーズと行動に合わせた工夫をしなければならない。
 
顧客が抱く、この新しい「手放せない」感は、カスタマージャーニーに実に大きなインパクトをもたらしている。にもかかわらず、多くの企業ではそのインパクトをいまだに過小評価している。モバイルなどの新しい技術に対応してはいるものの、旧態然としたカスタマージャーニーにとらわれているため、結果として、「一応役には立つ」ものの、冴えない顧客体験しか提供できていない。一方、モバイルを利用する顧客は、自分のニーズのツボを押さえた、わかりやすくてすぐに得られる体験にしか興味がない。
 
モバイルでつながっている現代の顧客の心をつかむには、マーケターは「モバイルUXアーキテクト(モバイルユーザー体験設計者)」たらねばならない。そして「モバイル最優先」で、オンラインやアプリによって、モダンで喜ばれる顧客体験を実現しなければならないのだ。かつてモバイルは、二次的なプラットフォームであり、ひとつのオプションに過ぎない存在だった。それが今では、顧客とつながるための重要な舞台となっている。
 
 

最重要キーワード「マイクロモーメント」

 
さらに、モバイル通をめざす事業者、開発者、そしてマーケターは、CX(顧客体験)のアーキテクトにならなければならない。
 
筆者は今年、Googleでかなりの時間を費やしてきたが、Googleはモバイルカスタマージャーニーの研究に力を入れている。彼らは、デスクトップ中心ですぐ対応するのに不向きなWebベースのタッチポイントは、旧世代の設計理念に基づいたものだということに気がついているのだ。さらにGoogleが注目しているのは、彼らが「マイクロモーメント」と名づけた現象だ。マイクロモーメントとは、顧客が今この瞬間に感じている自分のニーズに対して、スマートフォンを使ってなんらかの働きかけを行う、リアルタイムのほんの一瞬(モーメント)のことだ。
 
Googleは、モバイル第一主義の顧客が、何かを欲しい、したいと感じたときには、どこにいようと、共通して4つのアクションを取ることを発見した。これはモバイルでの顧客体験をデザインするマーケターが知っておかなければならないことだろう。マイクロモーメントにおいて、顧客は自分が興味を持ったことに集中し、コンテクストによってある程度結果を予測しながら検索を行う。重要なのは、彼らが「こうしたい」と思った瞬間にリアルタイムで行動を起こし、関連性の高い情報が即座に見つかることを期待しているという点だ。そのような顧客行動として見られる4つのアクションは、以下のように分類できる。
 
…に行きたい。
…について知りたい。
…をしたい。
…を買いたい。
 
こうしたマイクロモーメントにおいて、顧客は、直感的でシームレスな「モバイル」カスタマージャーニーを求めているのだ。
 
 

インテント、コンテクスト、スピードが必要不可欠

 
マイクロモーメントは、今日のカスタマージャーニーを特徴づける前述の3つの側面、すなわち、インテント、コンテクスト、スピードから構成される。UXデザインとマーケティングのプロは、モバイルユーザーが、何をしようとしているのか、なぜ、どこで、誰を(何を)信用し、どういった時間枠でどんな結果を求めているか、などの点を理解しなければならない。では、マイクロモーメントにおいてマーケターは何をすべきなのか、詳しく見てみよう。
 
 

・インテントの把握:

自分の業界では、どのようなときに顧客のマイクロモーメントが発生するかを予測し、それぞれの瞬間において、顧客の目に留まるようなマーケティング施策とコンテンツを用意しておく。インテントを研究すると、各モーメントでマーケターが対応すべき特定のニーズが明らかになる。
 
インテントが意味するのは、実際のニーズや関心を示す最初のシグナルだ。マーケターは「知りたい、行きたい、したい、買いたい」というシグナルに留まらず、あらゆるタイプのインテントを理解する必要がある。また、カスタマージャーニーのすべての段階において、インテントが発生しているという点も重要だ。
 
まずは、それぞれの瞬間において、実際に使用されている検索語の検証から始めよう。これは、顧客の期待に応えるマーケティングと、何に注力すべきかを決定する上で役に立つ。インテントの検証から始めるアプローチは、顧客が頻繁に抱く疑問に答えることにもつながる。自分たちが、顧客に必要とされる瞬間に、すぐ手を差し伸べる準備ができているかを自問し、その後ブランドとして絶対に逃してはならないマイクロモーメントの優先度づけをしよう。
 
 

・コンテクストを形成する要因:

コンテクストを調べると、検索が行われた背景がより明らかになってくる。また状況によって顧客のニーズが変わる可能性を考えるヒントにもなる。端末、時間帯、ロケーションを考慮すれば、それぞれのマイクロモーメントに特化したアプローチが可能になる。
 
コンテクストは、時間帯、ロケーション、端末と関係がある。そして、インテントと状況を発生させるにあたり、ユーザーの心理により大きな働きかけをする。こうしたコンテクストを理解すると、重要なタイミングに合わせたマーケティングが可能になる。ここで大切なのは、派手な広告やランディングページのデザインではなく、それぞれの瞬間で必要とされるものを即時に提供できるか、という点だ。また、顧客との対話が重要なことには変わりはないが、単に売り込めばいいというものでもない。
 
 

・効率性とスピード:

とにかく敏捷性が重要だ。モバイルユーザーは、すぐに過ぎ去ってしまう一瞬の中に生きている。その一瞬に、店舗にいようと移動中だろうと、コールセンターからのアプローチだろうと、いつもとは違う端末を使っていようと、顧客にとって都合のいい方法で情報を提供し、購入を可能にしなければならない。
 
ここでは、スピードがすべてと言っていい。モバイルユーザーは、気が短く、売り手のために時間をつくってはくれない。いまこの瞬間に、すべてを手に入れたいのだ。実際、求めている情報が見つからない場合、あるいは表示に時間がかかりすぎる場合、モバイルユーザーはすぐに別サイトや別アプリに移動してしまう。
 
モバイルの枠組みにおける新しいUXとマーケティングアプローチで重要なのは、「小さなスクリーン」と「即時性」であり、それがすべてだ。インテントとコンテクストから情報を得て、タイミング、ふるまい、次のステップ、どんな結果を返すかといった点で、顧客の期待に応える体験をデザインするのがモバイル体験アーキテクトの仕事となる。
 
 

よく練られたわかりやすい体験を提供することで顧客の心を掴む

 
今や、新しい消費世界への窓となり、顧客の期待や意思決定を左右しているのは、スマートフォンの小さなスクリーンだ。顧客には選択肢がある。そして、売り手の助けを借りずに選択権を行使するパワーを持っているのが、現代の顧客なのだ。
 
GoogleのUX研究主任であるジェニー ゴーブ氏は、オンラインユーザーのニーズに対応できるモバイルアプリやサイト開発のヒントになる25の原則(英文)をまとめた無償の攻略ガイドを作成した。スタートアップ企業からブランド企業まで広く役に立つ資料となっている。
 
「インテント/コンテクスト/スピード」を考慮したカスタマージャーニーの開発が、これまでになく求められている。その出発点として、最適かつタイムリーなことが「マイクロモーメント」を理解することなのだ。

 

 

消費者のマインドを大きく変えたモバイルの普及に、どのように対応すべきか。そのための詳細はこちら
 
(2016年3月28日 CMO.comの記事より)
Brian Solis(Altimeter Groupの主席調査)
 
 

関連記事

 

コミュニケーションロスが売上損失に直結。アドビ「消費者行動調査2016」に見るデジタル時代の消費者意識とは
アドビ システムズでは、2016年2月、一般消費者の購買行動における意識調査を実施した。デジタルメディア時代の消費者行動から、「消費者といつ、どこで、どのようなコミュニケーションをとれば、購買意欲を高めることができるのか」を探った。
2016年、押さえておくべき5つのモバイルトレンド
ブランド企業やメディアは、モバイル向けのコンテンツに一層注力する傾向にある。2016年1月にニューヨークで開催された「Mobile FirstLook」で語られたモバイルについてのトレンドから、重要なポイントを紹介する。

 

 

顧客に最高のエクスペリエンスを提供する、包括的なソリューション

顧客を理解し、顧客を魅了するために、あらゆるデータとコンテンツを集約し、一人ひとりに最高のエクスペリエンスを提供します。
 
  • Adobe Experience Cloud

    顧客に最高のエクスペリエンスを提供する、包括的なソリューション

    さらに詳しく