北九州市に本社工場を構えるゼンリンプリンテックスは、九州でトップクラスの規模を誇る総合印刷業。親会社のゼンリンが発行するゼンリン住宅地図はもちろん、会社案内や各種会報、チラシやパンフレット、ポスターなど一般商業印刷も幅広く扱っている。その強みは、企画・デザインから印刷・製本まで一貫して行うことができること。さらにはWeb、モバイルなどクロスメディア事業にも積極的に展開し、より効果の高い広告展開や販促活動もサポートする。まさにオールインワンの総合力を持った印刷会社だ。
デザイナーと印刷会社双方にメリットがある
そうした同社もAdobe CS4の入稿対応を早期に決めた印刷会社のひとつ。早期対応を決めた理由を同社生産部の喜島充彦氏は「お客様のニーズにはすべて対応するというのが、弊社の基本スタンスだから」と答える。実際に、現在入稿可能なアプリケーションは幅広く、Illustratorなら5.5~CS4まで対応できる。

株式会社ゼンリンプリンテックス
住所:北九州市門司区松原三丁目5番8号
URL:http://www.zpx.co.jp/

しかし、『顧客ニーズへの対応』というフレーズをもっと掘り下げていくと、印刷会社ならではの思いがそこにある。
「最新アプリケーションの早期対応を実現する最大の理由は、デザイナーにもっと新しいアプリケーションを使ってもらいたい、と思うからです。なぜ、そんなふうに思うのかというと、それは新しいアプリケーションを利用することで、表現力の向上、そして業務の効率化といったメリットをデザイナー自身が確実に得られるから。印刷会社の使命はデザイナーの希望を形にすることですので、新しいアプリケーションを使ってもらいたいと思う以上、対応することは当然です」(喜島氏)。
一方で、印刷会社にとっても新バージョンに対応するメリットはあると喜島氏は指摘する。それは、これまでアプリケーションのバージョンアップは、デザイナーサイドに有利な機能強化がメインだったのに対し、最近のバージョンアップは出力サイドにとっても恩恵が得られるようになってきたからだ。わかりやすい事例が透明効果。この機能が搭載されたとき、出力の現場が多かれ少なかれ苦労したのは周知の事実。しかし、CS2以降では印刷に適したPDFが簡単に出力できるようになり、PDFワークフローに取り組みやすくなったことから、透明効果が原因となるトラブルが大幅に減った。当然出力サイドの負担も減ることにつながった。
さらに、新バージョンで出力サイドにもメリットがあることがわかってからは、オペレーターのモチベーションが向上するという副次的な効果も生み出した。新しいワークフローに取り組めばそれだけ生産性が向上し、自身の負担も減るということがオペレーターに浸透したことで、自然と各自がスキルアップを果たしているという。「自発的にスキルアップを果たした現場には、大きな信頼を置いています。今、プリプレスの現場はすごく良い状態です」(喜島氏)。



制作の現場でも上位バージョンに一本化したいと考えている
社内の制作環境においては、まだまだ最新の環境とは言えないのが同社の現状だ。移行の足かせになっているのが「膨大な過去のデータ資産の存在」だと同社生産部一般編集課課長の土居隆士氏は言う。
「正直なところ、はやくCS4へ移行したいという思いはあります。ただ、どうしても過去データを流用しなければならない場面では、なかなか進められないのが現状ですね。とはいえ、効率面や設備の刷新を考えると、できるところから新しい環境への移行を積極的に進めていく必要があるでしょう」と土居氏は今後の展望を話す。とくに一般商業印刷の分野ではワークフローのさらなる最適化を実現するため早急に進める考えだ。
また、CS4に移行したい理由はもう一つあるという。それは昔を知らない若いスタッフへの配慮だ。「専門学校等でMac OS Xで動作するCS2やCS3しか学んでいない学生や派遣社員に、現場で普通に使っているMac OS9を見せても『なんですかこれ』という状態。ひとつの成果物を制作するときに、複数の手順があるということはメリットでもあるかもしれませんが、今は非効率であるというデメリットのほうが強く感じます。上位バージョンで一本化できれば、新しいスタッフもすぐに力を発揮できますし、効率化にもつながります」(土居氏)。
クロスメディア展開でCS4の機能に期待する
実際にCS4を使用してみて、その機能には十分手応えを感じているそうだ。同社ではゼンリングループと共にメディアの壁を越えて、さまざまな取り組みを積極的に行っていることもあり、印刷の現場だけでなく、クロスメディア展開への有用性も見いだしている。
同社生産部の西水流薫氏はCS4の可能性をこう語る。「InDesignからSWFへの書き出し機能には将来性を感じました。最近では印刷物の制作と同時にWebサイトの制作を受注するケースが多くなっています。そうした場合でも、短期間でインタラクティブなWebサイトが制作できます。CS4によってWebサイト制作に必要なスキルがだいぶ下がるのではないかなと思いますね」。
新バージョンへの積極的な対応が多くのメリットを産み出しているゼンリンプリンテックス。顧客のニーズに対応することで、自社のスキルを向上させてしまうというエネルギッシュな会社だ。

CS4によってWebサイト制作に必要なスキルがだいぶ下がるのではないかなと思いますね。― 西水流薫氏

