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岩本: Adobe® Creative Suite® 5.5のリリースにあわせて、Webサイト『InDesignの勉強部屋』のYUJIさんにお越しいただきました。今日は、CS5.5について語っていただきたいと思います。YUJIさん、今日はよろしくお願いします。では、まず自己紹介からお願いします。
YUJI: こんにちは。『InDesignの勉強部屋』を運営しております森(YUJI)です。名古屋でフリーランスのデザイナーをしております。本日はよろしくお願い致します。
写真左:YUJI氏(InDesignの勉強部屋主催)
写真右:アドビ システムズ 岩本崇
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岩本: 今回、Creative Suite 5.5がリリースされました。さっそくですが、実際にさわってみて、どういった印象を持たれましたか?
YUJI: 次のバージョンはCS6だと思っていましたから、正直びっくりしました。ただ、PhotoshopやIllustratorは基本的にそのままということなので、バージョンアップされたのはInDesignのみなんですよね。もちろん、Web系やビデオ系のアプリケーションもバージョンアップされていますので、DTP系のアプリケーションではという意味ですが。 で、InDesignがどのように変わったかを見てみると、印刷用途に関する機能は基本的に変わっていない。変わったのは、Adobe® Digital Publishing Suite(以下、DPS)に関する機能がInDesignに取り込まれたのと、EPUB書き出しの機能が強化されたことですよね。そう考えると、CS5.5はAdobeがデジタルデバイスの今後を見据え、電子書籍に本格的に取り組むという姿勢を明確に打ち出したバージョンなんじゃないかなと思っています。
岩本: では、InDesignの話を中心に進めさせていただきますね。InDesignもCS5.5で第8世代目となりました。実は今年の1月で日本語版が発売されてちょうど10年となったわけですが、ご存知でしたか?
YUJI: はい、知ってました。それにしてもInDesignが発売されて10年ですか……。おめでとうございます(拍手)。なんかあっという間だったような気がします。
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岩本: まずは過去のバージョンを振り返りつつ、Adobe® InDesign® CS5.5についての感想をお願いします。
YUJI: 思い返してみると初期の頃のバージョンって、ほんと使われなかったですよね。私はバージョン1.0が発売されたその日に購入したんですが、InDesignで制作してみたいと思っても、どこの印刷会社も対応してくれなくって、けっきょく仕事で初めて使ったのはバージョン2.0からでしたよ。また、当時はInDesignの使い方を勉強しようと思って、書籍やWeb上をさんざん探しまわりました。でも、InDesignが発売されたばかりの頃は書籍もまだ出ていなかったし、Webにも情報はまったくといっていいほどなかった。ならば、私が試してみたことを書き留めていこうと思ったのが『InDesignの勉強部屋』を始めたきっかけでした。情報がなかったことが逆にサイトを始めるきっかけになったわけです。でもそのおかげで、随分と私の人生も変わったかもしれません(笑)。
それにしても、発売当初は「重い、重い!」とさんざん叩かれて、ぜんぜん使われませんでしたよね。このままだとInDesignの開発は中止されるんじゃないかと思ったりもしましたよ。それが、今ではレイアウトソフトのデファクトスタンダードになったことは、素直に嬉しいですね。バージョンがあがるにつれて、透明機能や表組み、混合インキなど重要な機能がどんどん追加されていって、パフォーマンスも随分と改善された。テキスト回りの機能も、ほんと充実してきましたしね。個人的な感想としては、CS2ぐらいから、かなり使えるアプリケーションになってきたなって感じてましたよ。今回CS5.5がリリースされるわけですけど、これから電子書籍に取り組みたい、あるいは今のうちから電子書籍に関するスキルアップをしておきたいといった方には、ぜひ導入してほしいバージョンじゃないかと思います。

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岩本: Adobeも今回のバージョンでは、InDesignを電子書籍制作のハブとして開発を進めてきています。すでに発表させていただいているDPSはもちろん、今回はEPUB書き出しの機能も、プログラムのコードレベルから書き直してますしね。これまでのEPUB書き出しとはまったく別物になっているといっても過言ではありません。ユーザー様からの期待も大きく、私もぜひ試していただきたいバージョンなんですよね。
YUJI: 電子書籍の流れとして大きく2つありますよね。1つはEPUBに代表されるリフロー型といわれるもので、ユーザーがフォントやサイズを変更できるため、決まったページ区切りがないもの。そしてもう1つが固定レイアウトのもので、雑誌等のようにリフロー型では表現できないものを制作する場合に用いるアプリケーション型と言われるもの。InDesignの場合、DPSがこれにあたりますよね。どちらも今、非常に注目されていますよね。
岩本: ではまず、DPSについてお聞きします。使ってみて具体的にどのように感じましたか?
YUJI: DPSに関しては、すでにベータ版がAdobe Labsで公開されていたので、以前から試していました。でも、今回CS5.5で試してみて、Adobe Labsのベータ版とはまったく使い勝手が違っていてびっくりでしたよ。ベータ版の時は、InDesignとは別にAirアプリも使用しなければならず、加えてファイル構造やファイル名のルールが厳しくて、エラーが出て失敗することもけっこうありました。しかし、CS5.5になって別アプリの機能がInDesignに統合されて、格段に使い勝手がよくなりましたよね。いちいち別アプリに切り替えなくても、InDesignだけで作業できますしね。
岩本: そうなんですよYUJIさん。InDesignだけでデジタルマガジンが作成できるようになって、使い勝手は大幅に向上しています。おかげさまで、すでに何社ものお客様にご利用いただいており、たいへん高い評価をいただいております。DPSについての詳しい情報は、弊社のサイト『DIGIPUB MAGAZINE』でも、これまで通り公開しています。ユーザーガイドやトラブルシューティングもありますので、ぜひ参考にしていただきたいですね。では、次にEPUB書き出しについて聞かせてください。
YUJI: 今回のバージョンで私が一番注目している機能が、このEPUB書き出しです。EPUB書き出しは、CS3からあった機能ですが、日本語環境を考慮して搭載されていたわけではないですよね。これまでは書き出す前の段階で、さまざまな注意や修正作業が必要でした。また、EPUB書き出し後もいろいろと調整が必要で、正直かなり手間がかかっていたのが実際のところです。しかし、今回のバージョンでは、かなり良くなってますよね。やっと使えるようになったと言ったら怒られそうですが、これまでの面倒な作業の多くが解消され、使える機能になったと言っていいと思います。


岩本: YUJIさんが良いと感じた部分は具体的にどこでしょうか?
YUJI: まず、EPUB3.0を見越して開発されたということではないでしょうか。現段階(対談時)では、まだEPUB3.0の正式な仕様は発表されていませんが、すでに縦組みやルビ・圏点などのプロパティも実装されています。また、これまで正確に書き出されなかった全角スペースや表組みの再現性も大幅に向上しています。
他にもEPUB書き出しに附随するさまざまな機能が追加されています。アンカー付きオブジェクトの機能強化、アーティクルパネルの搭載、スタイルをマップしてタグを書き出す機能等、素晴らしいです。

InDesign CS5.5では、縦組みやルビ、圏点、縦中横等に対応している


