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ADOBE DESIGN MAGAZINE - 環境移行Q&Aガイド

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プロとしての意地みたいなものがあって、どんなに進化してもソフトの機能に任せるのではなく、最後はやっぱり人がやった方がきれいでしょう?という気がするんですよね

CDジャケットやポスター、情報誌など多くのジャンルにおいて、シンプルでありながら見た人を強く惹き付ける美しいグラフィック作品を生み出し続けるroom-compositeのカイシトモヤ氏。Creative Suiteアプリケーションを始めとしたデジタルツールにも精通するカイシ氏だが、作品づくりにおいてはアナログ的な手法も積極的に取り入れているという。今回はそんなカイシ氏に書体や文字組み、フォントの使用にまつわる疑問などについて話を伺ってみよう。


コストに見合う分の性能が得られるかどうかを考える

現在room-compositeでは、Mac OS X v10.5 LeopardのMac Proに、CS3という組み合わせでの作業がメインだという。

「よく使っているのはIllustrator、InDesign、Photoshopです。InDesignはスタッフは常用していて、僕も最近ようやく覚えて使い始めたのですが、簡単なものはIllustratorよりも絶対速いですね。Photoshopもよく使います。あとはAcrobat。PDFを作成するときは、画像の解像度などの設定を細かく変えられるので、アプリケーションからではなくDistillerで書き出すようにしています。」

プレゼンテーションのための資料づくりなどにはCS6を使うこともあると言うカイシ氏。CS3と使い比べてみてどのような点に違いを感じるのだろうか。

「Illustratorではマルチアートボードがいいですね。ページ物というほどのことはなくても、プレゼン用の書類を作りたいときや、ひとつの制作物で異なるサイズの台紙が必要な場合に便利。欲を言うとPhotoshopの回転ビュー、あれがIllustratorにもあるといいですね。CDジャケットのデザインでは、回転させて作業したいことも多いので。最新のPhotoshopでは画像認識アルゴリズムを駆使した機能が多いけど、いまひとつ信じきれないというか…。プロとしての意地みたいなものがあって、どんなに進化してもソフトの機能に任せるのではなく、最後はやっぱり人がやった方がきれいでしょう?という気がするんですよね。」

今後、メインの作業環境を最新バージョンに移行するにあたっては、どのようなことを考慮し、何が決め手になるのだろう?

「新しいバージョンの機能は、まだこれから勉強しないと、と思ってます。いまroom-compositeは3人の事務所なので、3ライセンスを一度にアップグレードするのはリスクが大きく、慎重にならざるを得ないところもあります。でも僕にとっては金額やリスクのことよりも、そのコストに見合う性能が得られるかどうか?の方が大事ですね。例えば、ユーザが任意の色でカラースライダーを作ることができれば、特色掛け合わせのデータ作成がもっとスムーズになるんじゃないか?とか、日本語の文字詰めがもっときれいにできるようになれば…とか。そういうプロにとって抜本的に使える機能、ということをもっと考えてもらえたらなと思います。」

room-composite カイシトモヤ氏

room-composite カイシトモヤ氏

左:「Noturno / 助川太郎」CDジャケット 右:「君待つ今日 / 大知正紘」CDジャケット

左:「Noturno / 助川太郎」CDジャケット
AD+D: room-composite Ph: 星川洋嗣(pointer) Cl: Eclectic Records
右:「君待つ今日 / 大知正紘」CDジャケット
AD+D: room-composite C: 代田ケンイチロウ Cl: Driftwood Record


オフィス風景

左:「日本のグラフィックデザイン2008-2010展」ポスター 右:「YEBISU STYLE」情報誌

左:「日本のグラフィックデザイン2008-2010展」ポスター
AD+D: room-composite Cl: 宮崎県立美術館
右:「YEBISU STYLE」情報誌
AD+D: room-composite Ph: 星川洋嗣(pointer) Cl: 恵比寿ガーデンプレイス


定番フォントと飛び道具的なフォントの使い分け

MORISAWA PASSPORTは発売当初に導入したというカイシ氏。それ以外にもパッケージのフォントや、海外のサイトから購入することもあるそうだ。どのように使い分けているのだろうか?

「MORISAWA PASSPORTで送られてくるディスクは一応チェックし、本文組に使えるフォントはすべて入れるようにしています。全部入れてしまうと多すぎるので、定番以外の飛び道具的なフォントはその都度必要に応じて。広告の場合は、みんなが使っているようなフォントをあえて外したりすることも多いです。例えばコピーをじっくり読ませるような広告で丸明オールドとか、A1明朝とか、よく見るような気がするので、使わないようにしようとか…。同じ書体ばかりでは広告効果も薄れてしまいますから。」

room-compositeの作品では、フォントをそのまま使うだけではなく、さまざまな加工を施すことも。フォントの使用許諾については基本的なところはわかっているが、媒体が複雑化するなかで判断に迷うこともあるという。

「企業ロゴとか、元フォントがはっきりわかるものがありますよね?こういった場合は商標登録をしなければいいのか、フォントを改変したものならいいのか?など、その都度疑問には思うのですが、はっきりとしたところはわかりません。電子書籍やPDFなんかは、制作会社がフォントライセンスを持っていればエンベッドしてもいいのかな?と認識していますが、リアルタイムレンダリングのフォントもありますし、権利関係を全部を把握して使っているか?と言われると、正直できていないのが現状です。これからはiOSやAndroidなどの端末向けの制作物なども出てくるでしょうし、アプリの場合のフォントはどうなるのか?など、フォントの使用や権利についてはより複雑化していきそうですね。」

カイシトモヤ

カイシトモヤ
room-composite
アートディレクター

1975年・兵庫県生まれ。2004年にデザイン事務所「ルームコンポジット」設立、現在は下北沢のオフィスでCDやDVDのジャケット、エディトリアル、広告などグラフィックデザインを軸とした多数のプロジェクトを行っている。日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員。香港国際ポスタートリエンナーレ2010 金賞/KAN Tai-Keung賞、APA金丸重嶺賞受賞。


フォントの使用許諾はいまどうなってる?