5月28日、日本でAdobe® Creative Suite® 5の発売が開始されました。 CS5は、従来のCS4から合計250以上の新機能が加えられたアップデートで、その中のビデオ系製品であるAdobe® After Effects® CS5やAdobe® Premiere® Pro CS5なども数多くの変更・改善がなされています。
今回はAfter Effects CS5を中心に、CS5では何が変わったのか、具体的に何が魅力なのかについて探っていってみたいと思います。

CS5に関する情報に触れた方であればおそらく「64ビット」という言葉を目にしたと思います。ご存じの方も多いかとは思いますが、After Effects CS5とPremiere Pro CS5は64ビットアプリケーション化され、64ビット環境専用となりました(Photoshop CS5もWindows版/Mac版ともに64ビット化されていますが、32ビット版も用意されています)。
64ビットとは一体なんなのでしょうか?またそれによって何が変わり、どう実際の編集に影響してくるのかという点から考えてみたいと思います。
これまで数多くのコンピューターは、「32ビット」環境が標準でした。そして、32ビット環境には「メモリが4GBまでしか認識できず、また、一つのプロセスは2GBほどまでしか所有出来ない」という大きな問題があり、特にAfter Effectsのような大きなデータを扱うアプリケーションの場合、この問題が大きく影響していました。
そこでAfter Effects CS5/Premiere Pro CS5ではこの壁を破るべく、プログラムが64ビット向けに書き直されたというわけです。
これによってアプリケーションが、コンピューターに搭載されているほぼ全てのメモリを使うことが出来るようになり、RAMプレビュー可能時間が長くなったり、より多くの情報をメモリに格納できる事による高速化などが図られました。
例えば単純計算で、1920×1080/29.97fps/16bpcの映像をプレビューしようとした時、CS4以前では約3.6秒分までしかプレビュー出来なかったのが、CS5では16GBのメモリを積んでいるなら約24.8秒分プレビューできる計算になります。
また、ある複雑なコンポジションにおいてはCS4と4GBのメモリでは1秒しかRAMプレビューできなかったものが、CS5と32GBのメモリでは20秒もプレビュー可能であったという資料(下記)も発表されています。

参考:HD, 2K and Beyond:Tackling the Future of Video Production
その他、巨大な画像やコンポジションを扱う際にメモリバッファが足りなくなりレンダリングが出来ない、もしくは極端に遅くなってしまっていたようなカットでもレンダリングが可能になるといった、従来のCS4までの壁をひとつ飛び越えたようなバージョンアップになっています。
また、近年流行の兆しを見せているような立体視のほか、HDや4Kといった高解像度の映像編集においても、大量のデータを扱うことが出来るCS5の64ビットアプリケーション化は有効です。
では、実際に動かすにはどうしたらいいのでしょうか。答えは以下の通り:
Windowsユーザー:64 bit版のWindows Vista、またはWindows 7を導入する
Mac OS Xユーザー:Leopard 10.5.7かSnow Leopard以降のバージョンにする
そして64ビット対応のCPUが必要です。最近のモデルであればほぼ対応していますが、分からない方は導入の前に必ず確認した方がよいでしょう。Mac OS XにおいてはIntel Core 2 Duo搭載モデル以降のものであれば対応しています。
1つ大事な注意点として、これまでサードパーティーのプラグインを導入していた場合、それらはCS5対応版にバージョンアップする必要があります。CS4までのプラグインは32ビット向けに作られているので、CS5では使用することができません。もちろん、はじめからバンドル(同梱)されているプラグインについては、CS5から新しく加わったDigieffects FreeFormも含め、すべてCS5対応版のものになっています。
| 32ビットアプリケーションは64ビット環境でも動く |
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WindowsでもMac OS Xでも、ほとんどの32ビットアプリケーションは64ビット環境でも動きます。 Illustrator CS5や、Flash Professional CS5、Soundbooth CS5など、多くのAdobe Creative Suite 5ソフトウェアは32ビットアプリケーションですが、64ビット環境で全く問題なく動きますし、コンピューターにたくさんのメモリを搭載できるので同時にたくさんのアプリケーションを起動しても快適に操作を行うことが出来るというメリットがあります。 なので「64ビットにしたから今までのソフトをすべて入れ替えなければいけない」ということはありません。ただし、中には対応していないソフトもあるので、事前に対応状況をするのがベストです。 |
また、CS5ではマルチプロセッサとメモリ管理についても大きく改良されています。
After Effectsの他にもPremiere Pro, Media Encoderなどが全て64ビット化したので、積んでいるだけのメモリをそれぞれのアプリケーションが使用できるようになりました。しかし、ひとつのアプリケーションがメモリを占有してしまうとスワップが発生し、結果ソフトやOSの動作も不安定になってしまいます。
そこでCS5では製品間におけるメモリ管理も強化され、After Effects, Premiere Pro, Encore, Media Encoder内でメモリを共有するようになりました。これによってスワップの発生を防ぐようになっています。
また、CS5はCore i7など最新CPUのハイパースレッディング(HT)による論理コア(仮想コア)に対応しています。CS4までは物理4/論理8コアのものでも4コアまでしか制御できませんでしたが、CS5では8コアすべてを制御することも出来ます。指定した数のコアだけ使用して、他のコアを残しておくことも可能です。

▲新しくなった「メモリ&マルチプロセッサー」画面。ビデオ系製品内で使用するメモリの量や、強化されたマルチプロセッサーの設定が行えます。
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