Photoshopの進化がもたらしたものは?―
写真が自由に作れるようになったことは素晴らしい。ただし道具の性能が高すぎて、本質を見過ごす危険があるのもPhotoshopの怖いところです。モニター上で50倍に拡大して作り込んだビジュアルを原寸で眺めて、「やっぱり最初に戻そう」ということはよくあります。Photoshopの最大の魅力は、このように「何が良くて、何が悪かったのか」という本質を再確認させてくれること。また、かつては「こう撮るしかない」という技術上の制約が生んだ傑作もたくさんありましたが、現在はすべてが可能であると仮定されているため、「できない」のではなく「やらない」と判断する必要が生じてきました。何気なく撮った最初のショットが、技術的に突き詰めたものよりも優れている場合があるのも写真の面白さ。そこを見極め、レタッチャーが作業をしすぎないよう見張るのも仕事の一部になっています。
今後のPhotoshopに期待することは?―
デジタル写真の制作において、プロのレタッチャーはかつての製版会社のような作業をしています。僕は彼らがどんなツールを使っているかなど気にせずに旧来通りの指示を出すので、直感的に画像を操作できるPhotoshopの進化はとても嬉しい。例えば、画像をぐるぐる回せる新機能(※「回転ビューツール」)はアシスタントにも大好評ですね。Photoshopが写真のクオリティーを向上させる余地はまだまだあると思っています。
海外で評価されるのに必要なことは?―
東京では、言われた通りにどんな被写体でも撮れるオールラウンダーが重宝されます。しかし欧米では高度の専門性を持たなければ表現者として認められないので、僕もさらに自分のスタンスを固めていく必要を感じています。また、日本では撮影前にラフを示されるのが普通ですが、ニューヨークではモノを渡されて「何ができるか提案して」と言われるだけ。常にクリエイティブな提案ができるようにするためには、日頃から「何を撮るか」ではなく「どんな表現ができるか」を意識することが重要です。例えば曲線の美しさを表現したいがために、輪ゴムやトイレットペーパーを被写体にしてみる。そこに写真の面白さがあり、プロダクトの魅力を発見するヒントも潜んでいるのです。





