
パターン作成:仕上り線やステッチ指示など、大部分の作図はペンツールで行われる。またセグメントツールは、ペンツールで描いた曲線の長さを測定し、ノッチを作成する。この機能によってIllustratorは、パターンメイキングのツールとしても威力を発揮する
縫製仕様書の作成:Illustratorを使うと、文字や作表、図などを一緒に扱えるので、正確で自由度の高い仕様書を作成できる
「でもそんなIllustratorでも、そのままではパターン製作を完結することはできません」と語る玉置氏。一見パタンナーのツールとしては完璧に見えたIllustratorにも、パターン作成に欠かせない特殊な機能が必要だとわかったんです。「曲線の長さが測れないんです。Illustratorはグラフィックスイラストレーションのための優れたツールですから、描画機能に関しては完璧で申し分ないのですが、洋服のパターンを作る上では要とも言える曲線測量ができません。ひょっとしたらパターンには使えないかも・・・と考えました。
いろいろ調べたのですが、ファッション大国のイタリアやフランスなどを含め、世界中どこを探してもパターンのためにIllustratorを使っているところはなかったのです」。さらに玉置氏は語ります。
「パタンナーに必要なのは、いいハサミといい鉛筆といい定規、と言われます。また新米パタンナーは腕よりもどれだけ細い線がかけるかを求められています。それだけ正確で細い線を描くことに対してはナーバスになるんです。Illustratorは、線種や太さを自由自在に変えられます。しかもプロッタでプリントアウトしてみると、専用CADと比較してIllustratorは、圧倒的に線が滑らかできれいなので、精緻なパターン作成につながります。そんなことからもパタンナーのツールとして威力を発揮するだろうと思っていたので、曲線を測れないことだけではあきらめきれなかったんですね。それならばその機能を追加するプラグインソフトを作ってしまえば解決する、という友人のアドバイスで、すぐにプログラムを依頼したんです」。
そうして生まれたのがIllustrator専用プラグイン「iPM(Illustrator Pattern Making System)」です。その要となる、パターンメイキングのための基本的な機能を備えたセグメント・ツールが直線部分はもちろん、曲線部分の自動計測やセグメント上のノッチ(合印と呼ばれる、前身頃と後身頃をあわせるための印)の生成を可能にしています。インタフェイスはIllustratorそのままなので、すでに使っているユーザはもちろん、初心者からの導入も難なく行えるのが利点です。「僕がIllustratorと出会った時は、昼夜夢中で使いこんでいました。おかげで3日で一通りのパターンを作ることができるようになりました」。