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翻訳 / 監修 :ソシオメディア株式会社
日本でも2004年6月20日に Web コンテンツのアクセシビリティ・ガイドラインが、JIS (Japanese Industrial Standard:日本工業規格)として公示されました。
2004年6月20日、"やさしいJIS"が公示
平成13年度から3ヵ年計画で進められてきた策定作業を終え、JIS X8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器・ソフトウェア・サービス-第三部:ウェブコンテンツ』が公示されました。日本では過去にも旧郵政省と旧厚生省が連携して開催した研究会が「インターネットにおけるアクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」をまとめたことがありましたが、このJIS としてのガイドラインが事実上日本では初めての公的なガイドラインといってよいでしょう。W3C の WCAG (ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)1.0やアメリカのリハビリテーション法第508条、国内企業のガイドラインなど、既存のガイドラインを参考にしながら、日本を代表するアクセシビリティの専門家を中心としたワーキンググループが策定しました。規格番号の"8341"には"(人に)やさしい"という意味が込められています。
このJIS X8341-3:2004は、日本規格協会(JSA)のWebサイトでオンライン購入することができます。
JSA Web
Store
JIS とは?
JIS が日本の標準規格として制定されるようになったのは、今から50年以上も前の第二次世界大戦後間もない頃でした。当時、日本の企業が生産する製品は決して品質が十分とは言えなかったため、消費者が安心して購入できるようにと昭和24年に工業標準化法が制定され、様々なジャンルにおける製品の品質基準を定めるようになりました。その基準となる規格が JIS で、JIS で定められた規格をクリアした製品には JIS マークが付けられるようになり、企業は競って JIS への準拠を目指し、消費者はJIS マークの付いた製品を選んで購入するようになったのです。ところが、その後目覚ましい高度経済成長を遂げた日本企業の製品の品質は、近年では世界でもトップレベルを誇るまでになり、JIS をクリアすることはごく当たり前のようになっていきました。
高齢者・障害者への配慮は国際的な共通認識
90年代に入ると、国連レベルで高齢者や障害者に配慮した社会の実現が世界の共通認識となり、各国政府は交通機関・建築物などの社会インフラから通信・サービスの分野に至るまで、高齢者や障害者もスムーズに利用できるように様々な施策に取り組んでいます。日本も例外ではなく、駅にエレベーターやエスカレータが整備されたり、段差のある建物の入口にはゆるやかなスロープも併設されたり、と法整備が進められてきました。その中で JIS も当初の品質を保証するというものから、高齢者や障害者に配慮した製品であることを示すものへと、その役割を変えつつあります。実際に JIS では、「高齢者・障害者配慮設計指針」として日常生活の身のまわりにある製品のガイドラインが登場してきています。2004年に Web コンテンツのガイドラインが JIS 化されたのは、急速にIT化の進む社会において、インターネット上の Web コンテンツは今や人々の生活に欠かせないものとして位置づけられるようになった証ともいえます。
高齢化社会を迎えた日本
アクセシビリティという言葉は、特に欧米では主に障害のある人への配慮として使われることが多いようです。ただ、日本は世界でも有数の高齢化社会を迎えた国であり、人間誰しも歳をとれば身体能力は衰えてきます。 Web サイトを利用するときに必要な視力、聴力、そして運動神経といったものは確実に衰えてきますし、それに伴い Web サイトを利用する際の困難さも徐々に増してきます。統計データでも高齢になればなるほど、障害者人口比率が高まってくることがそれを裏付けています。日本においては、障害のある人だけでなく高齢者に対する配慮というのはある意味では世界のどの国よりも先駆けて取り組んでいかなければならないテーマであるともいえるのです。
JIS 化が日本の Web に与える影響
Web コンテンツのアクセシビリティ・ガイドラインが JIS として策定されたことで、まず国や地方自治体などの公的機関のウェブサイトは真っ先にその対応を求められています。政府のe-Japan計画により、電子政府や電子自治体の実現に向けての準備が着々と進んでいますが、こういったインターネット上での行政サービスや行政情報の提供による恩恵は、高齢者や障害者も同じように享受できてしかるべきです。また、民間企業にもこの動きは徐々に広がっていくものと考えられます。実際にすでに富士通、日立製作所、NEC、東芝といった大手企業はJIS公示前から独自のガイドラインを策定して、アクセシビリティに対応したウェブサイトを目指して取り組みを始めていました。顧客の中には当然ながら高齢者や障害者も含まれるわけですから、お客様に利用していただける
Web サイトでなければならない、という考え方はごく自然なことのように見えます。当然ながら、 Web コンテンツのデザイナーや開発者には、アクセシビリティを正しく理解して制作するという姿勢が今後ますます求められていくことになるでしょう。