Accessibility

アクセシビリティとは

ソシオメディア株式会社
翻訳 / 監修 :ソシオメディア株式会社

アクセシビリティには、 2 つの重要な問題が含まれています。1 つは、高齢者や障害のある人がどのようにしてコンピュータ上の情報にアクセスするかという問題。もう 1 つは、高齢者にも操作可能なWebページや障害のある人が使用するアクセス支援ツールで読み取り可能な Web ページをどのように作るかという、Web コンテンツのデザイナーや開発者の側の問題です。

障害のある人にとって難しいのは、Web 上の情報やその他のコンピュータ情報にアクセスするうえで最も便利なツールを見つけることです。一方、Web コンテンツのデザイナーや開発者にとっての課題は、これらのアクセス支援ツールの動作の妨げになるものをいかにして取り除くかということになります。たいていの場合、これらは比較的簡単に対処することができますが、よく考え、手間をかけて対処する必要のある場合もあります。

このセクションでは、以下の問題について説明します。


障害の定義

一口に「障害」と言っても、その範囲は実に幅広く、分類するのも困難です。しかし、この問題の範囲についてある程度共通の認識を持っておくことは大切です。

内閣府の「平成15年版 障害者白書」によれば、日本の全人口のうち、何らかの障害を持つ人は351万6千人とされています。この中には、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、および内部障害を持つ人が含まれますが、それぞれの障害の中でも状態はさまざまです。例えば、視覚障害の中には、全盲、弱視などが含まれます。また、一時的な障害というのもあります。例えば、仕事で毎日 Web にアクセスしなければならない人が、手首を怪我してマウスを使いづらくなるということもあるでしょう。

一方、このような統計は誤解を招く可能性があります。というのは、年齢を重ねると、ほとんどの人が何らかの障害を持つことになるからです。統計では、日本の人口のほぼ 3% が障害を持っていることになっていますが、年をとるにつれて、その割合は高くなっていきます (表 1 を参照)。実際、厚生労働省の「平成13年身体障害児・者実態調査結果」によれば、65 歳以上のお年寄りになると、何らかの障害を持つ人の割合は 75% 近くにのぼります。このように、アクセシビリティには、ドアを開くことだけではなく、開いたドアを閉じないようにする意味もあります。アクセシビリティにより、人々は、通常であれば年齢を重ねるにつれて低下していく自立レベルを維持することができるようになります。すでに世界でも有数の高齢化社会を迎えている日本においては、海外諸国以上にこのことを考えていく必要があります。

表1 年齢階級別にみた身体障害者の分布状況(単位:千人)
  総数
年齢階級別(歳)
18~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~64 65~69 70~ 不詳
障害者数 3,245 11 70 93 213 468 363 522 1,482 22
アクセス支援技術

障害のある人の多くは、Web コンテンツにアクセスするために特殊なハードウェアやソフトウェアを使用しています。アクセス支援技術として知られているこれらのツールには、スクリーンリーダーのようなものからタッチセンサー、ヘッドポインターにいたるまで、さまざまなものがあります。

目の不自由なユーザーの多くは、Web ページのコンテンツを読み上げるスクリーンリーダーや音声ブラウザと呼ばれるソフトウェアを使用しています。スクリーンリーダーの代表的なものとしては、日本IBMの JAWS や 高知システム開発のPC-Talker、システムソリューションとちぎの95Readerなどがあります。また、音声ブラウザでは日本IBMのホームページリーダーなどがあります。こういったスクリーンリーダーや音声ブラウザにより、ユーザーは Web ページのコンテンツを (読むのではなく)「聴く」ことができますが、スクリーンリーダーが読むことができるのはテキスト情報だけで、イメージやアニメーションを読むことはできません。そのため、イメージやアニメーションには、スクリーンリーダーが読み取ることができるように説明用のテキストを指定しておくことが望まれます。これらのテキスト情報は、代替テキスト (alt テキスト) と呼ばれます。

運動機能に障害のあるユーザーの中には、マウスの代わりにキーボードを使用して Web ページをナビゲートしている人もいます。神経損傷や反復動作による障害のある人にとって、マウスは使い辛かったり、まったく使用できない場合もあります。このような障害のある人でも、キーボードの Tab キーと Enter キーだけを使用して、簡単に Web ページ上の操作を行うことができます。実は、インターネットユーザーの多くは、マウスを使用せずに Web ページをナビゲートできるはずなのですが、このことはあまり知られていません。Microsoft Internet Explorer では、Tab キーを押すごとに、ページ上にある使用可能なリンクの上を、ブラウザのフォーカスが順に移動していきます (Internet Explorer でこの機能を使用すると、フォーカスのあるリンクが点線で囲まれます)。Enter キーを押すと、マウスをクリックするのと同じように、リンクがアクティブになります。

タッチセンサーやヘッドポインターなどのアクセス支援デバイスを使用しているユーザーもあります。タッチセンサーを使用すると、マウスの操作で要求されるような微妙な運動制御能力を駆使しなくても、手でページをナビゲートすることできます。ヘッドポインターは、キーボードやタッチスクリーンを操作するスティック状のデバイスで、ユーザーの口やヘッドストラップに取り付けて使用します。

これらのケースでは、マウスを使用しなくてもページ内の基本的なコンポーネントが機能することが非常に重要になってきます。ロールオーバーやドロップダウンリスト、インタラクティブシミュレーションなどはすべて、ユーザーとのやり取りにマウスを使用しなければならない要素の典型です。これらの要素を実装するデザイナーや開発者は、マウスで操作するイベントとは別にキーボードでも操作可能なイベントを必ず用意しなければなりません。Internet Explorer のキーストロークを使用して簡単なテストを行ってみると、障害のあるユーザーが Web ページで直面する問題の一端を垣間見ることができるでしょう。

アクセシビリティの標準規格

アクセシビリティの標準規格は、Web コンテンツのデザイナーや開発者がアクセシビリティに関する問題を認識して取り組む際に役立ちます。

W3C の Web コンテンツアクセシビリティガイドライン (WCAG) は、アクセシブルなデザインのガイドラインを確立した初めての成果です。この規格は、14 のガイドラインで構成されており、各ガイドラインには、Web 開発者が従うべきチェックポイントが優先度 1 ~ 3 のレベルに分けて記載されています。

その後、国ごとの規格も制定されていきました。アメリカのリハビリテーション法 第 508条は、WCAG の優先度 1 のチェックポイントを基に制定されたものです。オーストラリア、フランス、ドイツ、その他多くの国でもこの優先度 1 のチェックポイントを基準にしています。カナダの Common Look and Feel (CLF) 基準やイギリスのGuidelines for U.K. Government Web Sites (イギリス政府 Web サイトのガイドライン) は、WCAG の優先度 1 および 2 を基準にしています。そして、日本でも2004年にはウェブ・コンテンツのアクセシビリティガイドラインがJIS(日本工業規格)化される見込みです。

アクセシビリティはなぜ重要なのか

アクセシビリティは、非常に重要な取り組みです。アクセシビリティに対応する動機は、企業や組織の性格によってさまざまです。以下に、説得力のある動機を挙げてみます。

  • アクセシビリティは正しい行いである

    アクセシビリティは、高齢者や障害のある人が自立するための重要な一歩です。アクセシブルな Web ページは、電子政府、電子自治体、オンラインショップ、ニュースなどのインターネット上でのサービスや情報へのアクセスを可能にします。また、コミュニケーションの手段が豊富になることによって、雇用や教育の機会を広げることもできます。さらに、アクセシビリティにより、新聞を読んだり、親しい人へのプレゼントを買うなど、一般の人の多くが当たり前と考えている日常の営みに、障害のあるユーザーも参加できるようになります。

  • 多くの公的機関がアクセシビリティを規則として採用している

    アメリカ、カナダ、EU 諸国では、国のレベルで新しい要件として提示されたことで、アクセシビリティを要求する法律が数え切れないほど存在しています。この動きは近い将来、日本や他の国にも広がるでしょう。また、これらの方針が適用される範囲も拡大されていくと考えられます。アメリカを例にとれば、リハビリテーション法の第 508条が、政府機関がデザイン/管理する Web ページの基準となっています。州政府や地方自治体、教育機関や非営利機関なども、独自のアクセシビリティポリシーを検討しています。例えば、ウィスコンシン大学マディソン校では、同大学が公開/ホスティングするすべてのページが、WCAG の優先度 1 および 2 のすべてのチェックポイントを満たさなければならないとするアクセシビリティポリシーを採用しました。日本でもすでに東京都、神奈川県、大阪府、島根県などが独自のガイドラインを定めていますし、2004年のJIS化によりこの動きは加速することでしょう。

  • アクセシビリティはすべてのユーザーに利益をもたらす

    高齢者や障害のある人に配慮して改善されたものの多くが一般の人にも役立っているのと同様に、アクセシブルなデザインは、Web を利用するすべてのユーザーに利益をもたらします。ショッピングカートを押してスーパーから出てきた人なら誰でも、自動ドアやスロープのありがたみがわかるでしょう。同様に、アクセシブルな Web ページはたいてい、読みやすく、ナビゲートしやすく、ダウンロードの時間も短いページになります。

  • アクセシビリティは革新的な技術を採用する

    アクセシブルなデザインの Web ページは、Internet Explorer や Netscape Navigator 以外のブラウザでも動作しなければならないという前提があります。さらに、スクリーンリーダーやリフレッシュ機能のある点字ディスプレイ、ヘッドポインターなどでもアクセスできなければなりません。非標準のブラウザにも対応できるページは、WAP 対応電話や PDA など、さまざまなインターネットデバイスにも対応できる可能性が高くなります。アクセシビリティ技術は、最新の技術と最新のデザイン方針に基づいています。従来の静的な HTML デザインでは、Web ページ上のコンテンツと書式がしばしば混同されていました。アクセシビリティガイドラインでは、CSS (カスケーディングスタイルシート) を使用して、コンテンツと書式を分離することを奨励しています。これにより、コンテンツのより柔軟な利用と、より効果的な動的モデルの実装が簡単にできるようになります。

  • アクセシビリティは市場機会を創出する

    アクセシビリティは、新しい顧客や新しい市場を広げる可能性を企業に提供します。現にアメリカなどでは、アクセシビリティポリシーの採用が広がるにつれて、政府機関や教育機関では、アクセシビリティポリシーをサポートする商品やサービスへのニーズが高まっています。アメリカでは、Web などの情報技術を通じて政府に商品やサービスを提供する企業は、第 508条を理解していなければなりません。アクセシビリティを理解し、第 508条を遵守する企業は、市場で優位に立つことができます。この優位性は、地方自治体で新しいポリシーの導入が広がるにつれてさらに大きくなっているようです。

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