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映画といえばフィルムで撮影から編集、上映まで行うのがあたりまえのように行われてきた工程だ。しかし、HD機材のローコスト化と性能アップにより、すでに劇場上映用の映画までもフィルムレス化しつつある。Adobe® Premiere® Proもまた、HDに対応しているため、廉価かつ高品質のHD編集が行えるようになっている。Premiere Proに対応したHD編集ソリューションも充実し、新たにBlackmagic社のDecklinkカードを使用したターンキーシステムも登場した。
そんな中、アーティスト川嶋あいのドキュメンタリー映画「最後の言葉」の制作に、複数のPremiere ProとDecklinkカードを使ったHD編集システムがフルに活用された。今回の映画は、ドキュメンタリー映画という性格上、膨大な量の素材を処理しなければならず、編集作業も1人で行うのではなく、数人が分担することになっていた。制作スタッフが全員Premiere Proを使うことができ、NG抜きなどはPremiere Proを使い、すでに作業が進んでいたこともあったため、最後までPremiere Proで編集を行ったほうが効率もよく、コストも大幅に削減できるのというメリットがあったためである。
複数フォーマットの素材も同じ編集環境で扱える
本映画は、シンガーソングライター川嶋あいが、さまざまな困難を乗り越えながら路上で1000回のライブ活動を成し遂げていくその過程を追ったドキュメンタリー映画である。彼女の生い立ちや、2002年フジテレビ系列で放映された「あいのり」のテーマソング「明日への扉」を歌うI WiSHとしての活動、災害地での慰問ライブ、ボランティア活動の記録などを114分の映画にした作品だ。監督はドキュメンタリーテレビ制作に携わった後、2003年よりフリーのディレクターして映画の世界へ転向した高橋雄弥が担当し、数百本のDVテープと、その後同数のHDCAMやHDVといったフォーマットの素材が加わった。半分以上がHD素材だが、SD素材も含まれることとなり、同一ソフト、制作環境で全てのフォーマットを扱えるPremiere Proは、非常に大きな役割を果たすことになったのである。
| SD、HDの各フォーマットのほとんどをカバーするDecklinkの初期設定ファイル一覧 |
複数のPremiere Proクライアントで荒編集、最後にHDでオンライン
最終的に劇場上映可能な映画に仕上げる必要があるので、非圧縮のHDフォーマットで出力できることが最低条件となっていた。各種フォーマットの素材を一度に取り込んで編集するのは現実的ではない。そこで、数人のプロデューサーがそれぞれ必要なカットのみを抜き出す作業をPremiere Proで行い、ある程度素材のダイエットを済ませてから、オフライン、そして本編集を同一システム上行った。編集をPremiere Proで統一することで、プロジェクトファイルを本編集にそのまま反映させることができたのである。実際これだけでも相当な効率化につながったという。すべての編集作業をPremiere Proに統一したからこそできる芸当だ。
オフライン編集後、Premiere Proのバッチキャプチャー機能でHDCAM素材に差し替えてオンライン編集が行われた。MAは別工程で行い、最後にPremiere Proに取り込んだ。非圧縮HDの作業ながら、オフラインと同様の軽快な環境で作業を行うことができたという。 |
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