< Video and audio
Professional Video Solutions
page: 1 2 3 4
Jun. 2004

円谷プロ


特撮の歴史はAfter EffectsとPhotoshopに継承された
ウルトラマンネクサス
ウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンネクサス』、毎週土曜日7:30AM/CBS/TBS系全国28局ネット放送中、円谷オフィシャルサイト
©2004 円谷プロ・CBC


子供の頃に、ワクワクと胸を躍らせ毎週の放送を心待ちにしていた「ウルトラマン」。半世紀たった今でもなお、世代を超えて愛されている強くてやさしい巨大なヒーローだ。この作品は、スーツアクターやミニチュアセットなど、特撮映像作品に大きな影響を与え続けてきた日本の特撮黎明期を築いたテレビシリーズといっていいだろう。1966年にシリーズがスタートして以来、アニメーションの『ザ・ウルトラマン/1979年』、ビデオ合成を初めて取り入れた『電光超人グリッドマン/1993年』、CGのウルトラマンが初めてカットの中に登場した劇場公開作品『ウルトラマンゼアス/1996年』といったように、時代の映像スタイルとともに制作スタイルも変化しており、1996年から放映された平成三部作と呼ばれる『ティガ』『ダイナ』『ガイア』は、子供だけでなく大人からの人気も集めた。そして2004年10月、原点回帰をテーマにしながらも現代特撮ヒーローのテイストをふんだんに盛り込んだ斬新なウルトラ新シリーズが始まった。それが『ウルトラマンネクサス』だ。

アクションシーンの一部を板野 一郎氏が監修

今作の『ウルトラマンネクサス』といえば、日本のお家芸的な特撮と、初めて特撮シリーズに参加する板野 一郎氏のコラボレーションを楽しみにしていた方も多いことと思う。板野氏といえば、華麗でスピーディーなメカアクションに偉才を発揮する日本を代表とするアニメーターで、彼が描き出す世界観はいつしか『板野サーカス』と称され、世界に通用する一線級の戦闘シーンが多くの人を魅了し続けている。

板野氏がこの作品に参加したきっかけは、2004年12月18日公開の映画『ULTRAMAN』の監督小中 和哉氏からの依頼だった。「ウルトラマンが劇場になったときに、ぜひ、ジャパニメーションを引率する板野サーカスのスピード感を特撮に持ち込みたい」。そんな小中監督の思いで坂野氏が召喚された。板野氏は、特撮業界は未経験で、それまでは一視聴者として番組を楽しんできたが、特撮映像に対する熱い思いは人一倍強く、「アジアはこれだ!日本はこれだ!というものをハリウッドに突きつけてやりたい」、そんな思いが彼の心を突き動かしたという。

板野氏の肩書は、劇場版では「フライングシーケンスディレクター」、テレビシリーズでは「CGIモーションディレクター」として連ねられており、「ネクサス」では、3DCGの飛行機やミサイルなどの動きや3DCGウルトラマンの演技指導など、CGによるアクションカットを全般に監修している。板野氏は、CGによる飛行機やウルトラマンも「コスモス」や「ゼアス」のころからはずいぶんかっこよく飛んでいると評価しながらも、そこに「ジャパニメーション独特のスピード感」や「100分の1秒詰めるともっと気持ちよくなる」といった独自の表現手法を伝えることに力を注いだ。劇場版では、F-15の空中戦の絵コンテの段階から、ディレクションに近い形で参加したというから、見過ごすわけにはいかないだろう。
ユーザ事例

bullet PD トウキョウ
bullet スタジオディーン
bullet アイエムエス フューチャーデザイン
bullet ウルトラマンネクサス
bullet ナムコ『エースコンバット5』
bullet オムニバス・ジャパン
bullet 東映アニメーション
bullet テレビ朝日
bullet リンクスデジワークス
『交渉人真下正義』
bullet 東京ヴィ・ピー・アール
bullet UVN
bullet PIX
bullet テレビ朝日クリエイト
bullet ZAMURAI TV
bullet 蛙男商会
bullet 白組
bullet 千葉テレビ
bullet 山陽映画
bullet ハミングライフ
bullet GENJI-神威奏乱-
bullet Dust to Glory
bullet アビエイター(Hollywood effects on the desktop)
bullet Discovery Channel
bullet Big Machine Design
bullet When do we eat
bullet Almost Human社
bullet 南カリフォルニア大学(USC)
bullet 歌手シェールのツアーに同行


板野 一郎氏
CGIモーションディレクター 板野 一郎氏


ミサイル発射シーン
スペシャルマルチロールファイター「クロムチェスター」から発射されるミサイルシーンでは実にダイナミックな動きが再現されている

2話合計で200カットを超えるCGワークがなされた

「ネクサス」のワークフローは、まず初めに各セクションの代表者が集まり、監督のコンテを参照しながら「これは特撮」「これはCG」「これは現場」といった感じで、技術的な問題を入念にしながら作業分担を決める「美術打ち合わせ」が行われる。それを元に撮影に入り、「本編の撮影」→「特撮の撮影」→「仮編集」が終わり、ここでCG班による合成カットの作業に入る。

CG班の作業は、「円谷本社編集室」、「日本エフェクトセンター」、「円谷CGIルーム」の3チーム体制で行われており、怪獣や飛行機やミサイルなどのCG素材の作成、爆発や光り物などのエフェクト処理、マットペイントやグリーンバック合成などのコンポジティングワーク、といったように各スペシャリストたちに分業化されて進められている、シーンによってはオーバーラップする部分は少なからずあるものの、その中でもCGパーツやマット画や合成といった部分を中心に手がけるのがここで紹介する円谷CGIルームだ。

劇中の合成カットの中でもっとも多いのが、グリーンバックで撮影した「人物」などの実写合成や、ロトスコーピングという手法で実写のカットの中から特定の部分を切り出して加工したり、爆発や煙などのエフェクトを多用した緻密なワークなのだが、特撮物の特性上、実際の撮影では無理なシーンが数多くを締めるので、CG班が描き出さなくてはならないシーンは相当な数にのぼる。特に最近では、ロケ地での火薬の使用が規制されているために、危険な撮影ができなくなっている現状もあり、グリーンバックで撮影した素材や、マット画をAdobe® After Effects®で合成し、そこにCGやエフェクトを加えていく作業が非常に多くなってきているという。
コンテ・指示書など
シーンごとに細く指示が書き込まれたコンテや指示書など


実写のダムにハッチや飛行機を合成
巨大ダムに見せかけたTLT「フォートレス・フリーダム」。撮影された実写のダムにCGで作られたハッチや飛行機が合成されている

ここでいくつか合成シーンの事例を紹介しよう。ダムに偽装して造られた基地(フォートレス・フリーダム)のハッチが開いて、飛行機が飛び出すシーンは、「実景のダム」とCGで描かれた「射出口」の合成によってできている。実写部分では、当然なにもないところで役者が驚いている演技をしているわけだが、完成形ではハッチが開き、飛行機が飛び出していくシーンが、リアルに再現されている。
 

トップに戻る
  next