Dreamweaver CS4 パブリックベータ

第3回 Subversionで効率的なファイルのバージョン管理

前回は、ライブでJavaScriptの動作と動的HTMLソースを確認できる機能としてLiveViewとLiveCodeを紹介しました。最終回となる今回は、ビルドインでサポートしたSubversion機能を紹介します。Subversion機能を使えば、ファイルのバージョン管理を非常に効率よく行うことができるため、待ち望んでいたユーザーも多いことでしょう。Dreamweaver CS4に搭載されたSubversion機能について、その設定から使用方法までを解説します。

Subversionとは

Subversionとは、Adobe Version Cueのように、ファイルのバージョン管理をしてくれるオープンソースのソフトウェアです。PhotoshopやIllustrator、InDesignファイルなどの印刷系会社が扱うファイルのバージョン管理には、Version Cueが多く使われます。それに対してSubversionは、プログラムのソースコードやHTMLファイル、JavaScriptファイルなど、Web制作会社が扱うファイルのバージョン管理に使うことの多いバージョンコントロールシステムです。

さて、Web制作会社で使われることの多いSubversionですが、従来のDreamweaver CS3までは、HTMLファイルなどのバージョン管理をSubversionに任せようと思った場合、TortoiseSVNなどのサードパーティーのソフトウェアを導入したり、ターミナルでsvnコマンドを打ち込んだりする必要があり、非常に敷居の高いものとなっていました。そのため、Subversionを使った方が作業効率が上がるような現場でも導入することができず、結果として非効率的な方法をとらざるを得なくなっていた場合もあったことでしょう。

Dreamweaver CS4では、Subversionからのチェックアウトやコミット機能をビルドインでサポートしました。つまり、前述のように、サードパーティーのソフトウェアの導入や、煩雑なコマンドラインの操作を覚える必要がないということです。Dreamweaver CS4にはSubversion操作のためのユーザインターフェイスも搭載されていて、ボタンを押すだけで操作が可能となっているので、Subversionを知らない人に使い方を教える時間を省くことにより、コスト削減につながります。

サイトでSubversionを使うように設定する

サイトでSubversionを使うようにする設定も簡単にできるようになっています。従来通り「サイト定義ダイアログ」を開くと「Version Control」という項目が付け加えられています。このVersion Controlの設定画面に、Subversionサーバーのアドレスやレポジトリのパス、ログイン情報などを入力します。

図1 Version ControlでSubversionの設定を行う
図1 Version ControlでSubversionの設定を行う

サポートされている接続方法としては、WebDAV経由(http、https)とSubversionプロトコル(svn)、SubversionプロトコルをSSHトンネリングしたもの(svn+ssh)の4種類になります。なお、最後のsvn+sshについては、別途設定ファイル(WindowsならC:\Documents and Settings\ユーザ名\Application Data\Subversion\config、Mac OSXなら~/.subversion/configなど)の編集が必要になる場合があるので注意が必要です。

Subversionを実際に使う

サイト定義ダイアログでVersion Controlの設定をしたら、Subversionにアクセスできるようになっています。

まずは、Subversionサーバーのレポジトリから最新のソースをチェックアウト(取得)してみましょう。チェックアウトは、サイトパネルのチェックアウトボタンを押すことで行えます。

次に、チェックアウトしたファイルをDreamweaverで編集し保存します。すると、ファイルの隣にプラスアイコンが付くのが分かると思います。これは、Subversionサーバーからチェックアウトした状態に変更が加えられていて、コミット(保存)が必要ということを示しています。

図2 チェックアウト後変更を加えたファイルはプラスマークが付く
図2 チェックアウト後変更を加えたファイルはプラスマークが付く

最後に、変更をSubversionサーバーにコミットしてみましょう。チェックインボタンを押すと、コミットダイアログが現れ、コミットが行われます。

図3 コミットダイアログ
図3 コミットダイアログ

ここまででお気づきの通り、ファイルパネルに従来からあるチェックイン・チェックアウト機能が割り当てられていたボタンは、サイト定義ダイアログでSubversionを使う設定にすることで、それぞれSubversionの「コミット」と「チェックアウト・アップデート」に変更されます。つまり、従来のチェックイン・チェックアウトとSubversion機能は排他的にしか使えない点に注意が必要です。

サポートされているSubversion機能は一部のみ

Dreamweaver CS4はTortoiseSVNなどのサードパーティーのSubversionクライアントを完全に置き換えることを意図しているわけではありません。従って、Subversionには元々備わっている機能でも、意図的にDreamweaver上からは使えないようになっている機能がいくつかあります。

例えば、ファイル名やファイルパスが変わった場合、Subversionにはその変更履歴を追跡する機能がありますが、Dreamweaverではその機能はサポートされていません。従って、Dreamweaverのファイルパネル上で名前を変更すると、「古いファイル名のファイルが削除された」という履歴と、「新しいファイル名のファイルが新規作成がされた」という履歴がSubversionに記録されます(ファイル名の変更やファイルの移動などを行おうとすると、アラートダイアログが表示されます)。Subversionに「a.htmlからb.htmlに名前を変更した」という履歴として残したい場合は、従来通りサードパーティーソフトウェアを使うか、svnコマンドを使う形になります。

まとめ

今回は、今まで多くのユーザから搭載されることが熱望されていたSubversion機能を紹介しました。Subversionを制作現場に導入しようと思った場合、Subversionの使い方を教える教育コストがかかるなどの理由で導入を見送っていた企業もあるかと思いますが、Dreamweaver CS4ではビルドインでサポートしたことにより、Subversionを今まで知らなかった人にも簡単に使っていただけるようになりました。

総括

これまで3回にわたって、Dreamweaver CS4に搭載された新機能を紹介してきました。一新されたインターフェイス、Related Files、多彩なビューの配置方法、Live View・Live Code、Code Navigator、Subversionなど、ご紹介できた機能は新機能の一部に過ぎません。ただ、ご紹介した機能だけでも十分Dreamweaver CS4の魅力はお伝えできたと思っています。

10年間にわたってWeb制作現場を陰から支え続けたDreamweaver。その新バージョンに相応しい進化を遂げたといえるでしょう。


酒井氏写真

酒井 克幸(Katsuyuki Sakai)
合同会社レゾリューションズ 代表社員

2002年から2004年にかけマクロメディアにインターンで在籍。Dreamweaver や Fireworks、Contribute など Web 関連製品に関わる仕事をする。

2005年から2006年にかけて、女性系サイトでは絶大な人気を誇るクックパッドに在籍。ColdFusion と MySQL を使ってリニューアルを行い、2008年3月現在では月間2.2億ページビューを集めるサイトにまで成長した。

2008年2月合同会社レゾリューションズを設立。クライアントとその顧客が Web を通じて円滑にコミュニケーションができるようにする”コミュニケーションデザイン”を生業とする企業。「技術はコミュニケーションデザインを支えるための基盤」がモットーであり、日々の技術鍛錬は欠かさない。