ポエ山さんに聞く、Flash+After Effectsの魅力とテクニック

「Flash+After Effects」シリーズ第2弾として、今回はFlashクリエイター・ポエ山さんのインタビューをお届けします。ポエ山さんは、ネットで初めて流行したFlashアニメーションと言っても過言ではない「ゴノレゴ」や「quino」などのオリジナル作品をはじめ、大手企業サイトのプロモーションムービー、ゲーム内のムービー、人気コミックのFlashアニメDVDなど幅広く手掛けています。ポエ山さんによると、最近、Flashアニメーション作成にAfter Effectsを本格的に利用するようになったそうです。そこで、After Effectsと連携させる魅力、最新作である初音ミクの楽曲PV「LOL ~lots of laugh~」で使われている連携テクニックなどについて話を伺いました。

Edge:Flashアニメーションを作成する際に、どのようにAfter Effectsを利用されているのでしょうか。

After Effects自体は5.5の時から使っていましたが、本格的にアニメーション作成に使い始めたのはCS3からです。Flashだけの作画だとのっぺりとした画面になりがちなので、作品によっては色の深みや空気感を出したいことがあります。また、アニメーションをFlashで作成しても、swfではなく動画フォーマットで納品することが結構あります。そうした場合に、Flashで最終的に書き出した後、さらに色調整や光効果を追加してクオリティアップするためにAfter Effectsを使っています。

After Effectsだけでもアニメーションは作成できますが、直感的にアニメーションを作りたい場合、リアルタイムにプレビューできるFlashの方が適していると思います。After Effectsで作成するとなると、ある程度計画的に組み立てないといけませんよね。でも、After Effectsでは、トータルな色調や質感の調整、アクセントとなるエフェクトを入れることが簡単にできるので、両方の長所を生かして使い分けるのが効率的だと思います。

Edge:After Effectsを利用したFlashアニメーション作品を教えてください。

本格的に使うようになったのは最近なので数としては少ないのですが、「Lido -砂の花-パイロット版」と「LOL ~lots of laugh~」があります。

Lido -砂の花-パイロット版

Lido -砂の花-パイロット版
オリジナルSFアニメのパイロット版。水彩画の原画を取り込んでFlashで構成。キャラクターはFlashのシェイプで作画。Flashから光効果の部分を別に書き出して、After Effectsでエフェクトを加えて合成しています

LOL ~lots of laugh~
イラスト:ほにゃらら

LOL ~lots of laugh~
mikumixによる初音ミクの楽曲PV。イラストレーターのほにゃららさんとのコラボレーション。ラフコンテを元にFlashで動画コンテを起こし、Flash、After Effectsを併用してアニメーションを作っていきました

Edge:LOLでは、どのようなテクニックを使っているのか教えていただけますか。

よく使うのは、Flashのベタ塗り感を和らげるためにブラーを使う方法です。例えば、Flashから書き出した動画(PNGシーケンス)をAfter Effectsに読み込んで2つ重ね、前面のレイヤーにガウスぼかしをかけて描画モードやアルファを調整します。

加工前

加工後

また、この作品は楽曲PVで歌詞の中に「シャボン」という言葉が出てきます。このシャボンを一つのキーイメージとして、鮮やかな虹色を全体に取り入れたかったので、虹色の素材とFlashで作成したシャボンのアニメ素材を重ね、色相を変化させることで刻々と変わっていく虹色の表現を作りました。

Flashで作成したシャボンのアニメ素材を重ねる

あと、モーション部分にもAfter Effectsを使っています。初音ミクの特徴は、長いツインテールの髪型です。これを魅力的に動かす必要があります。Flashでモーショントゥイーンやコマ作画でいい感じに動かすのは大変です。After Effects CS3からパペットツールが搭載されたので、Flashで多関節キャラを作る要領で動きが作れるのではないかと思い、挑戦してみました。下図のように、髪の毛をいくつかのパーツに分けて作画してもらい、パペットツールで風になびくアニメーションをつけています。そして、こうして作ったキャラクターをFlashで作成した背景アニメーションと合成しました。

パペットツールで風になびくアニメーションをつける

背景アニメーションと合成

Edge:なるほど、描写だけでなく、モーションでもAfter Effectsを利用されているのですね。話は変わりますが、ポエ山さんは古くからFlashクリエイターとして活躍されていますよね。最近のFlashアニメーション業界はどうでしょうか? 

企業サイトなどでは、分かりやすく伝える表現の手段としてFlashアニメーションは定着した感があります。アニメーション単体のコンテンツとなると、動画サイトの台頭によりswfである必然性は薄まっていますが、Flashアニメーションならではの表現方法に対する需要はまだまだあると思いますね。

Edge:Flashアニメーションの活躍の場がネットを超えて広がってきてもいますね。ポエ山さんも「アニメ版珍遊記DVD 第2巻」の制作・監督をされています。

これは40分のアニメーションをFlashだけで、ほぼ一人で短期間で作るという挑戦でした。こうした機会をいただけるのも、Flashアニメーション独特の止め絵とトゥイーンを駆使したスタイルで、映像作品として充分成立するということが認められてきたからではないかと思います。特にコミックのアニメーション化やLOLのように、まず原画があり、原画の魅力を損なわず最大限生かしつつ動きをつけたい場合、Flash+After Effectsの作り方が有効なのではないでしょうか。

アニメ版珍遊記DVD 第2巻 アニメ版珍遊記DVD 第2巻
アニメ版珍遊記DVD 第2巻

生産性の高さという点では、Flashは非常に優れたツールなので、その特性を最大限生かしつつ、After Effectsとの連携で一段階クオリティを高めて一つのスタイルとして定着していけばいいと思いますね。

Edge:最後に、ポエ山さんのようにFlashアニメーションを仕事にしたい、活躍したいと思っている方も多いと思います。そういう方にアドバイスをお願いします。

最近では、それこそニコニコ動画で初音ミクのPVアニメを発表される方が非常に多いですよね。注目を集めるような作品を発表していけば、自然と仕事の依頼も増えてくると思います。作品の内容は人それぞれ自分のやりたいことをやればいいと思いますが、表現方法に対する探求心も大事なのではないかと思います。「Flashという限られた機能の中でいかに表現するか」という探求の中でいろんな仕事に対する応用力もついていくのではないでしょうか。

Edge:ありがとうございました。


ポエ山 / POEYAMAworksポエ山 / POEYAMAworks

Flashクリエイター。2000年からFlashの作成を始め、2001年Flashサイト「ポエ山」を立ち上げる。以来、Flashコンテンツとアニメーションの制作を生業にしている。「quino」14th DoGA CGアニメーションコンテスト作品賞。「ゴノレゴシリーズ」文化庁 日本のメディア芸術100選に選出。著書「ポエ山先生のFLASH MX2004 アニメ作成入門」。