Edge Newsletter 編集長から、
“変革の2006年”を終えるクリエイターの皆様へ
今月号の記事
2006年もあとわずか。この原稿は、12月15日に行われた Motion Award 授賞式を終えた直後に書いています。ユニークな作品たちに彩られたFlashコンテストの授賞式にいると、本当に楽しい気分になります。
こうした場で考えるのは、これらの作品はどうやって産み出されるのか、ということ。もちろんクリエイターの頭の中にあるイメージがどう産まれるかは、知る術もありません。ただ、浮かび上がったイメージを具現化するためにクリエイターがチョイスするツールが、とても重要な役割を担っていることは、よく分かります。弘法大師として知られ「弘法筆を選ばず」の空海も、実はよい書を書くには筆を使い分けるべきと言っていました。ツールというのは、そういうものなのです。
こうした作品を作るにあたって、Flash はもちろん、Photoshop や Premiere Pro 2.0、After Effects、Illustrator といったクリエイティブツールが間違いなく使われているでしょう。そう考えると、2006年にアドビとマクロメディアが統合した意義は、クリエイターにとって本当に大きなものだったのだろうと、つくづく思うのです。統合してまだ最初の一年ですが、これからその大きさに誰もがまじまじと気がつくはずです。
統合の意義は、最初の一年で製品にも現れてきています。最新版の After Effects 7.0 や Premiere Pro 2.0 には Flash Video が書き出せる機能が付加されました。見方によっては小さな変化かもしれないですが、これによって、After Effects でビデオ制作に携わっていたユーザが Flash による映像コンテンツに進出し、こうした波が徐々に大きくなって YouTube のような巨大な存在へと繋がっていった……。そう考えると、小さな変化であっても、クリエイター達の力によって大きな波に変わっていくのを見せつけられた一年であったと言えるでしょう。
では次の変化は? 好奇心旺盛なクリエイターの方々は手ぐすねを引いて待っているんじゃないでしょうか。その答えは、Macromedia Labs から Adobe Labs にリニューアルされた“研究室”の中を覗くと見えてきます。ここには、より大きな変化をもたらすであろうツールが着々と準備されているのです。今や「Adobe Photoshop Lightroom」という名で知られているソフトウェアは、2006年に Adobe Labs の中で産まれ、パブリックベータとして配布されました。新しいところでは、「Ajax Framwork Spry」やサウンド編集ソフトである「SoundBooth」などが Labs からパブリックベータとして配布されている。また Labs では、Web ベースの単機能ツールも開発されています。「Kular」というのはご存知でしょうか? 自分なりのテーマをもつカラーチャートを作って公開したり、公開されているチャートを修正したりして、CS2 アプリケーション群で利用できるという「色」をテーマにした Web アプリケーションです。これは本当に面白いツールなので、次号以降の EDGE Newsletter でお伝えしていきましょう。
そして Labs では重要なアプリケーションも準備されています。「Adobe Flash Professional 9 Alpha Preview」は初の試みとしてオープンベータで公開され、今の時点から ActionScript 3 の開発を始めることができます。そして今最もホットなトピックは、Adobe Photoshop CS3 のパブリックベータが登場したことでしょう(これも前代未聞です)。アドビとマクロメディアの統合による変化の恩恵を、こうした形で受けられるのは、大変喜ばしいことです。
Adobe Labs を通じて最新の Adobe の動向を知るというトレンドが2006年に構築されたという意味で、Labs はクリエイターにとって重要な場として機能しています。それと同じように、この EDGE Newsletter も重要なメディアとして機能し始めています。2006年10月、Flash 10周年を祝うのと同時にリニューアルを果たしました。そして、Adobe Labs に登場する新しいプロダクトをいち早く紹介・解説したり、アドビプロダクトを使った先進事例などを通じて、「浮かび上がったイメージを具現化するためのツール」をより深く、より鋭く皆さんにお伝えしていくという役割が、より明確になってきています。
来年2007年は、クリエイティブの現場で、今年以上に変化が起こることは必至です。EDGE Newsletter は来年も皆さんに、大きな変化も小さな変化も、つぶさにお伝えしていきます。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いします。
