これからモバイルFlashを始めたい人のための基礎知識

携帯電話をはじめ、Flashコンテンツを利用できるモバイル端末は続々と登場してきており、今後もますます増えていくでしょう。そうした状況を踏まえて、モバイルFlashのノウハウを習得して仕事の幅を広げたいという人は多いのではないでしょうか。本記事では、「これからモバイルFlashを始めたい」という人のために押さえておきたい基礎知識を紹介します。

モバイルFlashに対する需要は高まってきている

数年前であれば、「Flash対応」というのは、携帯電話端末における1つのセールスポイントでした。しかし、今では「なくてはならない機能」となり、流通している携帯電話端末のほぼ全てにおいてFlashが利用できると言っても過言ではない状況となりました。

PC環境におけるFlashのメリットは、携帯電話環境でもそのまま当てはまります。
 ・端末依存が少ない
 ・「キレイ」で「ダイナミック」なグラフィック表現ができる
 ・開発に時間がかからない
携帯電話向けHTMLやアプリケーションで制作するコンテンツに比べて、訴求力の高いブランディングコンテンツやエンターテインメント性の高いゲームコンテンツなどを、短期間でユーザに提供することが可能なのです。
こうしたモバイルFlashの可能性に、さまざまな企業が注目し始めています。実際、弊社 では事業としてモバイルFlashを手掛けていますが、モバイル業界だけでなく他の業界の方々も、「キレイ」で「ダイナミック」なグラフィック表現で、タイアップ広告ゲームや会社のブランドの世界観などを創ることができるモバイルFlashに興味を持ち始めており、ニーズが高まってきていることを実感しています。

では、モバイルFlash分野における仕事内容にはどのようなものがあるかというと、主に以下の4つが挙げられます。
 ・オールFlashによるサイト企画・制作
 ・HTMLサイト内に貼り付けるインラインFlashを用いたバナー広告など
 ・Flashコンテンツ(アバター、ミニゲームなど)
 ・待受画面などのアクセサリー(着せ替えケータイなど)

Flash制作UI「ORZO Cafe」
Flashメニュー「ORZO Cafe」
©ORSO

モバゲータウンに提供しているFlash大作ゲーム「釣りゲータウン」
アイテム課金型Flashゲームサイト「釣りゲータウン」
©DeNA ©ORSO

ixenで配信しているオールFlashアバター「TiTTy」
Flashアバター「TiTTy」
©ixen ©ORSO

Flash待受画面「清水寺(朝)」 Flash待受画面「清水寺(夕方)」
Flash待受「KIYOMIZU(朝)/(夕方)」
©ORSO

こうしたモバイルFlashコンテンツは、「Flash Lite」というランタイム環境で動作します。Flash Liteにはいくつかのバージョンがあり、バージョンによって機能や制約が異なります。モバイルFlashコンテンツを開発する上では、このFlash Liteのバージョンと端末ごとに異なる特徴を把握することが大切です。

Flash Liteのバージョンと機能/制約

最初にFlash Liteのバージョン1.0が搭載されたのは、NTT DoCoMoの505シリーズです。対応しているActionScriptのバージョンは1.0、端末によるコンテンツ容量制限は20Kbyteでした。

その後、容量制限が100Kbyteや150Kbyteという端末も登場し、Flash LiteのバージョンもFlash Lite 1.1(ActionScript 1.0対応)、Flash Lite 2.0/3.0/3.1(ActionScript 2.0対応)と進化してきました。

※Flash Liteのバージョンごとにおける機能/制約についての詳細は、アドビ システムズ社のサイトにある「Flash Lite バージョン別機能比較表」と、同ページの「詳細な機能比較表のダウンロード」から入手できるPDFファイルを参照して下さい。

コンテンツ開発を行なっていく際には、それぞれの端末に対応しているActionScriptのバージョンに注意する必要があります。すべてのActionScriptの仕様をサポートしているわけではなく、携帯電話特有の制限があったり、端末ごとの制限があったりします。

たとえば、PCでは一般的な「load Variables」「load Movie」「load XML」などの外部データを読み込む機能は、Flash Liteではユーザのボタンアクションによって制御するようにしなければなりません。現在では、それらに対応した端末も出てきています。Flash Lite 3.1以降の端末では、今まで端末側に制限がかかっていた外部データの自動読み込みができるようになったため、複雑なサーバ連携を行うファイルの制作が可能になり、よりPC環境に近い機能を実現できるようになっています。

Flash Liteは上位互換がほぼ完全にできるため、Flash Lite 1.1で作ったファイルは、Flash Lite 2.0以降でも再生することが可能です。また、Flash Lite 2.0以降でパブリッシュした場合、ZIP圧縮がかかり容量が削減されるため、その分だけグラフィックをリッチにしたり、オプション要素を追加したりすることができます。

ここ1年の間に発売された端末はすべてFlash Lite 2.0以降のバージョンをサポートしていますが、市場全体でみると、Flash Lite 1.1対応端末のシェアは1/3ほどあり、無視できないシェアです。現在制作されているFlash Liteコンテンツの多くは、「100Kbyte、Flash Lite 1.1以降の端末」を対象にしているようです。

コンテンツの制作と検証

コンテンツ制作にはFlash Professional 8/CS3/CS4が必要です。他にもAdobe Device Centralには、Flash Liteに対応している端末の基本的な情報が網羅されており、このツールを利用すれば制作の際の参考になるでしょう。

Adobe Device Central CS4

制作したコンテンツは、目的とする携帯電話端末でしっかりと動作するか検証しなければなりません。特に複数種類の端末を対象とする場合には注意が必要です。搭載するFlash Liteのバージョンが同じでも、対応しているActionScriptの仕様や機能が異なる場合があり、また、端末ごとにハードウェアとしての性能も異なってきます。

弊社 の場合は、各キャリアが公開している情報、Adobe Device Central CS4からの情報に加え、自社 独自の方法で端末検証を行っており、ここで蓄積されたデータを基に、社内共有化してコンテンツの制作を行っています。

全体的に、新しい端末ほどFlash Liteのバージョンが高く、また容量/処理能力も高くなっていきます。ただし、端末のCPUやメモリなどに関しては、理論値に基づいてではなく、実際の動作環境に沿って制作する必要があります。

コンテンツ開発時のアドバイス

モバイルFlash環境は、PC環境と比べると、「容量」「処理速度」「メモリ容量」に関して厳しい制限があるため、制作の際には十分に考慮する必要があります。ユーザにとって、また企業のブランドイメージに沿って、「本当に訴えたいものは何か」を取捨選択する必要があります。

PC向けのコンテンツをそのままモバイルに転用したりローカライズしたりするのではなく、モバイルユーザが「何を求めているのだろう」、「どんなシーンで利用するのだろう」ということを常に意識して、ゼロから制作するつもりで考えることが大切だと思います。

関連情報


安西 渉氏

安西 渉
株式会社ORSO 取締役(CTO) 研究開発部長

1979年生まれ。北海道出身。東京大学文学部卒業。2003年NTTドコモ社の505シリーズより、Flash Liteのミニゲーム、U.I.の開発に携わり、これまでにFlash動的生成エンジンやその汎用ソリューションとしてASP提供モデル型のツール開発などを行う。現在は、携帯電話の特性を分析し、携帯でのユーザビリティを最大限に考慮したモバイルFlashアバターシステムや、Flash動的生成エンジンを中心としたセキュアなサーバ連携システムの開発を行う。