SEOの視点で見るFlashの使い方・使いどころ

Flashコンテンツを提案して、SEOの観点から一刀両断されたことはありませんか? 未だに「Flash=SEOに不利」という固定観念を持っている人がいますが、その捉え方は誤っています。適切な使い方をすれば、SEOに有利に働くこともあるのです。本記事では、SEO業界の先駆者である住太陽さんに、SEOの視点で見るFlashの使い方・使いどころを解説していただきます。

はじめに

始めに述べておきたいことがあります。それは、SEOにとってFlashは、テクノロジー単体としては不利に働くことも有利に働くこともない、ということです。使い方によってはSEOに不利になることもありますが、正しく使えばSEOを補強することも可能です。この記事では、SEOにおけるFlashの使い方・使いどころについて、以下の4つの視点から解説します。

  1. 検索意図によってはフルFlashサイトも検索可能
  2. テキストとFlashを併用したコンテンツで利便性を向上する
  3. サイト内のリンク構造とFlashナビゲーション
  4. リッチコンテンツの魅力をSEOに活かす

検索意図によってはフルFlashサイトも検索可能

フルFlashサイトと検索エンジンの相性は今のところあまり良好ではない、ということはよく知られているとおりです。しかし、ユーザーの検索意図によっては、フルフラッシュによるサイト構築が問題にならない場合もあります。まず、検索ユーザーの意図には大きく分けて次の2とおりがある、ということを確認しておきましょう。

  1. 情報探索を意図した検索(一般的な語句をキーワードに使う)
  2. ナビゲーションを意図した検索(サイト名やコンテンツ名などの固有の語句をキーワードに使う)

上記1の、情報探索を意図した検索に対しては、検索結果にフルFlashサイトを露出するのは難しいものです。しかし2の、特定のサイトやコンテンツに到達するためのナビゲーションを意図した検索においては、フルFlashサイトと検索エンジンの相性は問題になりません。

サイト名やコンテンツ名で検索した場合、その対象のサイトがフルFlashで構成されていたとしても、ほとんどの場合きちんと目的のサイトやコンテンツは検索結果に表示されます。以下の例を見てみましょう。

検索結果にフルFlashサイトが表示される例

http://www.google.com/search?q=%E9%BE%8D%E9%A6%AC%E4%BC%9D&ie=UTF-8

これはGoogleで「龍馬伝」と検索した結果ですが、フルFlashサイトが1位に表示されています

http://search.yahoo.co.jp/search?p=lexus&ei=UTF-8

これはYahoo! Japan で「lexus」と検索した結果ですが、やはり1位に表示されているのはほぼ全面Flashのサイトです

確認のために付け加えておくと、特定のサイトやコンテンツにアクセスするためのナビゲーションとして検索エンジンを使うという行動は、現在では極めて一般的なものです。検索キーワードのランキングを見れば、上位にランクインしているキーワードの大半は特定のサイト名であり、ナビゲーションを意図してサイト名で検索するという行動がご理解いただけることでしょう。

検索ランキング上位

http://searchranking.yahoo.co.jp/total_ranking/general/

上はYahoo! Japan が公表している検索語ランキングの総合上位ですがほとんどすべてが特定のサイトを表すキーワードで、ユーザーは調べ物と言うよりは次のサイトへの移動を意図していることが分かります

会社名や商品名、サービス名など、固有のブランド名での検索だけを想定するような場合には、フルFlashサイトでも検索エンジンからの導線を得ることが可能です。クチコミとメディアミックスを中心としたブランディング重視のプロモーションであれば、Flashの使用をためらう理由はありません。

この種のフルFlashサイトを制作する場合にSEOの観点から注意するべき点は、keywords meta要素とdescription meta要素をきちんと記述しておくことに加えて、title要素の内容をユニークなものにしておく、という程度で十分です。あとは十分な数の被リンクさえあれば、ナビゲーション目的で検索するユーザーのトラフィックを損失することはありません。

テキストとFlashを併用したコンテンツで利便性を向上する

一般的な語句を使った検索、つまり情報探索を目的とした検索において、検索結果での露出を高めたいという場合には、残念ながらフルFlashコンテンツは向きません。情報探索を目的とする検索の検索結果で露出するためには、テキストによる情報提供が欠かせないからです。しかしこの場合も、Flashを使ってはいけないということはありません。

HTML内に十分なテキストコンテンツがあれば、検索エンジンはそれを評価します。そこにFlashコンテンツが埋め込まれていても、それをマイナスに評価することはありません。むしろ、Flashコンテンツが含まれていることがユーザーの利便性を高めるようなケースであれば、情報探索に対応したページであっても、積極的にFlashを使用すべきです。

ユーザーが探している情報を提供する手段として、アニメーションなどの動画を使用することが適切なケースは多いものです。例えば、アプリケーションや機器などの操作手順を説明するような場合には、文字や静止画だけの説明よりは、動画と音声による説明を加えたほうがより親切なものになるでしょう。こうしたケースでは、Flashのようなテクノロジーの活用はユーザーのニーズに適合します。

Flashを使用することで説明を分かりやすくしている例

http://www.gov-online.go.jp/useful/flash/contents/200712.html

政府公報オンラインの「救命処置とAEDの操作方法」というコンテンツではページ遷移後に全画面のFlashを用いてAEDの操作方法を説明しています。これなどは、AEDの操作方法を検索しているユーザーにとって価値の高いコンテンツの好例と言えるでしょう

なお、情報探索を目的としたユーザーに対応するページにFlashを使用する場合、注意したいことがあります。それは、一般的な語句での検索結果からページにアクセスしたときに、最初に見える部分に大きなアニメーションがあると、直帰率が上がってしまう傾向が見られる、ということです。この傾向は、アニメーションがイメージ重視のものであったり、ロード時間の長いものであったりすると、より強まります。

情報探索を目的としたユーザーを想定する場合、ページ内に埋め込むFlashは必要以上に大きく目立つ配置にしないようにするか、どうしても大きく表示したい場合には、先に紹介した「救命処置とAEDの操作方法」のようにページ遷移後に全画面で表示する、ということも検討してください。

いずれにしても、情報探索を目的とするユーザーを検索経由で集客することを考える場合には、Flashの利用はユーザーの利便性を向上する意味で必然性のあるものに集中するようにし、十分なテキストコンテンツとともに使用する、というのが適切なFlashの活用法だということです。ユーザーのニーズに合致した形で使用すれば、SEOを行う場合であっても、Flashはマイナスになることはなく、むしろ活用することによってコンテンツの価値を高めることにつながるでしょう。

サイト内のリンク構造とFlashナビゲーション

SEOの内部施策では、サイト内のリンク構造を特に重視します。これは、検索エンジンロボットがサイト内のリンクを辿るのを容易にすることでインデックスをより確実なものにするという意味があるほか、サイト全体で保持しているリンクポピュラリティをそれぞれのページに適切に再配分するという意味でも重要なものです。もちろんユーザーに対しては、ユーザーが求めるページへの適切な移動手段を提供するというナビゲーションとして重要なものです。

ここで注意したいことは、Flashによるサイト内ナビゲーションの提供です。サイト内ナビゲーションをFlashで行ってもユーザーに対しては何ら問題ありませんが、SEOを行う上では少々の問題がまだ残ったままになっている、ということです。

もちろん、Flashによるナビゲーションと検索エンジンの相性の問題の中でも、既に解決されたものもあります。以前であれば、検索エンジンはSWFファイル内のリンクを正確に辿ることができませんでしたが、この問題はAdobe、Google、Yahooの相互協力により現在ではほぼ解決されており、ページをインデックスするだけならばまず問題は発生しません。XML Sitemapsを併用すれば、ほとんどの場合インデックスは確実に行われるでしょう。

現在Googleでは既に、SWFファイルだけを対象とした検索もサポートされている

http://www.google.co.jp/advanced_search?hl=ja

上は「検索オプション」の画面で、ここで「ファイルタイプ」に「.swf」を選べばFlashだけを検索対象にすることができます

http://www.google.co.jp/search?as_q=Ninja+250R&as_filetype=swf

上は実際にFlashファイルだけを対象に「Ninja 250R」というキーワードで検索してみたところです。世界中の250ニンジャについてのFlashが検索結果に表示されています

ただ、問題が残っているのは、リンクポピュラリティの再配分やアンカーテキスト連関です。検索エンジンのアルゴリズムは私たち外部の人間には明らかにされていませんので、あくまでも外部からの観察によって判断しているだけですが、現在のところ、テキストや画像による通常のHTML上のリンクと、SWFファイル内に設定されたリンクでは、まったく同様の扱いにはなっていないようです。

サイトへの集客手段のうち、SEOをどれだけ重視するかはサイトによって異なりますが、SEOを重視する割合の高いサイトにおいては、現在のところサイト内ナビゲーションにFlashだけを使用することは避け、通常のHTMLによるリンクと併用するか、または通常のリンクだけを使用することが、現時点では最良の解となるでしょう。

リッチコンテンツの魅力をSEOに活かす

現在のSEOにおいて最も重要なことは、どれだけ多くの質の高い被リンクを獲得するか、ということです。数多くの質の高い被リンクを獲得することによって、サイト全体のリンクポピュラリティと信頼度が高まり、サイト内のすべてのページが検索結果に露出しやすくなる効果が得られます。

このことから、SEOを重視するサイトでは、被リンクを獲得するための様々な戦略を実行しています。その中でも特に多くのサイトに採用されているのが、バイラルコンテンツと呼ばれるものです。バイラルコンテンツとは、ユーザーのクチコミによって話題になるように設計されたコンテンツで、ブログやTwitterなどのミニブログなどのようなソーシャルメディアを通じて認知を拡大します。

Web上でのクチコミの伝播は、そのプロセスの中でほとんど常にリンクの生成をともないます。ブログでの紹介、ミニブログでの報告、といった形でバイラルコンテンツへのリンクが生成され、人も検索エンジンもそのリンクを参照するのです。現在のSEOでは、バイラルコンテンツの作成ほど重要かつ効果的な施策は存在しないと言ってもいいほどです。

バイラルコンテンツの内容としては、ニュース、ジョーク、アニメ、ビデオ、ハウツー、ゲーム、占いなどが代表的です。中でもアニメ、ビデオ、ゲームについては現状ほぼすべてのコンテンツがFlash Player を通じて視聴されています。またWeb公開用のアニメとゲームについては、Flashはまさに最適なオーサリングツールです。

SEO業者が自社のバイラルコンテンツとしてFlashゲームを制作

http://www.seo-keni.jp/seo-game/
http://www.seo-keni.jp/seo-taisakuhonbu2/

上の2点はいずれも、京都でWeb制作とSEOを手がける会社による自社のマーケティングのためのバイラルコンテンツです。このキャンペーンは確実な成果を上げ、数多くの被リンクの獲得に成功しています

このように、SEO事業者ですら自社マーケティングにFlashコンテンツを活用しているのを見れば、「Flashを使うとSEOに良くない」などというのが単なる迷信に過ぎず、現実はその逆で、上手く使えばFlashはSEOの役にも立つ、ということがよく分かると思います。

まとめ

そもそもこの記事を書くことになった理由は、SEOへのマイナス影響を恐れてFlashの提案を躊躇してしまう制作会社や、制作会社からのFlashの提案を同様の理由で却下してしまうクライアントが未だに存在するとのことで、そうした方々に対して、もう少し認識を現状に近づけていただきたい、という気持ちからでした。ここまでの内容をリストにまとめてみましょう。

これらは特に、目新しいことではありません。しかし、もしみなさんが制作会社で、クライアントの偏ったSEO知識のせいでFlashの提案に難航しているというような場合には、ここまで述べてきたそれぞれを相互に理解することによって、提案がスムーズになるかもしれません。お役に立つことができたら幸いです。

 


住 太陽氏写真住 太陽(すみ もとはる)

SEOソリューションズ代表取締役を経て、現在ボーディ代表取締役。執筆、講師、Webサイトリニューアル時にまとめて施策する形でのSEO業務も扱う。2002年から運営してきたSEO情報サイトを最近リニューアルした。日本初のSEO書籍の著者でもある。堺市在住。
twitter : @motoharusumi
blog : http://www.motoharusumi.com
近著: http://www.amazon.co.jp/dp/4839924120