Fireworks の輝かしい未来
Julie Campagna
今月号の記事
アドビとマクロメディアのような企業が経営を統合する場合、ユーザ(そして従業員も)は、今後の各製品がどうなるかの発表を不安とともに待たねばなりません。お気に入りのツールが発売中止になるかどうかは、百戦錬磨のプロフェッショナルでも気が気でならないはずです。
経営統合から約1年が経った今も、フォーラムやブログにはさまざまな情報が飛び交っています。アドビは Director をサポートし続けるのか…、FreeHand の搭載機能は Illustrator に吸収されるのか…、Fireworks は Photoshop によって抹消されてしまうのか……。残念ながら筆者は、すべての製品の将来展望に関する情報を入手していません。しかし Fireworks に限って言えば、今後も単体製品ならびにバンドル製品としてこの製品が存続することを、皆さんにお伝えすることができます。
現に、Fireworks 9 は今の時点でプライベートベータの段階にあります。この新しい Fireworks について、筆者は先頃、シニアプロダクトマネージャの Danielle Beaumont とデベロッパーリレーションズマネージャの Alan Musselman へのインタビューを実施しました。当初2人は先行情報を公開することに戸惑ってはいたものの、最終的には次期リリース版に関して、いくつかの耳寄りな情報を提供してくれました。
手軽にモックアップを作成
EFI 社での長い勤務歴を持つ Danielle は、約1年前にマクロメディアに入社し、Fireworks の次期リリースに向けた準備業務を開始しました。この準備過程において彼女らは世界中の既存カスタマーと接する時間を設け、プログラムが実際にどのように使用されているかを調査しました。
調査を進める中、Fireworks 開発チームはある興味深い傾向に気づきます。Danielle 曰く、「複数の Web デザイン案を顧客に提示するために、ユーザの多くがモックアップを作成するのに多大な時間を費やしていることが分かりました。そこで、次期 Fireworks の開発目標としては、パワーユーザが強力なモックアップを手軽に、しかも最速で作成できるようにすること。そして、無駄な作業が発生しないように、顧客にデザイン案をプレゼンできるようにすることに重点をおいています」。
ここでいう「無駄な作業」とは何か? 仮に、Web デザイナーである edge 読者の元に、宝石店の Web ストア制作の依頼があったとしましょう。初期の打ち合わせでサイトナビゲーションのスケッチを描き、トップページ、カタログ、ショッピングカート、会社概要ページといったページ構成についても話がまとまったとします。ここまでは順調ですが、この顧客が Web サイトを通じて、どの購買層にアピールしたいかを絞り切れていなかったらどうでしょう? ポップで軽やかな若者向けの Web サイトにするのか、あるいは、よりリッチでクラシカルなデザインを用いて、年齢層の高い顧客向けとするのか。このようなビジョンが明確に描かれていない場合、顧客は画像やコピー文、文字体裁などもすべて整った、複数のデザイン案を要求することでしょう。
数あるツールの中で、なぜ Fireworks なのか
アドビの仕事を相当抱えるにもかかわらず、Alan Musselman は勤務時間外も、テクノロジの最先端を求めて活動しています。彼はプロジェクトのプロトタイプやモックアップの作成に Fireworks を使用し、本制作時には、Fireworks とともに Dreamweaver や Flash も使用しています。
「これまで、いつも Fireworks を使ってきました。すばやく必要なグラフィックを作成し、即座に Dreamweaver に戻って、中断なく HTML の制作作業に取り組めるからです。デザイナーやデベロッパーにとってスピードは命です。グラフィックアプリケーションでの作業時間は、短ければ短いほど良いのです」
また、プロトタイプの作成に関して Alan は次のように語っています。「モックアップデザインの作成には、Fireworks のフレーム機能を使っています。そして、顧客からデザインの承認が得られたら、次は Dreamweaver の出番です。画像をスライスして HTML 内で使ったり、あるいはビットマップやベクトル形状を Flash に取り込んで、ミニサイトや HTML レイアウト内のモジュールとして使用しています」。
Fireworks は、ユーザの操作に対する快速な応答性と、すばやい操作性を備えています。たとえば、オブジェクトに色を付ける場合は(プロパティインスペクタ内の)ポップアップカラーウェルをクリックして色を選択するだけで済み、スムーズにキャンバス上のオブジェクトの作成・移動といった作業に進めます。
余談ではありますが、Alan はマクロメディアでの勤務中(アドビとの統合前)に、ポップアップカラーウェルを開発したエンジニアと出会う機会を得たそうです。「あれを開発した人とは一度会って、自分から感謝の意を伝えたいと思っていました。エンジニアには『1997年以来、あのカラーウェルピッカーを何億回とクリックさせてもらった』ということを伝えました。見事な時間節約ツールです」と、Alan は語っています。
Danielle いわく、異なる趣向のデザイン案を2つ作成するには、非常に多くの時間がかかるとのことです。Photoshop や Illustrator のような(ページではなくレイヤーを概念とする)アプリケーションを使用する場合、ページや段階型ウィザードの流れを表現するためには、数多くのレイヤーから構成された「レイヤーカンプ」を作成しなければならないなど、作業がすぐに複雑になってしまいます。また、顧客にプレゼンするためにレイヤーを整理・統合して、画像を準備する作業(統合した画像を JPEG に書き出して PowerPoint に配置したり、PDF に変換するなど)は「無駄な作業」といわざるを得ません。しかも、サイトのナビゲーション構成をプレゼンしようものなら、Dreamweaver などを使って統合した画像を配置し、クリック操作でこれらの間を移動できるようにしなければなりません。
Danielle はこう説明します。「階層的な Web/レイヤー整理機能、ページ概念を用いたレイアウト作成機能、クリック移動可能な HTML モックアップ作成機能などを盛り込んだ、次期バージョンの Fireworks は、無駄な作業が発生することを防止しつつ、プロトタイプ作成にまつわるすべての作業を簡素化することでしょう」。
シンボルの強化
Alan は、これまでずっとアドビ(またはマクロメディア)に勤めていたわけではありません。彼は 1997年から Fireworks を使用していますが、実のところ、その当時私は、Alan がどのように Fireworks を使って Web サイトのプロトタイプや本デザインを手掛けているかについての事例記事を執筆していました。その後、Fireworks に対する熱狂的な関心を持つ彼に、Fireworks 記事の執筆を依頼するようにもなりました。今回のグッドニュースは、その彼が Fireworks の製品開発に直接かかわるようになり、ベータプログラムを支援しているということです。彼に次期リリースの特長を質問すると、眼差しが豹変するほどです。
「一番の注目は、シンボルの大きさがスマートに伸縮できるインテリジェントスケール機能です」と、Alan は語っています。通常、ベクトル形状やビットマップオブジェクトの大きさを変更すると、見映えがイビツになりがちですが、インテリジェントスケール機能があれば、オブジェクトのどの部分を伸縮させ、どの部分をそのままに維持するかが指定できます。Alan 曰く「たとえ初期デザインの段階で想定していなかったコンテンツが出てきても、より多くのコンテンツを流し込むためだけに、画像を3分割または9分割してサイズを調整しなければならないという問題が解決できます」(図1参照)。
図1: オブジェクトのどの部分の大きさを調整するかが指定できる、インテリジェントスケール機能
図2: シンボルプロパティパネル
Alan は、その他の細かな改善点にも期待を寄せています。たとえば、次期バージョンでは、新たにシンボルのプロパティにアクセスできるようになっています。つまり、これからはシンボル内のテキストオブジェクトだけを変化させるために、複数のシンボルを用意する必要はありません。(図2参照)
この点について、Alan は次のように語っています。「シンボルプロパティパネルのラベルの値を変更するだけで終わりです。これまでのオートシェープの場合、使い勝手の良い形状を作成するには相当のコーディング作業が発生していました。しかも、常に JavaScript を使って、オブジェクトを描かなければなりませんでした。それはそれで良いのですが、デザイナーの場合、これらを独自に作成することができません。しかし、これからはレイヤーのオン・オフの切り換えやオブジェクトの色の変更といった、レイヤー内の実際のオブジェクトの操作が可能な、プロパティの備わったシンボルが手軽に作成できます。また、あらゆるプラットフォームへの書き出しに対応する複数のステートの備わったオブジェクトなど、より高度なシンボルも手軽に作成できます」。
ワークフローと連携性の強化
ユーザにとっての朗報として、Danielle は Fireworks とアドビデザインツールの連携性が強化されている点も挙げています。
「Fireworks は、確かに Web 用にグラフィックコンテンツを最適化するうえで、非常に強力なツールです。しかし、グラフィックデザイナーの多くは、Illustrator や Photoshop といった主流のデザインツールに慣れ親しんでいるのも事実です。Fireworks 9 では、デザイナーがこれらのツールを利用しながらも、すばやくコンテンツを Fireworks に取り込み、最適化できるようにしています」と、Danielle は語っています。
たとえば、これからは Fireworks 9 でも PSD や AI ファイルが開けるようになり、この際、ファイルの中身は編集可能な状態の PNG フォーマットへと自動的に変換されます。仮に、Photoshop 上で定義された属性が Fireworks の編集モードでサポートされていない場合、これらはビットマップで維持されます。さらに、クリップボード経由のコピー&ペーストもサポートするとともに、Photoshop での作業用に PSD 形式で保存する機能も新たに装備しています。
さらに詳しい情報
Photoshop / ImageReady といったアドビデザインツールと、Fireworksが どう違うのか。この点について詳しくは、Fireworks デベロッパーセンターに掲載されている Stéphane Bergeron の執筆記事、Why choose Fireworks?(英語記事)を参照してください。
