Adobe AIR 日本上陸の前夜祭!
「Adobe AIR Developers Night」レポート
2007年7月10日、東京・恵比寿において、新しいアプリケーション実行環境「Adobe AIR」の日本初の大規模イベントとなった「Adobe AIR Developers Night」が、600名を越す参加者を集めて盛大に開催されました。Adobe AIR を開発するアドビと、それを使って新しいアプリケーションを開発するデベロッパ、そして Adobe AIR に注目するユーザのコミュニケーションの場として、そして Adobe AIR の可能性を示すデモを通じて情報を共有する場として、この Adobe AIR Developers Night は大きく盛り上がりました。もちろん、参加者に配られて AIR Night のラベルが巻かれた缶ビールが、その盛り上がりに一役かったことは言うまでもありません。
Adobe AIR 最新情報
まずアドビのプロダクトスペシャリスト・太田禎一より、AIR に関する最新情報をご紹介しました。そのメインとなるのが、AIR の推奨開発環境とされ、Adobe Labs からダウンロードできる Flex Builder 3 Public Beta です。
アプリケーション間でのドラッグ&ドロップによるデータのやり取り、PDF への対応(Web ブラウザ内で Adobe Reader がサポートする機能をカバー)、ローカルデータベースとして SQLite を実装し、画像や音声等バイナリデータにも対応といった Flex Builder 3 の特徴が紹介されました。
ローカルデータベースに関しては、Google Gears(オフライン状態でも Web アプリを動作できる Google の技術)と API を整合する予定であるという驚くべき発表もされています。また、Flex SDK(フレームワーク、コンパイラ、デバッガ)を、2007年中を目処として MPL の下でオープンソース化する予定であること、バグベースはすでに公開されていることなども紹介されました。

さらには、米国本社よりゲストスピーカーとして、テクニカルプロダクトマネジャーのリチャード・ガルヴァンが迎えられ、Dreamweaver CS3 で制作した Web アプリを AIR アプリケーションをパッケージすることを可能にするプラグイン、そして Flash CS3 から AIR アプリケーションを生成できるプラグインの「世界初のスネークプレビュー」など、今回のイベントならではのサプライズデモが続きます。
このデモのポイントは、AIR 環境で実行されるアプリケーションを作成するにあたって、Flex のみならず、Dreamweaver CS3 で記述した JavaScript + CSS、Flash CS3 で作成したインタラクティブな Flash コンテンツなど、従来 Web 制作に用いてきた手法をそのまま活かしながら AIR でパッケージすることで、コンテンツは Web ブラウザから独立した単体アプリケーションとして機能できる点にあります。

各社ともアイデア満載のデモバトル
続いては、各社が AIR を使った事例を紹介する、デモバトルのスタートです。
ソニー株式会社
まず最初に登壇したのは、ソニー株式会社。同社の「FLO:Q」というプロジェクトでは、外部クリエイターなども参加しながらブログ・ウィジェット、Flash によるブログパーツなどの提供を行っています。ここに、AIR を活用しようというわけです。同社は「FLO:Q×AIR×Cyber-shot」と題し、デジカメで撮影した画像を PC に取り込むと即座に AIR で作られたアプリケーション上で表示され、その画像をドラッグ&ドロップで Web サーバにアップロードし、それを AIR で作られたウィジェットの背景にする——という一連の流れをデモしました。
同社は AIR の可能性として、
- 既存の Web 技術でデスクトップアプリが作成できる
- Flash とのシームレスな連携で、いろいろと面白いことができる
- 周辺機器と連携させると、さらに新たな可能性が広がる
——の3点を挙げました。

株式会社セカンドファクトリー
株式会社セカンドファクトリーは、AIR と ColdFusion との連携、つまり AIR とサーバサイドの連携にスポットを当てました。同社が開発した「Metabo Camp」は、アップルとナイキがコラボレーションした製品「NIKE+iPod」のランニングデータを AIR アプリケーションに取り込み、記録を残し、Twitter アカウントへ投稿し、自分の体重のデータも管理できる——といったアプリケーションを紹介。
また、優れた運動の成果が得られた場合は、データを ColdFusion 8 に送信すると、サーバ側で PDF フォームを使った名前入りの表彰状が生成され、PDF ファイルとして出力するといったデモを行いました。少し視点を変えることで、帳票ソリューションなどでも AIR が活用できることを示しています。

ひがやすを@Seasarファウンデーション/JJUG/ISID
ひがやすを氏は、デモの前に「AIR をデスクトップアプリと見るか、Web アプリとしてみるかがポイント」と話します。「AIR に向いてるデスクトップアプリとは何か。情報共有形のアプリが AIR に向いている」「AIR は基本的には Web アプリだが、デスクトップアプリの得意なオフラインやローカルリソースへのアクセスなどに活かすことができる」と、AIR を活用できる新しい用途について紹介しました。
その上で同氏は、以前に Delphi(デルファイ)で開発されたデスクトップアプリの典型ともいえる入力システムを、AIR にコンバージョンするという仕組みをデモしました。

株式会社サイトフォーディー
株式会社サイトフォーディーは、同社のラボで公開しているさまざまなウィジェットと、その発展形を使って AIR の可能性を示しました。中でも目をひいたのが、「SA-602」と名付けられた、ビジネス向けダッシュボードのコンセプトモデルです。いわゆるウィジェットに salesforce.com のエンジンを追加し、業務ツールとしても使用できるようにしたものです。このコンセプトモデルは「Flex Toolkit for Apex」とのこと。また、Web サイトの情報をトリミングして保持できるブックマークアプリケーション「SA-701」も紹介されました。
同社が紹介した数々のツールは、マルチ OS、つまり Windows でも Mac OS X でも使用できるのがポイントです。AIR は、OS に捕われない開発環境であることを示してくれました。

株式会社バスキュール
株式会社バスキュール は、AIR の魅力を「今まで培ってきた Web/Flash 制作技術を活用して、他のアプリケーション環境と一線を画したもの——トゥイーンアプリケーション、マルチメディア、マルチユーザ/リアルタイムコミュニケーション——が、できるかもしれない。そして AIR だと作るのが簡単、しかも速い」と話します。
その例として同社がデモしたのが「Airworks」と「グリッドブラウザ」。特に「Airworks」は見た目はまるで Fireworks なのに、ツールパレットから矩形ツールを選んで矩形を描くとその領域が Web ブラウザになり、Fireworks と同様の透明度やフィルタといった機能が「無駄に」搭載されているというもの。しかし「無駄」と言いながら、Flash がもつ描画機能にフルアクセスできる AIR の特長を端的に示したデモでもありました。

株式会社ティーケーラボ
株式会社ティーケーラボ は、AIR の魅力を「既存の Web デザインスキルを利用してアプリが制作可能であること」と話します。その上で「Flash デザイナーと Java エンジニアの出会うことで、新たな可能性が生まれる」とし、AIR のポータルサイトとして freestyel-lab を開設することを約束しました。
デモは、AIR を使った新しいプッシュメディア「AIR SPACE」です。URL の通知と相手先への表示、サーバ上にある Movie のプッシュと再生(クライアントからサーバに取りに行く)などといった機能が実装されています。インタフェイスは Flash CS3、そして Flex コンポーネントキットを用いて制作されました。

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各社のデモバトル、そして登壇された各ベンダーによるトークセッションを経て、会場内に設けられたデモブースが「解禁」。多くの人が各社の担当者を質問攻めにしていました。また、フードとドリンクを片手に来場者同士が交流を深める場面も数多く見受けられ、これからアプリケーション/コンテンツ開発の場で拡大していく AIR の「前夜祭」さながらの様相でした。それはまるで Flash が Web の中で無限に広がっていく、その前夜と似た雰囲気をもっていたのも、今回のイベントの特筆すべきポイントだと言えます。








