“気持ちよく働きたい” Web 制作者必見
ADOBE CREATIVE SUITE 3 Web Edition TOUR

2007年7月4日、六本木アカデミーヒルズにて行なわれた「ADOBE CREATIVE SUITE 3 Web Edition TOUR」に参加してきました。このイベントは、東京・大阪・福岡・名古屋の4都市でそれぞれゲストを招き行われている大きなイベントで、新しくリリースされた Creative Suite 3 ファミリーの中でも Web に特化した内容となっていました。Creative Suite 3 登場以降、関連イベントは全国各地で何度か行なわれているにも関わらず、会場は満員状態。この新しい Web 制作スイートに対するユーザの期待をヒシヒシと感じました。

キモチヨクハタラク

イベントのサブタイトルでもある「キモチヨクハタラク」。まずはこの観点から、アドビの西村、酒井両氏による Creative Suite 3 Web Premium の新機能について、デモを交えた紹介が行なわれました。

Flash CS3 は、Photoshop や Illustrator と同様にパネル類がアイコン表示され、必要な時にだけ表示できるといった作業スペースを最大限に有効活用できるまったく新しいインタフェイスになっています。モーションのコピー、 Illustrator と同じ操作性のペンツールの採用、字幕付 Flash Video の作成といった新しい機能もさることながら、一番衝撃的だったのは Photoshop、Illustrator との連携です。

これまでは、画像ならフチに1ピクセルの余白を設けておいたり、ベクターなら文字を分解しておいたりと、キレイに読み込むための下準備が必要でした。でも今回の Flash CS3 では、Photoshop ファイルも Illustrator ファイルもまったく何も考えずに、スムーズに読み込むことが可能になりました。しかもレイヤーやテキスト情報を保持した状態で…。

衝撃でした!

続いて Dreamweaver CS3 は、初心者にはより優しく、エキスパートにはより便利な機能追加や改善が施されていることが、このイベントでさらに明快に分かりました。Spry が搭載され、スクリプトを1行も書くことなくフェードイン、フェードアウトといったダイナミックな画像切り替えや、フォームの入力チェックといった機能も実現されています。

他にも Web ページのデバッグ機能も向上、「CSS Advisor」のようなオンライン上でCSSに関する問題解決が出来るフォーラム形式のウェブサイトの提供、Photoshop、Fireworks からのデータを直接コピー&ペースト、元画像データに変更が加わると配置された画像に即座に反映されるなど、全体としてスムーズな作業が可能になっています。

僕も最近1ヶ月かけて Web サイトをリニューアルしたばかりなのですが、その時にこの CS3 があれば…(2回は箱根旅行できたことでしょう)。

そして CS3 ファミリーの中で忘れてはいけないのが「Adobe Bridge」と「Adebe Device Central」です。スイートの各アプリケーションが扱えるほぼすべてのファイルを観覧、整理できる Bridge は、スタッフやアプリケーションをまたいでの制作作業における中心になりうる存在です。そして Device Central は、単なる携帯向けデバッグツールに留まらず、市販されているさまざまな携帯機種での動作や状態をシミュレート可能になり、デバッグが効率的に行なえるようになっています。最初にターゲットとなるモバイル端末を選んでそこから新規プロジェクトを作り出すといった逆引き的な使い方も可能で、モバイル向けコンテンツ制作者にとって最強のツールと言えるでしょう。

今回の Creative Suite 3 で一番大きいのは、アドビとマクロメディアが合併して初めての大型リリースです。この2社の合併により、制作者がこれまでで一番“キモチヨクハタラク”環境が提供されたと言えるでしょう。

Dreamweaver が次の10年を乗り越えるために

株式会社スイッチ 鷹野雅弘氏のセッションは、いきなり鋭い切り口で「今回の Dreamweaver CS3 は、Flash CS3 に比べ力のかけ方が違う。新機能が地味」という出だしに少々度肝を抜かれました。「温故知新」をテーマに Dreamweaver が歩んできた道、取り巻く状況を振り返りながら、私たち制作者が Dreamweaver を使いこなすヒントを得るという内容だったのですが、この切り出し方は、CSS Nite の代表者で、かねてから Dreamweaver をはじめとする参考書の執筆、トレーニングをされている鷹野氏だからこそ語れる、Dreamweaver への愛情たっぷりな表現だったのではないでしょうか。

もちろん今回の Dreamweaver CS3 は、前述した新機能だけでなく痒いところに手が届く改良が多数なされていますし、この世に存在する Web オーサリングソフトの中でも一人勝ち状態です。ただし、動作の軽快さという観点からテキストエディタや HTML 作成支援のフリーウェアなどを使用するユーザも少なくないようで、昨今ブログなどで広く使われている MovableType をはじめとする CMS も手軽さ、即時性という意味でも今後 Dreamweaver の競合となりうる存在であると鷹野氏は指摘しました。

そしてこれからは棲み分けが必要で、日々の運用やちょっとした更新作業には Contribute を活用すべきだと語ります。Dreamweaver で編集可能領域とオプション領域をあらかじめ設定したテンプレートを用意し、日々の更新には動作の軽い Contribute を使用する。そう提案されるとまさにその通りで、筆者もなぜ今まで Contribute を活用しなかったのか疑問にすら思える内容でした。

その後、鷹野氏から提案された将来の Dreamweaver に求める機能要望に対し、会場の人たちも揃って頷いていました。そして一番の要望として言われていたのが「動作をスピーディに」。そういう提案を大事にして、Dreamweaver が今後もさらなる進化をしていくことを期待し、10年後も Dreamweaver を使っていたいと感じるセッションでした。

Flash CS3 から考える、広告のつくりかた

続いてのセッションは電通インタラクティブ・コミュニケーション局のテクニカルディレクターであり、プログラマーでもある中村洋基氏からの「広告として Flash をどう利用して、面白いものを作っていくかと」いった内容でした。まず「自己紹介がてら、ぼくらの手の内を見せます」といって中村氏が見せてくれたのは様々なバナー広告です。

縦型バナーの中にトイレのドアがあり、そのドアをノック(クリック)する音に徐々にかぶさってくる聞き覚えのあるリズムと音楽。数回ノックするとドアが開き中から『ターミネーター3』の DVD パッケージが出てきて「I'm back.」という声と共にまたトイレに戻る告知バナー。

ビデオのプレーヤを模したインタフェイスの中に小便小僧がいて、そのシークバーを右にスライドすると小便が上向きに勢いを増して、一番右に持っていくと小便は小僧の口に…。そして「Recycle Water.」と締めくくる公共広告機構のバナー。

中央に止まっている車をクリックすると、Web ブラウザに表示されているテキストや画像が、すべてバナーの中にあるトランクに吸い込まれていく「DAIHATSU TANTO」のエキスパンドバナー。

どれも大変面白く斬新で、Flash とライブカメラを連動させたものや Flash Video を使ったものなど、商品の特性を伝えるための手段として上手く Flash が使われているものばかりでした。中には、よくクライアントが OK したなと思う作品もありましたが、真新しさが見る人に与えるインパクトという意味ではどれも素晴らしいものだと感じました。

続いて今回の Flash CS3 の目玉という ActionScript 3 のお話で、ActionScript 2 に比べ計算が約10倍高速化したことを示す自作のサンプルを見せてくれました。無数のドットが爆発して四方八方に散ったり、Papervision3D という Flash 用 3D クラスを利用した擬似 3D をグリグリ回すというサンプルを見ると確かに速いです! また実際に公開されているサンプルとして、マイクに「うーん」と唸るとその波形のカタチのペンシルが出来上がる「Pencil-generator」、ユーザから投稿された写真や動画からモザイク状の一枚の絵(しかも動く)を作り、それをテクスチャとして立体物に貼ってしまう「KDDI - EYE Project」も必見です。

「世の中はクリエイターを求めていて、代理店とクリエイターはお互いプラスの関係にならないといけない。技術に振り回されず、でも技術を持っている人。今まで見たことがないモノが作れる人。一緒に仕事をしましょう」とさり気なく求人活動をする中村氏。とても説得力のある(そしてクリエイターには励みになる)言葉でした。

まとめ

今回のイベントは予定より一時間以上押す長丁場となりましたが、それは今回の CS3 がモリモリだったことを意味しており、それぞれのセッションもとても充実した内容であったと思います。

最後に今回のイベントをはじめ、その他の CS3 関連のイベントに参加した中で筆者が思ったことを補足させていただきます。まずは AIR アプリケーションの開発が容易にできます。Flash CS3 や Dreamweaver CS3 からスタンドアローンの、しかもフチの無いアプリケーションが直接書き出せます(AIR 書き出しはプラグインとして近日ダウンロードが可能になります)。Web ブラウザと関係なく動くデスクトップアプリケーションが作れるのは、魅力的だと思いませんか?

また、今回の CS3 はアイコンや起動画面もかなり洗練されています。カラーチップに沿った色で作られたアイコン群は誰もがデスクトップや Dock に並べてみたいものだと思いますし、コレクター魂を刺激するものです。

とにかくすべての面において今回の Adobe CS3 シリーズには、イベントのサブタイトルでもある「キモチヨクハタラク」ためのエッセンスがギッシリ詰まっています。ぜひ難しいことは抜きにして、この世界一カッコいいツールを使ってクリエイティブ活動を楽しもうではありませんか!


よしだゆたかよしだゆたか
http://www.shockwise.com/
1996年「大阪縁日」プロジェクトに参加したのをキッカケにインタラクティブに興味を持つ。「楽しい」をモットーにゲーム/ムービーを乱発し、shockwise.com サイトを開設。その後、デザイン会社、システム会社、大学 講師、コンテンツプロバイダー等を経て、現在はフリーランスとしてDirector、Flashなどを武器に活動中。

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