Flashゲームで小額課金できる「モゲラ」

作品を投稿して、ユーザーと交流できるゲームコミュニティ

モゲラ」は、未来検索ブラジルが1月20日に公開したゲームコミュニティです。クリエーターがFlashゲームなどブラウザで遊べるゲームを投稿し、ユーザーが楽しむことができます。最大の特徴は、公開されたAPI(Application Programming Interface)を利用して、ゲームで自由に課金ができること。Webゲームクリエーターの制作活動を支援する目的で企画されました。今回は、モゲラのゲームやサービスをご紹介すると同時に、Flashゲームの新しいビジネスモデルとして、モゲラによる小額課金の仕組みを提案させていただきます。

無料ゲームで気軽に遊ぶ

モゲラでは、クリエーターは審査や契約のプロセスを経ることなく、すぐにゲームを公開できます。作品の権利はクリエーターが保持できるので、自サイトでの公開や既存サイトでの公開を妨げることなく、作品公開の場のひとつとして利用できます。

モゲラ

現在モゲラに公開されているゲームの多くは、無料で遊べるもの。Flashゲームで特徴的な、ネタ性が強く、短時間で気軽に遊べる作品は、やはり人気を集めています。その代表例が「針の穴」。

針の穴

マウス操作で画面左の線まで手を離して、画面右の壁に開いた穴めがけてクリックで針を通していくゲームです。穴の位置はランダムに変わり、だんだん小さくなっていきます。バカバカしい単純作業のつもりが、次第に難易度が高くなり、思わず熱中してしまうこのゲーム。上級者には、手元が震えて難易度がアップした「ぷるぷるモード」も用意されています。

課金ゲームでやり込みプレイ

一方、課金ゲームとしてボリューム満点な、「やり込み型」のゲームも公開されています。ここでご紹介するのは、現在人気No.1の「RESINOIDS TD」。

RESINOIDS TD

「Desktop Tower Defense」により、世界的に人気ジャンルとなった「タワーディフェンスゲーム」と呼ばれるジャンルのリアルタイムシミュレーションゲームです。画面中央下にある「パワーソース」を目指して、敵キャラクターの「RESINOID(レジノイド)」が侵攻して来るので、砲台を設置してレジノイドを撃退するのがゲームの目的となっています。

特徴的なのは、レジノイドが陸・海・空の属性を持っていること。属性に応じて移動ルートや砲台による攻撃方法が異なるため、頭を悩ませることになります。レベルごとに出現するレジノイドの属性と出現位置から戦略を練り、適切に砲台を設置していくのが、全90レベルを攻略する重要なポイントです。

RESINOIDS TDで採用している課金方法は、「コンティニュー課金」というユニークなもの。後述する都度課金APIを利用して、基本は無料でプレイでき、ゲームオーバーになった際、コンティニューしたいユーザーにのみ課金しています。モゲラの課金APIは、このようにクリエーターが実現したい課金方法へ柔軟に対応できるのが特徴です。

ユーザーとの距離を縮めるコミュニティ

これらのゲームを遊んだユーザーは、ゲームを公開したクリエーターごとに生成される「クリエーターページ」をチェックできます。気に入ったクリエーターがいたら、「ファンクラブ」と呼ぶクリエーターごとのコミュニティに参加することにより、掲示板とメールマガジンのサービスを受けられます。

掲示板は、ユーザー同士、クリエーターとユーザーの交流ができるほか、ゲームについての意見交換や攻略情報の交換に利用できます。メールマガジンは、クリエーターがファンクラブ会員に向けて、モゲラの管理ツールから任意に配信可能。最新情報やゲームのアップデート告知に利用できます。

これらコミュニティ機能は、ゲームの作者であるクリエーターと、そのクリエーターのファンとなるユーザーを密接に結びつけることが狙い。β版を公開してユーザーの意見をフィードバックさせるなど、ユーザーが参加できるゲーム制作が可能なほか、クリエーターに親近感を持つことにより、ユーザーの課金への心理的ハードルを下げることが期待できます。

「Flash Game Festival '09」に開催協力

このコミュニティ機能を活用する取り組みとして、3月1日に開催が発表になったFlashゲームイベント「Flash Game Festival '09」に、モゲラが開催協力することになりました。Flash Game Festivalは、掲示板「2ちゃんねる」の「Flash・動画板」を中心に活動するFlashゲームの作り手たちが、ゴールデンウィークをメドに新作を公開し、公式スレッドを通じて皆で楽しむオンラインイベントです。Spark Projectでも活動するActionScript開発者のまっつん◆SW1/SWF8io氏が主催し、今年で7回目の開催となります。

Flash Game Festival '09

現在、モゲラ上の告知とともに、公式サイトで4月18日まで参加クリエーターを募集中。参加クリエーターや作品の情報は、「Flash Game Festival '09」のクリエーターアカウントにより公開します。ゲームを楽しむユーザーは、ファンクラブに入会することにより、イベント専用の掲示板とメールマガジンを利用して、イベントに参加可能。イベントを核にしたコミュニティ上でイベントが進行します。

これまでのFlash Game Festivalは、2ちゃんねるを中心に、作者の個人サイトで作品が発表されてきました。近年の「ニコニコ動画」「pixiv」などユーザー投稿型コミュニティの隆盛を受けて、今回はモゲラのプラットフォームを活用したいと依頼を受け、協力サイトとして運営をバックアップします。

Flash Game Festival '09 公式サイト

主催:まっつん◆SW1/SWF8io氏のコメント

Flash Game Festivalは、2ちゃんねる上で行われたFlashコンテンツの一斉公開イベント「紅白Flash合戦」が開催された2002~2003年頃、ウェブインタフェースとしてのFlashコンテンツではなく、“作品としてのFlashコンテンツ”が出はじめた時期から始まったオンライン上のイベントです。

2000年前期の2ちゃんねる内のFlash・動画板は、数多くの作り手と、その作品を楽しむユーザーが『コンテンツを作る楽しみ』『コンテンツに触れる楽しみ』を日常的に味わっていました。その中でもインタラクティブ性の高いゲームコンテンツでは、一斉公開を行うことによって、スコア争いや攻略話の交換といった『コンテンツを媒体としたコミュニケーションの楽しさ』も同時に提供してきました。

また、当時2ちゃんねるを中心に作成されたコンテンツで特徴的なのは、ネットユーザーにとって事実上のパブリックキャラクターである「アスキーアート」を積極的に用いていた点です。これにより作り手がキャラクターや脚本を生み出す労力が削減され、純粋に映像構成やゲーム性の向上のみに注力できました。さらにはアスキーアート自体は単純な絵で構成できるため、アニメーションが容易に実現できます。これらの要因が、作り手の増加に大きく寄与していたと考えられます。

近年、個人ベースのコンテンツ発表の場はニコニコ動画やpixivといったユーザー投稿型コミュニティが中心となっていますが、どちらも『コンテンツを媒体としたテキストコミュニケーションを楽しむ』ことと『パブリックキャラクター(二次創作)を用いたコンテンツ制作』という点に、当時の2ちゃんねるとの類似性を見出せます。

過去のFlash Game Festivalの作品傾向を見ると、ゲーム自体のアイディアが突出したものが多く、キャラクターへの注力は比較的少なかったのですが、現状のネット上のムーブメントを見る限り、今年はパブリックキャラクターありきのゲームが増えるのではと期待しています。

開発環境に目を向けると、今までのFlashコンテンツの開発スタンスは「ゼロから開発してオリジナリティあふれるコンテンツを提供する」ことが基本となっていました。AS3.0が主流となりだした頃から、ライブラリを開発することの時間的なコストが膨大となり、それと前後してSpark Projectのようなオープンソース思想の高まりと、「Progression」や「Papervision3D」といった優秀なフレームワークの登場によって、開発スタンスが「自らのアイディアをどれだけ数多くのライブラリを使いこなして提供できるか」にシフトしつつあると考えています。この開発スタンスの違いがどこまでコンテンツの変化に影響を及ぼすか、といった点も見ものです。

いずれにせよ、表現方法に様々なアプローチがあるというのは、創作意欲が刺激されて単純に楽しいものです。今年のイベントでは、個々のクリエーターがどのようなアプローチでユーザーを楽しませてくれるか、主催としてではなくいちユーザーの視点としても大いに楽しみです。

 

すぐに使える課金API

モゲラでの課金には、「2ちゃんねる検索」などでの運用実績がある仮想通貨「モリタポ」を利用します。モリタポは、1モリタポ(0.1円)が最小単位で、小額の決済に向く仮想通貨です。モゲラでは、ユーザーが支払ったモリタポはクリエーターのモリタポ口座に全額振り込まれ、クリエーターが集めたモリタポは、未来検索ブラジルが10%の手数料で買い取っています。個人クリエーターでもすぐに、Flashゲームによるビジネスを開始できることが特徴です。

クリエーターは、「無料」「都度課金」「買取課金」「月額課金」から好きなサービスの提供形態を選んで、APIによる課金が可能になります。課金形態や金額は、クリエーターが自由に設定することができます。同じゲームで複数のサービスを提供することも可能。前述のコンティニュー課金のように、自由な発想で様々な課金形態に挑戦してみることをお勧めします。

都度課金:

ゲームを遊ぶたびに課金します。モリタポを都度消費するので、下記のような場合に利用できます。

買取課金:

ゲームを半永久的にプレイできる権利を販売します。モリタポは、権利の購入で消費され、以降消費されることはありません。下記のような場合に利用できます。

月額課金:

ゲームに月額で課金します。初月の利用料金を消費すると、月末までプレイ可能になります。翌月以降は、自動継続支払い、もしくは月単位での支払いをユーザーが選択できます。下記のような場合に利用できます。

APIの使い方

モゲラの課金APIは、気軽に使える仕様を目指しました。ゲームは、システムが発行するワンタイムパスワード(OTP)を利用してAPIと通信します。ここでは都度課金APIを例にとって、ゲームへのAPI実装を解説します。

(1)OTPの取得

モゲラでは、ゲーム本体のswfファイルは、基本的にクリエーターが保有するサーバーに設置していただきます。モゲラのページがswfを読み込む際、PHPがURLパラメータにOTPを付与してswfの埋め込みパスを記述します。

(例)
http://www.hoge.com/swf/game.swf?OTP=69fa429f7c3715a20edee5bd83937392

公開するゲームファイルとして、htmlのパスを登録することもできます。これにより、クリエーターサイトのページをモゲラ内にフレーム表示して公開することが可能です。その場合、フレーム内に開くhtmlのパスにOTPを記述します。

(例)
http://www.hoge.com/game.html?OTP=69fa429f7c3715a20edee5bd83937392

(2)ユーザー情報の取得

モゲラでは、ユーザーは自分の口座のモリタポを、いったんモゲラのシステムにチャージしてから使用します。ユーザーのチャージ後にゲームがモリタポを引き落とす前に、APIへリクエストを送信してユーザー情報を取得します。

リクエスト例:
http://api.mogera.jp/info?GID=gm000000001&SVID=aaa&OTP=69fa429f7c3715a20edee5bd83937392&r=[リクエストのたびに変わる値]

GID:ゲームID
SVID:サービスID
OTP:ワンタイムパスワード
r:リクエストのたびに変わる値。たとえば、UNIX時間形式の日付など

通常の返り値:
OK
ユーザーID
ハンドルネーム
プレイ可能な回数(「チャージ残高」を「1プレイのチャージ金額」で割った物。端数切り捨て)
これまでのプレイ回数

(3)プレイを可能にする

プレイ可能なステータスのユーザーの場合、下記にリクエストを送信してプレイさせます。通信のメソッドは、GET/POSTの両方に対応しています。
このとき、システムはチャージを消費して、プレイ可能な回数を1回減らします。

リクエスト例:
http://api.mogera.jp/play?GID=gm000000001&SVID=aaa&OTP=69fa429f7c3715a20edee5bd83937392&r=[リクエストのたびに変わる値]

GID:ゲームID
SVID:サービスID
OTP:ワンタイムパスワード
r:リクエストのたびに変わる値。たとえば、UNIX時間形式の日付など

通常の返り値:
OK

Flash形式だけでなく、今後Shockwave形式のゲームにもAPIを対応させます。その際は、埋め込みタグのsw1パラメータにOTPを記述する仕様を予定しています。


宮原 俊介氏写真宮原 俊介
未来検索ブラジル コンテンツプロデューサー

『モゲラ』サービス企画、プロジェクト管理、コンテンツプロデュースを担当。
日経BP編集記者を経てエンターテインメントサイト「shockwave.com(Shockwave)」のサービス開始直後から7年間、プロデューサーとして勤務。2002年にFlashによる月額課金RPG「EVIL GATE」をプロデュースしたほか、月額課金サイト「shockwave.com game+」、定額制有料サービス「gameblast」などの課金サービスを立ち上げた経験を持つ。Flashアニメーション「うるまでるび GOLD」、Flashゲーム「モアイまわし」、「METALIX TD」、「サボテンブロス」シリーズなど、コンテンツプロデュース多数。2008年より未来検索ブラジルに勤務。

まっつん◆SW1/SWF8io氏写真まっつん◆SW1/SWF8io
Flash Game Festival主催。

2002年春頃から2chのFlash・動画板にてFlash製作活動を行い、2004年より個人ベースの映像上映イベント『映夜祭』も運営している。また近々ではSpark Project内で汎用コンポーネントの開発を行い、Adobe MAX 2009にて5分だけスピーカーとして参加するなど、個人スタンスでいろいろ遊撃中。