Adobe Director 11 に搭載された注目の新機能
2008年5月9日、マルチメディアオーサリングのデファクトスタンダードツールともいえる Director の最新バージョン「Adobe Director 11」がリリースされました。Director 11 は、Windows VistaやIntelプロセッサ搭載Macといった最新環境をサポートし、さまざまな機能が追加・強化され、より洗練された CD / DVD コンテンツ、3D を多用したネットゲーム、eラーニング教材などを制作できるツールへと進化しています。この記事では、Director 11 の注目のトピックを紹介しましょう。
Vista と Tiger、最新の制作環境と実行環境をサポート
Director の前バージョンである MX2004 がリリースされた2004年。その当時の最新 OS は Windows XP や Mac OS X v10.3(Panther)でした。その後、Windows Vista や Mac OS X 10.4(Tiger)が登場し、また Mac のハードウェアはインテルプロセッサに移行するなど、OS・ハードウェア環境が大幅に進歩しました。Director 11 は、制作環境と実行環境(プロジェクタ/Shockwave Player)の両方において、これらすべての最新 OS・ハードウェア環境をサポートしています。性能が格段に進歩した OS とマシンで効率よく開発が行えるだけでなく、そうしたモダンな PC プラットフォームを持つユーザに対してもコンテンツを提供できるようになり、より広範囲なマーケティングが可能となります。
アドビらしいユーザインタフェイスに変身
Director 11 では、他のアドビ製品と同様のユーザインタフェイスを採用し、直感的でわかりやすい操作性、高い生産性を実現しています。たとえば、ウィンドウのドッキング機能やタブビューをサポートしているほか、ムービーアセット管理機能も改善されています。また、スクリプトブラウザも強化され効率よくプログラミング作業が行えるようになっています。たとえば、ダブルクリックで Lingo の関数やイベントなどを挿入できるようになったほか、コードスニペット機能が追加され、使用頻度の高いコードを簡単に管理・流用することが可能です。

Director 11 の画面
新しい物理演算エンジン「AGEIA PhysX」の搭載と DirectX 9 のサポート
Director MX 2004 では「Havok」物理演算エンジンを搭載していましたが、Director 11 からは新しく「AGEIA PhysX」物理演算エンジンを搭載しています。AGEIA PhysX は、Havok と同等以上の機能を持ち、よりリアルな衝突シーンや重力による落下などを表現することができます。百聞は一見に如かず、Director 11 で作成したゲームサンプル「Extreme Mountain Bike Race」で AGEIA PhysX の表現力を実際に体感してください。

マウンテンバイクのレースゲーム。
ボックスやタイヤなどの障害物に衝突した際の表現に AGEIA PhysX が使われています。
また、Director 11 では Windows の DirectX 9 をサポートしています。DirectX はゲームやマルチメディア用のコンポーネントで、バージョン9では 3D 関連が強化されており、処理速度や描画速度が向上しています。AGEIA PhysX と DirectX 9 をサポートしたことで、よりパワフルかつ繊細な 3D 表現を持つリッチなゲームやeラーニング教材の制作・提供することができます。
Unicode のサポートでグローバルな展開が容易に
コンテンツ配信にインターネットを利用するのが当たり前となった現在、マルチメディアコンテンツのマーケットは国内だけでなく世界中を視野に入れることが可能となりました。その際に乗り越えなければならないハードルの1つが、他国語へのローカライズです。Director 11 では、世界中の文字を対象とし、ISO で標準化された文字コードである Unicode をサポートしました。これにより、Director 11 で作成したゲームやアプリケーション、eラーニング教材などを簡単にさまざまな言語へとローカライズすることが可能です。
また、テキスト描画に関しては、テキストレンダリングエンジンが強化されており、コンテンツ内の文字がくっきりと見やすく表示されるようになっています。
Flash CS3 のコンテンツを Director 11 で利用可能
Director 11 では、Flash CS3 で作成したコンテンツをシームレスにインポートすることができます(ただし、ActionScript 3.0 はサポートしていません)。ビットマップフィルタやブレンドモードを使ったグラフィック表現、そしてインタラクティブなビデオなど、Flash CS3 ならではのコンテンツを取り入れることで、Director での表現の幅が広がります。
Director 11 では、この他にもさまざまな機能が追加・強化されています。詳細な情報については、Adobe Director 11 のページをご覧ください。
Voice from Creators
Directorを使って高度なオーサリング/コンテンツ開発に携われているクリエイターから、Directorに対する思いと、その未来についてコメントをいただきました。
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長谷川踏太(tomato) ロイヤルカレッジオブアート、インタラクションデザイン科卒。その後、ソニー株式会社勤務などを経て、英国ロンドンに本拠を置くクリエイティブ集団 TOMATO に所属。インターネット広告やコーポレートアイデンティティなどの分野でインタラクティブな作品を発表。その他、アーティストとしての作品制作や文筆活動も行う。 |
「Director の良いところと言えば、いろいろな用途に使えるところ。それに、Xtra などの拡張性や、Mac OS X と Windows の両方で動作する実行形式を作れるところです。十数年使っていますが、主にキオスクや CD-ROM などの非オンラインメディアでインタラクティブな作品を制作する時に使っています。他にも、アイデアのスケッチにも使っています。最近では、マイクロソフトの Office 2008 for Mac OS X のキャンペーン「Microsoft Office 2008 for Mac Launch Celebration」で作成した「音に反応するインスタレーション」で使いました。最新バージョンがリリースされましたが、今まで通りで、完成度が上がっていればうれしいです」
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千房けん輔(エキソニモ) ウェブやインスタレーションなど多方面で活動を展開しているアートユニット「エキソニモ」メンバー。6/2~8/24まで、スイスで個展"UN-DEAD-LINK"を開催。 |
「最初に Director に触れたのは、10年以上前の学生の時の授業でした。Director の魅力といえば、1つのソースから Mac/Win のアプリケーションが作れるところ、Web で凝ったことができたこと、世界中の有志による Xtra が豊富で機能を拡張できたところですね。最近はご無沙汰であまり触っていないのですが、Director で「FragMental Storm 01/02」や「rgb f__cker (Original Version)」を作りました。 今の時代に Director の立ち位置って結構微妙だと思います。思い切って他の技術を取り込んでスクリプトから連携とかエディットできる部分に力を注ぎ込んだ統合センターみたいなソフトに向かってほしいですね。Java、Flash、Ajax、QuickTime、Quartz Composer などの技術、Max/MSP、Perl/Ruby/Python などスクリプト言語や開発環境、Web サービス(XML)、MIDI/DMX、DVD や BlueRay(BDJava) のオーサリングなどなど、アクロバティックに組み合わせてスクリプトでゴリゴリ制御できるようになったら最高です」


