Flash 10周年記念
Edgeにも登場! マツカサ対談エクストラ 3/3

edge : その後、インターネットも一般化し Web サイトも増えて、Flash を使う人もたくさん増えて、最初の大きな盛り上がりが来たという感じだったと思うんですけど。
まきお : 増えたのは Flash 4 ですね。爆発的に増えた。もう、すごかったです。
かさい : アクションがちょっと進化して、If文とか変数、プロパティとかが使えるようになった。こんなのとか。
まきお : 当時、マルチメディアコンテンツって言い方してたけど、インタラクティブなもの作るのは、Director しか選択肢なかった。で、Flash 4 でそれまで Director でやってたこと、簡単なゲームとかも作れるようになったんよね。そんなんで、Director は敷居が高い...というユーザや、ネットの普及で個人のアニメやサイト制作者がとびついてきた。


まつむら氏が Flash 4 と ActionScript で制作した 9パズル


Flash 4 で制作したズームマップ。
当時の UCON セミナー用の作例として、かさい氏が制作したもの
かさい : ですね。で、このとき松笠コンビで UCON デビューしてます(笑) そのときの作例。
edge : ActionScript については、お二人ともわりとすんなり受け入れられたんですか?
まきお : わりとすんなり。HyperCard*6 や Director やってたし。tellTarget はてこずったけど。
かさい : Flahs 3 のときはよかったけど、4 でつまずいたね。文系頭だったんで、プログラムとか超苦手で、If だの変数だの、ぜんぜんわかんなかった(笑)
まきお : インタラクティブ至上主義っていうか、そういう旋風がありました。当時は仕掛けがとにかく受けた時代で、ボタンでいいのに、わざわざ ドラッグ & ドロップさせるとか。全面書き換えでいいのに、わざわざまったりスクロールさせるとか。とにかくうっとーしいインターフェイスが「クール」のひとことで蔓延した時代で。その反動で Bak@Fla はじめた(笑)
edge : 10年間 Flash に付き合ってきて、いろいろと作ってこられて、Flash の何が重要、何が面白いと思われますか?
まきお : ゆるいところですかね。普通、ソフトウエアって目的があって、そのためにもっとも効率的な手順でワークフローが考えられていて、そのワークフローに乗って、ユーザは準備や作業を強いられると思うんすよ。ワークフローがゆるいってことは、作り手側の気持ちもゆるくなるんです(笑)。もちろん、ちゃんとワークフロー組み立てる人もたくさんいるけど、いいかげんに作っても、あとからなんとかなる。だから思いついたらすぐ作り始められる。
かさい : だから小学生でも使えちゃうんでしょうね。
まきお : スクリプトでできちゃうことがタイムラインでもできたり、また逆もあったり、別にどっちでもいいんですよ、手段は。でき上がったもんがおもしろければ。そーゆーゆるさが Flash にはある。たとえば、トゥイーンやシンボル使ったら、ファイルサイズ軽くできる。スクリプトで描画したらもっと軽いかも。でも、そんなのわかんなくてもコマアニメという非常にプリミティブな表現でも作れちゃう。重たいかもしんないけど、気にしなければ大丈夫(笑)
かさい : そうそう、その「気にしない」ってのが大事(笑)。ちょっと変だけど、動きの途中一瞬だからまぁいいか、みたいな(笑)。プログラム系の人たちは、そのへん許せないかもだけど。
まきお : いいんですよ、If 文 100 個入れ子にしたって、うごきゃあいい(笑)。効率的、ということと、とにかく自分のスキルなりに工夫すればそれなりに作れるってことは全然違うと思う。
かさい : そうそう、業務で使う場合はしっかり使えないとまずいけど、それは効率の面の話だから。
edge : さっき、お二人の昔の作品を見せてもらいましたけど、今、同じの作れって言われたら、全然違う作り方をしますか?
まきお : 多分いっしょでしょう。なんらかの理由があれば、新しい機能もつかうかもしれないけど。
かさい : オレは違う作り方しようとするかも。あくまでチャレンジとして、ですけどね。自分なりに一番スマートな方法を探すのが楽しいから、とか。例えばですが、ひとつの絵を3分割するのにマスクとトゥイーンを組み合わせてみるとか。
まきお : マニアックな(笑)
かさい : 最近良くやる。文字をひとつずつ登場させるのに文字列をばらすんじゃなくて、一文字分のマスクと、トゥイーンでずらした文字列を組み合わせる。
まきお : それはよくやる。けど、文字数少なくてやりなおしの予定がなければ、全部先にキーフレームにして、文字列として一文字ずつ消す(笑)。シンボル化なんかしない。データサイズかわらんし~。
かさい : そうそう、あとで修正が入るであろうなあ、という場合のやり方ね、これは。
まきお : トゥイーンさせて、ざくっと移動させてから、全部キーフレームにして微調整ってのをよくやるよ、おいらは。
かさい : 全部はしないけど、ここもちょっと動いて欲しい、みたいな箇所ではキーフレーム増やしたりするね。
まきお : まぁ、そういうゆるさ。ある目的のための機能のはずが、他に転用できるゆるさみたいのが Flash には昔からあった。
かさい : 開発チームが想定してなかったであろう使い方をして、すげーものができるのが楽しい (笑)
まきお : この前、アドビの開発者と話してたら、Flash のゆるさはわかってる面もあったね。
かさい : もともとアドビにいた開発者は、Flash の進化をすごく期待してる印象だったね。
まきお : ゆるさってのは、可能性だと思うんです。最初から目的のものを最大の効率で作れるようなツールは専門性が強すぎて、新しいものが出てくる可能性は低い。なんかわけわからんから、変なもんができる、それがFlashだと思うわけです。
かさい : ジョナサン*7 が、よく「 Flash は紙と鉛筆なんだ」って言ってますが、同じことだとおもうんよね。何も出来ないけど、何でもできる。
まきお : そのあたり、Macに似た思想を感じる。ゆるい、シンプル。使い方はユーザが考える、みたいな。紙と鉛筆だと普通は文字や絵を書くんだけど、折り紙で飛行機や船を作ってあそぶこともできる。ワープロは効率的だけど、飛行機は作れないってことです。鉛筆は背中もかけるしね(笑)。
かさい : (笑)


この対談の中でも語られているように「思いついたらすぐ作り始められる」ことが Flash の魅力。Flash 10周年を記念して開催される 「Motion Award」 では、そのように作られたたくさんの Flash ムービーが集まっています。もしまだ応募されていない方は、あなたのハードディスクにひっそりと置いてある力作 Flash ムービー、もしくは頭の中にあるアイデアを Flash でカタチにして、ぜひ Flash 10年を祝うお祭りに参加しましょう。


Motion Award

応募締切: 2006年11月15日(水)
応募資格: 高校生以上
応募部門: 1. Flash アニメーション部門
2. ショートフィルム部門
3. Flash インタラクティブ部門
4. モバイル部門
応募方法: 応募期間内に http://motionaward.net/ よりご応募ください
作品発表: 2006 年12 月15 日(金)


 

*1 スマートスケッチ:Flash の起源となるソフト
*2 Macintosh 専門誌。まつむら氏は同誌で、連載執筆をはじめソフトウェアレビューやイラスト提供などをしていた。
*3 Mac OS X 以前の Mac オペレーティングシステムが持っていたグラフィックス描画エンジン
*4 Future Splash Animator。スマートスケッチがバージョンアップし、ソフト名称が変更されたもの
*5 Future Splash Animator のパッケージデザインには、なぜかカニの絵が描かれていたため、よくこのように言われる。
*6 初期の Macintosh に付属していた、ハイパーテキストを使ってさまざまなコンテンツやプログラム開発を可能とするソフトウェア。
*7 Jonathan Gay。Macromedia Flash の原作アーキテクトの1人。