「CATMAN」制作におけるFlash活用法
Flashをメインに据え制作されたアニメーション作品のプロセスとは?
今月号の記事
Flash アニメとして一世風靡した青池良輔氏の「CATMAN」。
その「CATMAN」が2008年、Web、モバイル、CS放送、地上波放送、DVDで展開されます。 今回はthe Edge newsletterのために、MAX Japan 2009で登壇する青池氏に、制作ワークフローの一部を解説していただきました。
動画コンテにこそ、Flashを
まず脚本をもとに、15FPSに設定したドキュメントに、絵コンテを制作していきました。Flashのタイムライン上でざっくりとタイミングをとりながら、ブラシツールで直接ステージ上にラフスケッチを描き込んでいきます。
既に使用が決まっている楽曲はストリーム再生で配置し、直感的かつスムースに編集作業を行い、この段階でほぼ全体のカットの核を決め込み、動画コンテを作ります。このコンテで、スタッフ内でのチェック、意見交換を行い、作品のテンポをほぼ決定し、各カットをグラフィック・シンボルに変換しています。

図1(CATMANスクリーンショット)
Flashのタイムライン再生は、このラフスケッチ、タイミング調整、修正というプロセスに大変適していると思っています。
レイアウト、作画、着色へのシンボル単位での作業

図2(ラフスケッチ+タイムライン)
この作品では、Flashと親和性の高い3Dアプリケーション(SWIFT3D)を使用し、ベクター書き出しした素材を用いて各カットのレイアウトを決定しました。この素材で光源の位置設定や、影の様子を確認します。そして、そのレイアウトを基に、ブラシツールで作画を行います。一見、二度手間に感じられるかもしれませんが、作画の統一や下書きの手間を考えると、自分では最も効率の良い方法だと思っています。

図3(3Dレイアウト>作画)
作画が終了したら、カット毎にシンボル化したデータをサーバー上へアップしていきます。すると、遠隔地にいるスタッフが、順次、着色作業を仕上げながら、動画コンテのシンボルと置き換えていき、アニメーションを完成させる仕組みです。
多媒体への多彩な書き出し
この作品は、音楽がメインで、台詞は字幕で表示するというスタイルをとっていましたので、各媒体用に字幕の修正をしています。
例えば、Web用には原寸のFLV形式。モバイル配信向けの場合は、再生画面が小さいので、字幕をいったん125%に拡大し、ムービー全体を縮小して QuickTime形式に仕上げます。また、CS放送、地上波放送向けには、高解像度な連番PNGで書き出し、放送用テープにデータ変換する方法を採りました。
サウンド効果や音編集の作業のためには、別途、高圧縮なQuickTimeファイルを書き出しておき、動画コンテにつけておいた仮のサウンドエフェクトを参考にして、MAを行いました。
最終的には、アフレコ用に字幕のない動画を制作する運びとなり、このMAデータに台詞をのせて再調整しています。
映像のプランニングから書き出しまで、ほぼ全行程をFlashで行いました。演出・作画1名、着色2名、サウンドデザイン1名というコンパクトなスタッフながら、約2週間で5分程度の作品を仕上げるという、ハイペースな作品作りを可能にしました。
FlashとAfter Effectsの連携
2002年に制作した初代「CATMAN」の映像については、今回のDVD化にあたり、もう一度、全体のイメージをブラッシュアップしたいと考えました。6年前に作った初期の映像は、今見るとやや陳腐化しているように思えたからです。
このため、まずAfter Effectsに字幕を入れずに書き出した高画質のPNGを読み込み、フィルターの追加、カラー調整を行っています。Flashで制作したベクター画像に特徴的に見られる、「線画的な」イメージの素材に、輝きとリッチさを加えることができたと思っています。

図4(カラー調整前、カラー調整後)
自分の作品履歴の中で、最近は、「Flashで素材制作」&「After Effectsで仕上げ」というワークフローが多くなってきました。インタラクティビティを含まないシンプルなムービーコンテンツは、Web配信においても、FLV仕上げの場合が多く、一時期のようにSWFでのムービー納品は極端に少なくなってきました。
そこで、よりリッチな作品に仕上げるためにFlashとAfter Effectsとの連携が多くなってきました。
より可能性を広げる新バージョンでのFlashとAfterEffectsの連携
このような形でFlashとAfter Effectsの両方を活用しているユーザーは多いと思われますが、次バージョンではFlashとAfter Effectsとの連携が格段によくなっているようです。自分が監督した最新作「藤子・F・不二雄のパラレル・スペース~征地球論」(11月28日(金) 深夜0:00よりWOWOWにて放映予定)の制作では、新バージョンのFlashとAfter Effectsを試験的に利用してみました。
同作品は30分番組として放映されますが、総尺の約半分が実写ドラマで、残り半分がアニメーションという構成になっています。まさにFlashとAfter Effectsの連携がモノを言う性質の作品だと思います。来るMax Japanでは、その制作の裏側を実例として詳しく解説する予定です。
青池 良輔
Aoike.ca Productions Inc
大阪芸術大学映像学科で映画制作を専攻後、カナダの映像制作プロダクションでクリエイティブディレクター、アートディレクターを遍歴。 2008年モントリオールにてaoike.ca Productions Inc.を設立。主にFlashを用い、アニメーション、 Webサイト、TVCMなど、多方面のメディアにむけたコンテンツ制作を行っている。2008年10月にオリジナルアニメーション「CATMAN」「PERESTROIKA」のDVDを発売。
