Flash 10 周年記念企画:Flash クリエイターに聞く

Flash にまつわる10 の質問

青池良輔

青池良輔
http://www.aoike.ca

1972年生まれ。クリエイティブディレクター/Flashアニメーター。カナダ在住。学生時代に自主映画を制作したのち、カナダで映画製作会社に就職。Flashアニメシリーズ「CATMAN」でWebアニメーションデビュー。芸術監督などを経て独立し、現在はフリーランスとして、アニメーション、Webサイト、TVCMなどFlashを使い多方面なコンテンツ制作を行う。


" 作家にとっての紙とペン、料理人の包丁のような、何かを作り表現したいと思う限り、最も自分に必要なツールだと思っています。"

1. いつからFlash を使われていますか?

Flash 5から使い始めてから、現在で6年目です。

2. Flash を使い始めたきっかけは?

2001年の年末にDirectorを友人に勧められて、「動的なプレゼンテーションが制作できそうなツール」として興味を持ち、触り始めてみました。自分でコンテンツが作れることに興奮しながら、初めは趣味としてあれこれ作っていました。その当時の習作のアニメーションが、Shockwave.com社のプロデューサーの目に留まり、ファイルの軽さなどの理由からFlashで作るように勧められ、Directorからの乗り換え作品を作り始めました。プロジェクトを進めて行く過程で、必要な部分から勉強していったという感じです。

3. 今まで、どのようなFlash 作品を手がけられましたか?

Flashで制作したWeb向けアニメーション作品から始まり、いくつかのアニメーションを制作しました。それと平行して、Web以外の媒体でもFlashを用いてテレビCMやミュージッククリップを作りました。最近ではモバイル媒体向けの作品も作っています。企業のWebサイトやネットコンテンツも作りますが、いずれもアニメーションの要素を含んだものが多いです。クライアントワークとオリジナル作品を平行して作っています。

4. あなたのFlash 作品のうち、お気に入りの作品を教えてください。

どの作品も作っている最中は今までのベストで、作り終わると照れがあって冷静に判断できず、一定の冷却期間を置くと大切なお気に入りの作品になります。どれかひとつを選ぶというのは大変難しいのですが、思い出深いと言えば、やはりFlashに触るきっかけになった「CATMAN」という作品かもしれません。今、見直せば技術的には厳しい部分もありますが、「Flashでお話を作る」ことが出来た大切な作品です。またこの作品がきっかけでFlashを仕事にしていけるようになり、大きなステップを踏み出せました。

5. 今後作ってみたいFlash の作品は?

今まで作ってきたコンテンツは、従来のアニメーション制作のスタイルをFlashを用いて踏襲しているものが多いのですが、ビデオも画像も放り込めるキャンバスを持っているのですから、もっと自由に様々なフォーマットのコラージュしたような作品にも挑戦してみたいです。また今までは、アニメーション作品を一人で制作する事も少なくはなく、クオリティや生産量力の限界を感じる事もありましたので、今後は複数のクリエイターが協力し、ひとつの作品を作り上げるというプロダクションスタイルにも挑戦してみたいです。

6. Flash を通してあなたが考える” Web” とは?

WebにとってのFlashというのは、「色気」みたいなものかなと思っています。情報ソースや、伝達手段として考えればテキストでも十分だと思うのですが、FlashがポピュラーになってからのWebはものすごく「艶」がでてきました。それがインターネットってワクワクするという感覚を一般にまで浸透させた要員のひとつだと言っても良いと思います。Webは既に情報ツールではなく、Flashによって、ひとつのエンターテインメントに昇華されたと思います。まだこれから面白いことがいろいろ出来そうですね。

7. お気に入りのFlash 機能を教えてください。

機能と言えるかどうかわかりませんが、「絵を描く(取り込む)」+「動かす」+「リアルタイムで確認しながらポリッシュアップする」+「すぐに発信できる」という一連の流れを、気持ちの勢いがあるうちに完成させられるというのは素晴らしいことだと思います。そういう点ではちょっと地味ですが「タイムライン再生」がFlashを気に入っている大きな理由のひとつです。また、出来上がったムービーをswf以外のフォーマットにすぐ出力できるのは、作品の公開フォーマットの可能性を広げてくれる良い機能だと思います。

8. あなたのクリエイティビティーを触発させるモノ、ヒト、環境は?

ちょっと偉そうな言い方ですが、「何であれ影響を受けた後の自分のリアクションを振り返ること」かなと思っています。身の回りの環境から得られる情報があまりにも多く、ある人が「白」と言っても、別の所ではまったく逆の意見がある。その中で、自分なりに張っているアンテナに引っかかった事柄に対して、自分がどうリアクションしたいか、何が言いたいかを煮詰めていった結果を考えていきたいと思っています。また昔、映像をやりたいと決めた時、父に言われた「何を作っても良いから、本名を出しなさい」という言葉が、作る作品を決める時のクオリティラインの一線を心の中で引いてくれていると思っています。

9. いまからFlash を始める方にTips、アドバイスをお願いします

Flashというアプリケーションは、デジタルなモノ作りをしたい人にとってかなり「何でも出来るツール」だと思います。その為、広くFlashをマスターしようとすると難しいかもしれません。でも触り始める前に「動的なWebサイトが作りたい」「携帯電話で動くゲームが作りたい」「テレビのようなアニメが作りたい」と目的を持ち、そこに関係した部分から触れて行くと習得しやすいのではないでしょうか? そこから応用、発展させていって「自分なりの使い方」ができるツールだと思います。

10. ズバリ、あなたにとってFlash とは?

以前、映像関係の会社に勤めていた時に、「いつか僕も…」と形になるかどうかも分からないシナリオを書いていた時期もありました。そこで出会えたFlashはまさに「スタジオ」でした。自分のアイデアを納得できる形で他の人に伝えられるツールに出会え、作品作りの考え方が大きく変わりました。うがった言い方をすれば、作家にとっての紙とペン、料理人の包丁のような、何かを作り表現したいと思う限り、最も自分に必要なツールだと今は思っています。

Flash クリエイターに聞く
Flash にまつわる10 の質問