Flash 10 周年記念企画:Flash クリエイターに聞く
Flash にまつわる10 の質問
今月号の記事
- Flash クリエイターに聞く Flash にまつわる10 の質問
- Adobe Motion Award 2006 審査員からクリエイターへのメッセージ
- Flashの新しいトレンド サウンド・コミュニケーションという潮流
- the Edge Recommends! 最新サイトアイデア帳
- イベント/セミナー情報
馬場鑑平
ディレクター。1976年大分生まれ。バスキュール勤務。仕事のかたわら、勉強会「Flash OOP Japan」に参加し、勉強会の成果として出された書籍『FLASH OOP』(翔泳社、2004年)内では執筆も担当している。
1. いつからFlash を使われていますか?
本格的に触わり始めてからは6年くらいです。
2. Flash を使い始めたきっかけは?
最初に触れた頃は「Webページにアニメーションを付け加えるもの」くらいの認識でした。そのうちにHi-Res!やYugopを知り、自分のSotecマシンに入ってるのと同じソフトのくせに、使い方次第で恐ろしく自由な表現手段となり得ることに驚きました。
まだ始まったばかりだと感じましたし、僕も新しい表現を生み出せるだろうかと思いワクワクしました。ちょうど職を得ないといけない時期だったので、思い切ってFlashを仕事にすることに決めました。とは言えプログラムなど書いたことがなく、変数とは何か?というレベルから始める必要があったんです。上野亨さんの黄色い本を何度も読んで、ActionScriptの全体像を掴んでいきました。
3. 今まで、どのようなFlash 作品を手がけられましたか?
「OHAYO PLAYERS」はとても思い出深い作品です。ちょうどFlash Communication Serverが出た頃にバスキュールのオリジナルコンテンツとして制作しました。これはWebカメラを使ったマルチユーザ「ダルマさんが転んだ」ゲームで、マウスやキーボードではなく、カメラをゲームコントローラとして利用します。カメラによる操作自体が他人とのコミュニケーション手段となります。
この作品は、僕にとってすばらしい広がりを見せます。2004年のSIGGRAPHで、このコンテンツをプレゼンする機会を得ました。同時に、キャラクターをポケモンに置き換えるなどして、子供用に作り変えたものが、幕張メッセのポケモンイベントで利用されました。このイベントでの好評を受けて、次の年にはマイクでポケモンたちの綱引きを応援する、名古屋ポケパークのステージアトラクション、「プラスル・マイナンつなひきおうえんだん」を開発しました。
この綱引き映像はFCSを通じてWeb上にライブ配信され、ブラウザからもステージ上の子供達と一緒にポケモンたちを応援し、ゲームに参加することができました。
こういったコンテンツ開発を通じて、顔を持つリアルな人間や場所をWebで繋げコミュニケートする場を作ることの、単純な面白さを痛感しました。ステージ上の子供達が声を限りにポケモンたちを応援する姿は、ユーザがコンテンツに関与するとはどういうことなのかを、情景として提示してくれました。
4. あなたのFlash 作品のうち、お気に入りの作品を教えてください。
電通IC局の中村氏、MSNの中山氏と制作した「9 Hour Gesture!」というバスキュールのセルフプロモーシ ョンバナー広告は、特に思い出深い作品です。これは、バナー広告の新しい形を模索するため、ライブ映 像を利用したバナーを制作してほしい、というMSNからの依頼を受け、実験コンテンツとして開発たもので す。
スタッフがブルースクリーンの前でジェスチャーをすると、その様子はMSNのバナー上にライブ配信され、ユーザはそれが何のジェスチャーなのか推測し回答します。それらの回答に対して、オペレータが近いか遠いか評価しフィードバックします。その様子はスタジオ壁面にもプロジェクトされているので、ジェスチャープレイヤーは回答に応じて、ジェスチャーの内容を調整していく。これを9時間行いました。
スタッフは、メッセージを伝えるための想像力と表現力の重要性を体験し、ユーザにはバスキュールという変な会社のスタッフが、何だか分からないけど一生懸命ジェスチャーしている姿に好感を持ってもらう。そしてどちらもリアルな場所とネットを繋げ、ワイワイと遊ぶことの素朴な楽しさを理解する。そんなことが実現できればいいなと考えながら作りました。
でも開発期間が実質1〜2週間しかなかったので、これらを用意するのはとても大変でしたし、よくこんなのを作ることが許され、実際作れたなと今振り返っても信じられないような内容です。このバナーが実現できたのは、OHAYO PLAYERSから続く一連の仕事で、システム実装とコミュニケーション管理の技術を蓄積してきたからだと感じています。年末の忙しい時期に付き合ってくれた会社の同僚達もすごい。
5. 今後作ってみたいFlash の作品は?
直近では、映像とインタラクションの関わり方のバリエーションをたくさん出していけたらなと思います。もっと長い期間の目標は、物語を語れるWebならではの形態というものがありえるのか、検証していくことです。
6. Flash を通してあなたが考える” Web” とは?
チョームズイ質問です。正直まるで分かりません。印象さえ定まりません。Flashを触っていると、何か作れそうだ、という感覚と、似たようなものをせいぜい拡大再生産してるだけだ、という感覚が同居します。同様に、Webについても、何かものすごい変化の時代に生きている気もするし、コンビニが世界を覆いつくしているだけのような気もします。とにかく、なにか楽しい場になっていけばいいのに、と思います。
7. お気に入りのFlash 機能を教えてください。
・入れ子状になった複数のタイムライン
なんて直感的で便利なんだ、と思います。
・NetConnection
これのおかげでリアルタイムコミュニケーションのコンテンツを作ることができました。
・Camera.activityLevel, Microphone.activityLevel
カメラやマイクをコントローラとして利用できたりして楽しいです。
・匿名関数
これのおかげで、かなり迅速に(適当かつ強引に)コーディングできている気がします。
・trace。
たくさんtraceを書いておくと、出力パネルがそれっぽく見えます。
8. あなたのクリエイティビティーを触発させるモノ、ヒト、環境は?
作るモノの目指すトコロを共有できる仲間と一緒に仕事がしたいです。尊敬できる、信頼できる友達をもっと見つけたい。それとは別に、今生きている天才と思える人たちの動向が気になります。荒川修作さんはいったい何をしようとしているのか。グレッグイーガンさんの次の小説はいつ翻訳されるのか。あと単純に、新しい技術は新しい表現を生み出しやすいと思います。僕の場合は、技術から表現を導くことが多いです。
9. いまからFlash を始める方にTips、アドバイスをお願いします
逆に、今からFlashを始めようとするヒトのモチベーションがどこにあるのか、すごく知りたいです。僕が始めた頃は、個人サイトで実験作を発表している人たちがたくさんいましたが(僕も最初にそういうサイトを作りました)、BlogやMixiの興隆に伴って、ほとんど見なくなりました。公開の場が個人サイトでないとなると、後はクライアントワークか、2ちゃんねるフラッシュくらいしか無い気がします。
僕は最初、四角をクリックしたらボヨンとなる、くらいで素朴に楽しかったのですが、今始めようという人たちもそういう所から入っていくのか、あるいはもっとWeb 2.0とかややこしいことを考えながら始めるのか。どうなんでしょう。
10. ズバリ、あなたにとってFlash とは?
この5、6年、僕のやる気を引き出し、そのやる気に応えてくれた素晴らしい道具です。
