Flashの新しいトレンド
サウンド・コミュニケーションという潮流
今月号の記事
- Flash クリエイターに聞く Flash にまつわる10 の質問
- Adobe Motion Award 2006 審査員からクリエイターへのメッセージ
- Flashの新しいトレンド サウンド・コミュニケーションという潮流
- the Edge Recommends! 最新サイトアイデア帳
- イベント/セミナー情報
Flashコンテンツと音の関係は実に古くから成り立っています。かつてはボタンをクリックしたときのフィードバックとして使われることが主流だったサウンドデータも、今ではゴージャスな音楽やナレーションがWeb ページを彩っています。そして次の潮流として、これから発展していく兆しを見せているのが、Flashによる「音によるコミュニケーション」です。
「音によるコミュニケーション」というのは、テレビCMのBGMや効果音のような使われ方とはまったく異なるものであり、一般的な動画技術ではなかなか難しい、まさにFlash的なアプローチと言えます。その理由は、音をコンテンツの中できちんと機能させる必要があるからです。今回は、このポイントに対して意識的なアイデアをもった、2つのFlashコンテンツをご紹介しましょう。
自分で奏でたメロディをみんなに伝えられる「メロメ」
メロメのプロトタイプとなったFlashコンテンツ「DoReMi」。このソースコードはよしだゆたか氏のWebサイトから入手可能。また、「Flash 8 INSPIRATION SCENE Night Jam」の報告ページも公開されています。
Flashを使って意欲的に、音によるコミュニケーションを実践している最初のケーススタディは、「メロメ -Melody Messenger-」です。これは「Flash 8 INSPIRATION SCENE Night Jam」において開発者のよしだゆたか氏によって紹介された、マウス操作で簡単なメロディーを紡いで、それを友達にメールで送れるというFlashコンテンツです。
操作はいたって簡単。まず、画面上のフェイスマークを上下に動かすことで、1オクターブ間で12の音律が選べるので、気が赴くままにメロディーを作ります。頭から再生して、完成したら「友達に送る」ボタンを押すと、作ったメロディーを友達にメールで届けられるのです。
Flashコンテンツの中には十二平均律に基づく12の単音WAVファイルが入っており、フェイスマークのムービークリップに設定されたActionScriptによって、フェイスマークがどこの高さに移動されたかを検知し、その高さに該当するWAV ファイルをsoundオブジェクトとしてロードします。あとは、それを先頭から順番に再生するという仕組みです。
開発のきっかけについて、よしだ氏はこう語ります。「これまでにも高度な作曲系のコンテンツは数多く存在しましたが、どれも曲の完成までに時間がかかったり、何よりも操作が難しいという面でも取っ付きにくさがあるなあと感じていました。そこで必要のない要素を極限までそぎ落とし、簡単に、直感的に作曲できるツールを目指したのがこの『メロメ』でした」
作りはとてもシンプルでありながら、とても優れたユーザ体験を提供している「メロメ」。このFlashコンテンツの面白さは、作ったメロディを人に聴かせられるというアイデアでしょう。さらに、特殊なサーバやCGIプログラムを用意せず、ユーザが普段から使っているメールソフトを利用して、メロディを送れるようにしたことも、ユーザに安心感を与えるための配慮だと言います。
よしだ氏はメロメを今後、「感じるコミュニケーションツール」としてさらに進化させていきたいと考えています。より多くの人たちに利用してもらえるように、よしだ氏が携わっている「楽天グリーティング」への組み込みをはじめ、Flash Liteによる携帯電話向けのサービスの開発も視野に入れているようです。
誰でもブログ上で音楽を鳴らせる「ブログプレーヤー」
佐野元春のオフィシャルファンサイト「Moto's Web Server」で配布されているFlashを使った「ブログプレーヤー」。再生ボタンを押すと、佐野元春の最新シングル曲を30秒再生することができます。
ブログ全盛の今、Flashを使った新たな潮流となってきているのがブログパーツです。ゲームやアバター、ユーモアに溢れたものなど、ブログを華やかにするFlashコンテンツが日を追う毎に増えてきています。
その一方で、ブログを活用したマーケティングやPR活動の手法については、未だに暗中模索の状態が続いています。その訳は明確です。ブロガー達が直接的なメリットを感じ、ブログの流儀に則った、ブロガー達の支持を得られるようなマーケティング/PR活動のアイデアが求められるからです。
そのような状況の中、ブログパーツを使ったPR活動として、面白いトライアルが昨年末に行われていました。ロックアーティスト、佐野元春のオフィシャルファンサイトである「Moto’ s Web Server」(以下、MWS) がブロガー向けに配布した「ブログプレーヤー」と呼ばれるFlashコンテンツです。ブログプレーヤーは、小さなバナー状のFlashコンテンツで、ブロガーが自分のサイトにプレーヤーを貼ると、自分のブログサイトで佐野元春の最新シングルを流すことができるというもの。さらに、ブロガーはプレーヤーを貼った証として、MWSにトラックバックを張ることで、MWSのページ上には、このプロモーション活動に賛同したブログの一覧ができあがり、オフィシャルサイトとブログサイトの明示的な連帯が生まれるという仕組みです。
開発を行ったMOSTと呼ばれるオフィシャルサイトの運営チームは、ブログプレーヤーを「Flashだからこそできたアイデア」と言います。「オフィシャルサイトであるMWS上では、Flash を使ったMP3プレーヤーを以前から展開していました。ファンとの連帯を考えたときに、このプレーヤーの形を変えて、みんなに公開したかったんです」。
さまざまなブログに張られることを想定して、プレーヤー自体はできるだけサイズを軽くし、プレーヤー上の情報を効率良く管理するために、サウンドデータを含む情報部分はXMLで定義されています。「実はブログパーツの最初のアイデアとして、MWS 最新ニュースのRSSフィードを表示するRSSリーダーを開発したんです。でも、単なるニュースフィードは面白みに欠けますし、ブロガーの賛同も得られないだろうと思い、もっと楽しいものは何だろうと考えたときに、自分のブログサイトで佐野元春の音楽が流せることができたら、何て楽しいだろうと思ったんです。『この曲は凄い良いから、みんなも聴いてみてよ』というエントリーが同時多発的に生まれ、それがMWS をキーステーションにして連帯していく。これこそブログ的なアプローチです。」
このブログプレーヤーは、まだ実験段階にあると言います。運営チームによると、技術的なことも然ることながら、さまざまなブログ上で音楽を流すことにまつわる権利関係など、クリアにしていかなければならない部分も多々あるものの、この実験によるラーニングはかなり有意義なものであり、ブログを舞台にした音楽によるコミュニケーションの形として、今後、さらなる発展のイメージができつつあるようです。
Flashコンテンツと音の関係は実に古くから成り立っています。かつてはボタンをクリックしたときのフィードバックとして使われることが主流だったサウンドデータも、今ではゴージャスな音楽やナレーションがWebページを彩っています。そして次の潮流として、これから発展していく兆しを見せているのが、Flashによる「音によるコミュニケーション」です。
